■ 2015年度の人件費の1位は浦和レッズ2015年度の収支報告書からJ1とJ2とJ3のクラブの2015年シーズンの人件費についてまとめてみた。1位は浦和で20.99億円、2位は名古屋で20.86億円、3位は鹿島で20.23億円となる。4位はG大阪、5位は柏、6位は横浜FM、7位は広島となるが、人件費が突出して多いチームはなくて、1位の浦和から7位の広島あたりまでは大差はない。2015年のJ1での成績を考えると名古屋や柏はコストパフォーマンスが悪かった。
名古屋は2015年の人件費は2位だったが、2016年の人件費は大幅に減っていると考えられる。日刊スポーツの選手名鑑を参考にすると西野監督は推定8,000万円だったが小倉監督は推定3,000万円となる。他には推定1億5,000万円のDF闘莉王が抜けて、推定8,000万円のFWノヴァコヴィッチが抜けて、推定4,800万円のMFダニルソンが抜けて、推定3,400万円のMFレアンドロ・ドミンゲスも抜けている。
もちろん、推定5,000万円のFWシモビッチ、推定3,000万円のDF安田理やMFイ・スンヒなどを獲得しているが、トータルでは結構なマイナスになると考えられる。クラブの財政事情が相当に厳しいのでそうせざる得なかったのか、他に何かしらの事情があるのかは分からないが、(夏にMFハ・デソンやMF扇原らを獲得したことを加味しても)昨シーズンと比べると人件費は8割程度に抑えられているのではないかと考えられる。
表1. 全53クラブの人件費について
【Jリーグ】 2015年の各クラブの人件費について |
順位 | クラブ名 | 営業費用(億円) | チーム人件費(億円) | (%) |
1 | 浦和 | 59.61 | 20.99 | 35.2% |
2 | 名古屋 | 43.49 | 20.86 | 48.0% |
3 | 鹿島 | 46.52 | 20.23 | 43.5% |
4 | G大阪 | 42.05 | 19.56 | 46.5% |
5 | 柏 | 30.83 | 18.88 | 61.2% |
6 | 横浜FM | 45.67 | 18.60 | 40.7% |
7 | 広島 | 34.40 | 18.09 | 52.6% |
8 | 神戸 | 35.61 | 17.67 | 49.6% |
9 | 川崎F | 39.77 | 16.85 | 42.4% |
10 | FC東京 | 39.93 | 16.41 | 41.1% |
11 | 清水 | 34.60 | 15.26 | 44.1% |
12 | C大阪 | 31.95 | 15.23 | 47.7% |
13 | 大宮 | 30.03 | 13.60 | 45.3% |
14 | 磐田 | 29.43 | 12.63 | 42.9% |
15 | 新潟 | 27.95 | 11.38 | 40.7% |
16 | 鳥栖 | 24.32 | 11.05 | 45.4% |
17 | 千葉 | 23.87 | 10.45 | 43.8% |
18 | 仙台 | 22.22 | 10.31 | 46.4% |
19 | 松本 | 17.78 | 8.21 | 46.2% |
20 | 京都 | 17.92 | 7.96 | 44.4% |
21 | 甲府 | 14.70 | 7.36 | 50.1% |
22 | 湘南 | 15.17 | 6.99 | 46.1% |
23 | 徳島 | 13.74 | 6.84 | 49.8% |
24 | 福岡 | 15.95 | 6.26 | 39.2% |
25 | 札幌 | 15.36 | 5.50 | 35.8% |
26 | 岡山 | 11.74 | 5.09 | 43.4% |
27 | 山形 | 17.00 | 5.03 | 29.6% |
28 | 岐阜 | 9.92 | 4.68 | 47.2% |
29 | 横浜FC | 9.98 | 4.24 | 42.5% |
30 | 東京V | 12.99 | 3.77 | 29.0% |
31 | 大分 | 9.30 | 3.66 | 39.4% |
32 | 長崎 | 8.88 | 3.48 | 39.2% |
33 | 熊本 | 7.52 | 3.02 | 40.2% |
34 | 栃木 | 8.54 | 2.84 | 33.3% |
35 | 北九州 | 7.73 | 2.83 | 36.6% |
36 | 愛媛 | 5.93 | 2.67 | 45.0% |
37 | 水戸 | 5.61 | 2.49 | 44.4% |
38 | 讃岐 | 5.46 | 2.39 | 43.8% |
39 | 金沢 | 5.73 | 2.37 | 41.4% |
40 | 長野 | 5.82 | 2.14 | 36.8% |
41 | 群馬 | 5.34 | 2.02 | 37.8% |
42 | 富山 | 5.22 | 1.98 | 37.9% |
43 | 町田 | 4.48 | 1.50 | 33.5% |
44 | 鳥取 | 4.44 | 1.00 | 22.5% |
45 | 福島 | 3.17 | 0.97 | 30.6% |
46 | 鹿児島 | 2.49 | 0.92 | 36.9% |
47 | 山口 | 3.58 | 0.90 | 25.1% |
48 | 盛岡 | 2.31 | 0.88 | 38.1% |
49 | 秋田 | 2.59 | 0.82 | 31.7% |
50 | 琉球 | 2.78 | 0.76 | 27.3% |
51 | 相模原 | 2.34 | 0.70 | 29.9% |
52 | 藤枝 | 1.42 | 0.23 | 16.2% |
53 | YS横浜 | 1.94 | 0.18 | 9.3% |
■ J2で最高だったのはセレッソ大阪2015年にJ2で戦ったチームの中ではC大阪が15.23億円で1位となった。2015年の夏に退団したが推定年俸が6億円とも言われたFWフォルラン、同じく3億円とも言われたFWカカウの2人が在籍していたので容易に予想できる結果である。注目度や観客動員数やスポンサーの増加で(少なくとも金銭的には)十分に元が取れたFWフォルランはともかくとしてFWカカウへの巨額の投資は愚策だったと言わざる得ない。
J2で2位は大宮、3位は磐田、4位は千葉、5位は京都だった。3位になってプレーオフに出場して2011年以来のJ1昇格を決めた福岡の人件費はJ2の中では7番目。コストパフォーマンスはかなり良かったと言える。17番目が北九州、18番目が愛媛FC、19番目が水戸、20番目が讃岐、21番目が金沢、22番目は群馬だったが、同様に5位でプレーオフに進んだ愛媛FCも相当にコストパフォーマンスが良かったと言える。
2015年にJ3に所属したクラブの中で、唯一、J2のクラブ(=群馬)を上回ったのは長野だった。J2のクラブの中で甲府や湘南や山形などの人件費を上回っているクラブはたくさんあるので「J1とJ2の格差はあまり大きくないが、J2とJ3の格差は相当に大きい。」と言えるだろう。福島・山口・盛岡・秋田など1億円未満のチームは(JFL所属だった鹿児島を含めると)全部で9チーム。台所事情が厳しいクラブは多い。
一番下のY.S.C.C.横浜に至っては人件費が1,800万円となる。J3ライセンスの取得条件として「3人以上とプロ契約を結ばなくてはいけない。」という決まりがあるので何人かがプロ契約を結んでいて、その他の選手の大半はアマチュア契約になると思うが、選手だけで25名程度。監督やコーチなどスタッフも6名程度は抱えているので、「人件費が1,800万円でどのようにしてやり繰りしているのか?」は不思議に思う。
■ 人件費の割合がもっとも高いのは柏レイソル最後の表2は「クラブの営業費用における人件費の割合」のランキングとなる。1位は柏で、2位は広島で、3位は甲府となる。50%を超えているのはこの3チームだけ。4位は徳島、5位は神戸、6位は名古屋、7位はC大阪、8位はFC岐阜、9位はG大阪、10位は仙台となる。J2のクラブの中では徳島の割合が最も高くなっており、2位はC大阪、3位はFC岐阜、4位は大宮、5位は愛媛FC、6位は京都、7位は水戸となる。
割合について「どのくらいが適切なのか?」を判断するのは難しいが、J3のクラブは軒並み割合が低くなっていることを考えると「割合が低すぎるのは経営的に苦しいことの表れ」と言えるのではないか。他の経費としては「試合関連経費」、「トップチーム運営経費」、「アカデミー運営経費」などが挙げられるが、試合やクラブの運営費や育成にかかる費用を削るのは容易ではない。真っ先に削られるのは人件費である。
J3のクラブの中でもっとも割合が高かったのは盛岡で38.1%、2番目は富山で、3番目は長野だった。一方、J2のクラブの中では北九州や札幌や栃木SCや東京Vなどは割合が低くなっている。特に栃木SCや東京Vは数年前に経営危機の問題がクローズアップされたクラブなので人件費を抑えてギリギリのところでクラブ経営を行っていることが分かる。51番目は鳥取、52番目は藤枝MYFC、53番目はY.S.C.C.横浜だった。
表2. 営業費用における人件費の割合
【Jリーグ】 2015年の各クラブの人件費について |
順位 | クラブ名 | 営業費用(億円) | チーム人件費(億円) | (%) |
1 | 柏 | 30.83 | 18.88 | 61.2% |
2 | 広島 | 34.40 | 18.09 | 52.6% |
3 | 甲府 | 14.70 | 7.36 | 50.1% |
4 | 徳島 | 13.74 | 6.84 | 49.8% |
5 | 神戸 | 35.61 | 17.67 | 49.6% |
6 | 名古屋 | 43.49 | 20.86 | 48.0% |
7 | C大阪 | 31.95 | 15.23 | 47.7% |
8 | 岐阜 | 9.92 | 4.68 | 47.2% |
9 | G大阪 | 42.05 | 19.56 | 46.5% |
10 | 仙台 | 22.22 | 10.31 | 46.4% |
11 | 松本 | 17.78 | 8.21 | 46.2% |
12 | 湘南 | 15.17 | 6.99 | 46.1% |
13 | 鳥栖 | 24.32 | 11.05 | 45.4% |
14 | 大宮 | 30.03 | 13.60 | 45.3% |
15 | 愛媛 | 5.93 | 2.67 | 45.0% |
16 | 京都 | 17.92 | 7.96 | 44.4% |
17 | 水戸 | 5.61 | 2.49 | 44.4% |
18 | 清水 | 34.60 | 15.26 | 44.1% |
19 | 千葉 | 23.87 | 10.45 | 43.8% |
20 | 讃岐 | 5.46 | 2.39 | 43.8% |
21 | 鹿島 | 46.52 | 20.23 | 43.5% |
22 | 岡山 | 11.74 | 5.09 | 43.4% |
23 | 磐田 | 29.43 | 12.63 | 42.9% |
24 | 横浜FC | 9.98 | 4.24 | 42.5% |
25 | 川崎F | 39.77 | 16.85 | 42.4% |
26 | 金沢 | 5.73 | 2.37 | 41.4% |
27 | FC東京 | 39.93 | 16.41 | 41.1% |
28 | 横浜FM | 45.67 | 18.60 | 40.7% |
29 | 新潟 | 27.95 | 11.38 | 40.7% |
30 | 熊本 | 7.52 | 3.02 | 40.2% |
31 | 大分 | 9.30 | 3.66 | 39.4% |
32 | 福岡 | 15.95 | 6.26 | 39.2% |
33 | 長崎 | 8.88 | 3.48 | 39.2% |
34 | 盛岡 | 2.31 | 0.88 | 38.1% |
35 | 富山 | 5.22 | 1.98 | 37.9% |
36 | 群馬 | 5.34 | 2.02 | 37.8% |
37 | 鹿児島 | 2.49 | 0.92 | 36.9% |
38 | 長野 | 5.82 | 2.14 | 36.8% |
39 | 北九州 | 7.73 | 2.83 | 36.6% |
40 | 札幌 | 15.36 | 5.50 | 35.8% |
41 | 浦和 | 59.61 | 20.99 | 35.2% |
42 | 町田 | 4.48 | 1.50 | 33.5% |
43 | 栃木 | 8.54 | 2.84 | 33.3% |
44 | 秋田 | 2.59 | 0.82 | 31.7% |
45 | 福島 | 3.17 | 0.97 | 30.6% |
46 | 相模原 | 2.34 | 0.70 | 29.9% |
47 | 山形 | 17.00 | 5.03 | 29.6% |
48 | 東京V | 12.99 | 3.77 | 29.0% |
49 | 琉球 | 2.78 | 0.76 | 27.3% |
50 | 山口 | 3.58 | 0.90 | 25.1% |
51 | 鳥取 | 4.44 | 1.00 | 22.5% |
52 | 藤枝 | 1.42 | 0.23 | 16.2% |
53 | YS横浜 | 1.94 | 0.18 | 9.3% |
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