■ キリンチャンレンジカップ20122014年のブラジルW杯のアジア最終予選は6月にスタートするが、今のところ、最終予選よりも前に予定されているA代表の試合は、この日のアイスランド戦と、29日(水)のウズベキスタン戦のみである。昨年も、震災等の影響で、Aマッチの試合数が少なくて、戦力の底上げができず、レギュラー格の選手とそれ以外の選手との差が広がりつつあるので、今月の2試合は、新戦力の発掘という意味でも、大事な試合といえる。
昨年11月のアウェーの北朝鮮戦以来の試合となるザックジャパンのシステムは「4-2-3-1」で、GK西川。DF駒野、栗原、今野、槙野。MF増田、遠藤、藤本、柏木、大久保。FW前田。ベンチスタートとなったのは、GK林、GK山本海、DF近藤、DF伊野波、DF森脇、MF中村憲、MF磯村、MF柴崎、MF谷口、MF石川、FW田中順、FW久保の12人で、GK林とMF柴崎とMF磯村とFW久保が初代表となった。MF阿部とDF岩政とFW金園も選出されていたが、怪我で離脱している。
2月29日(水)に三次予選の最終戦となるウズベキスタン戦を控えているが、今週末も欧州の各国でリーグ戦が開催されるため、海外組はゼロで、全員が国内組となった。
■ 2012年の初戦を勝利で飾る試合は開始2分に日本が先制する。左サイドでMF大久保のパスを受けたDF槙野がドリブルで仕掛けてから右足のアウトサイドでクロスを上げると、中央のFW前田がヘディングで合わせて先制に成功する。FW前田は国際Aマッチは通算6ゴール目となった。その後も、日本がボールを支配するし、DF駒野とDF槙野の両サイドバックが頻繁にオーバーラップして、攻撃に絡んでいく。しかし、クロスの精度は今一つで、決定機は作れず。前半は1対0と日本がリードして折り返す。
後半開始から、日本はMF大久保とMF柏木を下げて、MF田中順とMF中村憲を投入。これで、ボールの回りが良くなると、後半8分に途中出場のMF中村憲のスルーパスを受けたMF藤本が、GKとの1対1から得意の左足のループシュートを決めて2点目を挙げる。MF藤本は代表初ゴールとなった。
その後は、アイスランド代表が、MFソルステインソンのハンドスプリングスローからゴール前のシーンを作るが、決定機には至らず。対する日本も、選手交代が続いて、やや流れを失っていたが、後半34分に右サイドのセットプレーからDF槙野が押し込んで3点目を挙げる。DF槙野も代表初ゴールとなった。終了間際にアイスランドがDF槙野のファールからPKを得て1点を返すが、反撃は1点だけ。そのまま日本が逃げ切って、3対1で勝利を飾った。
■ FW前田遼一が先制ゴール今回は、欧州の主要国はリーグ戦が開催中で、強豪国を呼ぶのは難しかった。そのため、同じ春-秋制を採用しているアイスランドとの対戦となった。アイスランドも日本と同様に国内組が中心で、しかも、監督が交代して初めての試合ということで、チームが出来上がっておらず、立ち上がりから日本がペースを握った。
先制ゴールを挙げたのはFW前田で、1トップを争うFWハーフナー・マイクとFW李忠成が、今冬に揃って海外クラブに移籍したこともあって、スタメンに抜擢されたが、動きがシャープで、ポストプレーも安定していた。しっかりと味方につなげることができれば、ビッグチャンスになりそうなシーンでパスミスをするシーンはあったが、ポストに入るタイミングも良くて、好プレーを見せた。ウズベキスタン戦には、FWハーフナー・マイクとFW李忠成も召集されると思われるが、スタメン争いで一歩リードしたといえる。
面白かったのは、MF大久保に代わってMF田中順が投入された後で、左サイドハーフのMF田中順がフォワード的な仕事もこなしたので、FW前田の負担は軽くなった。あくまでもオプションであるが、ボールがつなげず、ロングボールが多くなる時は、1トップだとフォワードの選手はしんどいので、フォワードの選手を助ける目的で、MF田中順をサイドハーフで起用してサポートさせるのも、今後、有効な策になるかもしれない。
■ MF藤本淳吾が初ゴール背番号「10」を背負ったMF藤本は、後半8分にゴールを決めて代表初ゴールをマークした。MF中村憲のスルーパスも見事だったが、MF藤本のボールコントロールも見事で、左足でシュートを打てる位置にボールを置いて、確実にゴールに流し込んだ。前半は、同じレフティのMF柏木とポジションや役割が重なって、力を出しきれなかったが、トップ下がMF中村憲に代わるとバランスも良くなって、いいプレーを見せるようになった。
一方、左サイドハーフでスタメン出場したMF大久保は、全くいいところを見せられず、前半のみで退いた。コンディションが万全ではなかったのか、ボールに触れる回数も少なくて、サイドで孤立した。左サイドハーフは、MF香川を筆頭にタレントが豊富なポジションなので、ベテランとなったMF大久保に、またチャンスが巡ってくることは考えにくく、代表に生き残るのは、難しいのでは?と感じる。
同じく、トップ下でスタメン出場したMF柏木も、アピールすることはできなかった。運動量は豊富でボールには触っていたが、効果的なプレーは少なく、プレイスキックの精度も、期待されるレベルには達していなかった。ウズベキスタン戦も、MF本田圭は不在なので、結果を残すことができれば、ウズベキスタン戦もチャンスが与えられたはずだが、不発に終わった。
■ MF中村憲は2ゴールに絡む逆に、後半から登場したMF中村憲は、2点目と3点目のゴールに絡む活躍を見せた。MF本田圭が不在のときは、MF中村憲がトップ下のファーストチョイスになっているので、スタメンで出場するかと思われたが、今回はベンチスタートで45分間だけのプレーとなったが、チームメイトを生かすプレーを続けた。MF中村憲も、代表から外れていた時期があったが、2011年の秋に復帰してから、頻繁にゴールに絡むプレーを見せている。MF藤本との争いとなるが、ウズベキスタン戦は、MF中村憲がスタメンで起用されるのではないか。
また、後半19分から登場したMF石川は、ミスが目立って波に乗り切れなかった。ただ、時間が経つにつれてリズムを取り戻して、カットインして左足で惜しいシュートを放つなど、いくつかの見せ場は作った。MF大久保と同様に、MF石川もベテランの域に入っているので、チャンスは少ないと思われるが、MF石川の場合は、独特のスタイルで、右サイドで同じタイプの選手は見当たらない。FC東京でも、途中出場で流れを変える働きを見せており、スーパーサブとしての適性もあるので、この試合では十分な出来ではなかったが、もう一度、チャンスがあるのではないかと思われる。
■ ボランチのMF増田がフル出場ボランチは、MF長谷部が不在で、MF阿部も怪我で離脱したため、鹿島のMF増田がスタメン起用された。昨年も代表に招集されたが、出場機会はなかったので、フル代表デビューとなったが、立ち上がりから冷静にプレーした。
これまで、MF長谷部とMF遠藤に続く「第3ボランチ」として試されたのは、MF細貝、MF阿部、MF本田拓、MF家長といった選手で、オフェンシブなMF家長を除くと、ザッケローニ監督は、守備でも貢献できるタイプを招集することが多かったが、MF増田は、もっとボールの持てる選手であり、つなぎ役としての能力は高い。消える時間もあったが、前半にDF駒野に絶妙のスルーパスを送るなど、ボールを持ったときも慌てることなく、及第点以上のパフォーマンスを見せた。
タイプとしては、MF長谷部の方に近いので、MF長谷部のバックアッパーの座を狙うのが、代表定着の近道といえるが、いきなり、フル出場を果たし、第3ボランチの候補に急浮上したといえる。「ポスト・遠藤」の話が盛んにされているが、MF長谷部の立場を脅かす存在も出てきてほしいところであるが、MF増田もその可能性を備えた選手であり、この試合では、ポジティブな印象を残した。
■ DF槙野が1ゴール1アシスト海外組が不在で、注目されたFW久保やMF柴崎といた新戦力も、試合では起用されなかったので、見せ場の少ない試合となったが、左サイドバックで起用されたDF槙野が、1ゴール1アシストと強烈なアピールに成功した。前半早々に、鮮やかなアウトサイドのクロスで先制ゴールを演出すると、後半34分には、セットプレーで、倒れ込みながら執念で右足で押し込んで代表初ゴールをマーク。最後のPK献上は余計だったが、DF槙野のワンマンショーのような試合となった。
DF槙野は、ケルンでは出場機会が得られず、浦和にレンタル移籍することになった。約1年間、ほとんど試合に出場できなかったので、コンディションに問題を抱えていて、最近の代表戦では、不完全燃焼に終わることが多かったが、この試合は、サイドバックとしてフル出場し、コンディションに問題が無いことを証明した。
所属クラブで、サイドバックでプレーした経験はほとんどないので、サイドバックとしての動きには、違和感を感じるところもあるが、持ち味の攻撃力を発揮し、守備でも、最後のPKを除くと、安定していた。ドイツに移籍してから、試合に出場することが少なかったので、どこまでレベルアップしているのか、把握するのは難しいが、守備に関しては、広島時代と比べて、堅実になっているように感じる。ブンデスリーガのセンターバックとして活躍するのは、相当に難しいことなので、チャレンジは失敗した形になったが、全くの無駄だったとは思えない。
日本代表の左サイドバックには、DF長友がいて、DF駒野も左右両サイドをこなすので、現状では、左サイドバックの3番手になっているが、DF槙野には、高さがあって、セットプレーのときには、ターゲット役になることもできる。DF長友からポジションを奪うのは、不可能だと思うが、いろいろなポジションをこなすことができる点をザッケローニ監督にアピールして、代表に生き残りたい。紆余曲折あって、浦和に復帰したため、注目度も高まっているが、最初の試合でいいプレーを見せたといえる。
おねがい
◆ アイスランド代表戦の日本代表(スタメン11人+途中出場選手 6名)の採点をしてください。
・点数は10点満点としてください。
・普通の出来だった場合は、「5.5」としてください。0.5刻みでお願いします。
・それぞれの点数の理由も合わせて、記述してください。
※ たくさんの採点が集まった方が「比較」もできて面白いと思うので、、是非とも参加してみてください。
※ 投稿は下のフォーム(↓)からお願いします。
http://form1.fc2.com/form/?id=738771
・ハンドル名
・年 代
・性 別
・地 域
・アイスランド代表戦の採点をしてください。(スタメン11人+途中出場 6名)
・採点の理由をお書きください。(スタメン11人+途中出場 6名)
・その他、試合の感想等があればお書きください。(省略可)
・フル代表に選んでほしい選手がいれば記入してください。(省略可)
今後の採点募集(予定) 2月29日(水) → ウズベキスタン戦 (豊田スタジアム)
3月14日(水) → U-23バーレーン戦 (国立競技場)
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