■ J1昇格を目指す京都サンガJ1昇格の最有力候補と言われる京都は、若くて優秀な選手がたくさん揃っているが、中でも、右サイドバックのDF酒井隆介、中盤のMF中村充孝、ボランチのMFチョン・ウヨンの飛躍に期待がかかる。大卒2年目のDF酒井は、ルーキーイヤーからストッパーやサイドバックでポジションをつかんだが、魅力はダイナミックさで、粗削りながら、パワフルさを感じる大型サイドバックである。182センチとサイズもあって、これまでの日本人のサイドバックにはなかったスケール感を感じる選手である。
高卒4年目となるMF中村充は、今シーズンは中心選手として、フルシーズン戦うことが期待される。京都は、2011年シーズン後半に快進撃を見せたが、MF工藤とMF中村充がスタメンに定着するようになったことが、快進撃の一因である。ボランチの位置でプレーする可能性もあるが、攻撃的なセンスに溢れているので、ゴールに絡むプレーが期待される。
韓国の五輪代表にも選ばれているMFチョン・ウヨンも注目の存在である。1年目の2011年の序盤は、パスサッカーに馴染めずに苦しんだが、試合を重ねるごとにチームにフィットして、欠かせない存在となった。186センチの大型ボランチで、攻撃でも、守備でも、大きな貢献を見せる。最大の武器は「キック」で、プレイスキックは、京都の得点源になっている。安定感を身に付けることが課題と言えるが、大きな可能性を秘めた大型ボランチである。
■ 期待の若手アタッカー(1)大型補強に成功した千葉は、MF米倉恒貴のブレークに期待がかかる。2011年は開幕からレギュラーを確保し、FWオーロイともいい関係を築いていたが、途中で失速して、終わってみると、35試合で7ゴールにとどまった。今シーズンは、FW荒田、FW藤田祥が加わったので、ポジション争いが激化しているが、生え抜きのMF米倉が活躍しないと、フクアリも盛り上がってこない。
若くて才能のある選手が揃っている湘南では、MF菊池大介の台頭が望まれる。2010年は草津でプレーし、ブレークの兆しを見せて湘南に戻ってきたが、活躍できたのは序盤戦のみで、持続することはできなかった。今シーズンは、MFアジエルが退団したため、背番号「10」を背負うことになったが、攻撃的なポジションの駒は不足しているので、MF菊池がレギュラーをつかんで、MFアジエルの穴を埋める役割をしないと、上位に行くのは難しいだろう。2007年にJ2の最年少出場、2008年にJ2の最年少ゴール記録を作っており、キャリアも長くなってきたが、まだ20歳である。そろそろ、シーズンを通してチームに貢献したい。
J2に昇格して5年目となる熊本は、MF大迫希が今シーズンは攻撃の中心になるのではないか。鹿島アントラーズのFW大迫勇也と同級生で、全国高校サッカー選手権でも活躍したが、プロ3年目の2011年の終盤に初ゴールを記録すると、ゴールを重ねて、5ゴールをマークした。今シーズンは、さらなる飛躍が期待されるシーズンであり、これからのサッカー人生を左右する重要な一年になるだろう。熊本は、レンタル期間を延長したMF武富、高卒2年目となるMF仲間と、活きのいい若手のアタッカーが出てきているので、切磋琢磨して成長して欲しいところである。
■ 期待の若手アタッカー(2)バルバリッチ監督率いる愛媛FCは、リーグ3位の14ゴールを挙げたFW齋藤学が横浜FMに戻ったため、彼の穴をどう埋めるのかが、最大のテーマになっている。レンタルでMF加藤(新潟)、FW有田(神戸)を獲得したが、生え抜きの選手では、MF東浩史が可能性を感じさせる選手である。FCみやぎバルセロナユース出身で、ドルトムントのMF香川の1学年上となる。大卒2年目だった2011年は17試合に出場して3ゴールとプチブレークしたが、攻撃的なセンスに溢れた選手なので、「ポスト・斉藤学」の候補の一人と言える。
もう一人は、大卒2年目となるMF小笠原侑生で、愛媛FCユースで育ったクラブが期待するアタッカーである。1年目から11試合に出場したが、チャンスを生かせず、出番を失ったが、小柄ながらパワーを感じさせる選手で、フォワードで起用されることもあった。同じくユース出身で大学を経由して愛媛FCに戻ってきた同級生のDF前野が、1年目からレギュラーポジションを確保し、差を付けられたので、気合いも入っているだろう。下部組織出身者で、二人が成功するか、否かは、クラブとしても大きなことなので、飛躍を期待したいところである。
2011年は最下位に終わったFC岐阜では、MF染矢一樹の飛躍を期待したい。大卒4年目となるが、昨シーズンは、29試合に出場して試合経験を積んだ。最大の武器は「スピード」で、単純なスピードではJ2の中ではトップクラスの選手で、技術も備わってきた。積極的にドリブルで仕掛けることができる点も武器で、昨シーズンは、29試合に出場して2ゴール(ともにPK)に終わったが、二桁近くのゴール数を記録しても不思議はない。ポジションを争っていたFW押谷、MF嶋田が抜けているので、今シーズンは大きなチャンスである。
■ チームをコントロールするボランチ18位からの巻き返しを図る横浜FCでは、大卒2年目のMF佐藤謙介に注目したい。ルーキーイヤーの2011年から、岸野監督の信頼を勝ち取って、レギュラークラスとして活躍を見せた。中盤の低い位置でプレーすることが多いが、攻撃的なセンスを感じさせるボランチで、相手にプレッシャーをかけられても、難なくかわしてしまうほどの「技術」と「判断力」を有している。線が細くて、パワー不足なところは気になるが、クラブの生え抜きの選手であり、チームの顏的な存在になっていくことが期待される。
J2で4年目のシーズンとなる岡山では、大卒3年目のMF千明聖典の独り立ちが期待される。流通経済大学から即戦力として岡山に入団し、初年度から出場機会を得てきたが、まだまだ、潜在能力をフルに発揮できているとは言い難い。若い世代では珍しく、ゲームをコントロールする力を持っているので、MF千明が中心におさまって、チームを動かすことができると、岡山も上位が見えてくるので、今シーズンは、ワンランクレベルアップした姿を観たいところである。
MF河野が移籍した東京Vでは、ユース出身で2年目のMF小林祐希に大きな注目が集まる。ルーキーイヤーの2011年からボランチのポジションでレギュラーを確保したが、今シーズンは、背番号「10」を背負うことになったので、チームの軸となることが期待される。レフティで、キックに大きな特徴があって、ゲームを作るだけでなく、ゴールに絡むプレーも期待される。1992年生まれで、ロンドン五輪代表入りは難しくなってきたが、将来、フル代表に絡んでくる可能性が非常に高い逸材なので、彼がチームの中心としてどういう働きを見せるのか、見逃すのは、あまりにも惜しい。
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