■ グループリーグの第3節ACLのグループリーグの第3節。1勝1敗のG大阪がアウェーで韓国の済州ユナイテッドと対戦。済州も1勝1敗。済州は初戦はホームで天津に0対1で敗れたが、第2戦はアウェーでメルボルン・ビクトリーに2対1で勝利している。このグループは2連勝スタートとなった中国の天津泰達が首位に立っている。オーストラリアのメルボルン・ビクトリーは2連敗。
G大阪は<4-2-2-2>。GK藤ヶ谷。DFキム・スンヨン、中澤、高木、下平。MF明神、遠藤、二川、宇佐美。FWアドリアーノ、イ・グノ。怪我等で出遅れていたDF中澤、DF高木、MF明神は今シーズン初出場。DF加地は怪我のため欠場。DFキム・スンヨンが右サイドバックに入る。
■ 済州が2対1で勝利試合の前半はG大阪が済州を圧倒する。怪我から回復してきたボランチのMF明神が起点になって、次々とチャンスを作っていく。前半23分には右サイドのコーナーキックを獲得すると、MF遠藤が蹴ったボールをDF中澤が高い打点からヘディングシュートを決めてG大阪が先制する。その後もG大阪ペースで試合は進み、FWイ・グノ、FWアドリアーノらが決定機を迎えるが決めきれず。前半は1対0のG大阪リードで終了する。
後半は一転して済州のペースとなる。G大阪は、済州のロングボールを主体にした攻めに苦しんで、次第に劣勢になっていく。嫌な流れになってきた後半8分に、済州はFWシン・ヨンロクがDF高木に競り勝ってFWサントスに落とすと、左サイドの裏に走ったDFパクにスルーパス。抜け出したDFパクが中央に折り返すと飛び込んできたFWシン・ヨンロクがうまく合わせて同点に追いつく。さらに後半19分にも済州はロングボールを起点に、裏に飛び出したFWバ・キジョンが決めて2対1と逆転に成功する。
結局、試合はそのまま2対1でホームの済州が逆転勝利。済州は2勝1敗、G大阪は1勝2敗となった。もう1試合は引き分けに終わったため、天津が2勝1分けとなって、メルボルンが2敗1分けで最下位になっている。
■ 追加点を奪えずG大阪としては、完全に押し込んでいた前半に点差をつけられなかったことが響いた。前半23分にセットプレーからDF中澤のゴールで先制したが、その後も、何度も決定機を作っており、2点目を取れていれば、チーム力には明らかに「差」はあったので、圧勝も考えられた悔やまれる試合であった。
今シーズンは、FWアドリアーノ、FWイ・グノ、MF二川、MF宇佐美が攻撃的なポジションで起用されているが、4人とも「決定力がある」といえるタイプではなくて、シュートの確実性は高くない。エースとして期待されるFWアドリアーノも、GKとの1対1は得意とはしておらず、セレッソ大阪のときも、チャンスシーンでGKにぶつけてしまうシーンが多かった。
また、ドリブルの得意な選手が多く、個々で仕掛けられるのは強みであるが、FWルーカスのように前線でボールをおさめられる選手がいなくなったのも気になるところで、バランスがあまり良くない。
■ ロングボールに対応できず誤算は、相手の「ロングボール」に対応できなかったこと。済州の2ゴールは、ともに中盤からアバウトに蹴ったボールから生まれたものであり、防ぐことのできた失点だった。中盤のタレントでは優っており、前半はパス回しで翻弄できていたが、相手がロングボールを蹴るようになって、スタミナを消費させられる展開になって、最後は走り負けてしまった。
G大阪はこの試合が4試合目の公式戦であるが、DF中澤とDF高木をセンターバックに起用。188㎝のコンビに期待がかかったが、2失点ともにDF高木の対応が甘くて、DF高木のプレーが大きな計算外であった。
1失点目はハイボールに完全に競り負けて、2失点目もDF下平との連係ミスから、あっさりとマークを外してしまった。西野監督は、試合後に「ロングボールで攻めてきたのが予想外だった。」と語っていたが、チーム全体のミスというよりも、個人のミスといえるレベルで、監督としては対応はしにくいものであった。
■ 巻き返しは可能これで1勝2敗となってしまったが、済州戦も、天津戦も、ホームの万博での試合が残っているので、まだまだ、巻き返しは十分に可能で、慌てるような展開ではないといえる。
今年のACLには、Kリーグから、FCソウル、済州、全北現代、水原三星が参加しているが、済州はもっとも組みやすい相手であり、ホームゲームであれば、それほど、勝利するのが大変なクラブではない。
第4節は済州とホームで対戦するが、いつも通りの戦い方ができれば、問題はないだろう。もし、G大阪がホームで済州に勝利すると、両チームが2勝2敗で並ぶことになって、最終成績でも勝ち点が並ぶ可能性があるが、同じ勝ち点の場合、当該チームとの勝敗が優先されるので、この試合で2点差以上を付けて勝てれば、済州を上回ることになる。引き分け以下に終わると、グループリーグ突破に黄色信号が灯るので、勝つことが最優先であるが、今後のことを考えると、2点差以上をつけたい試合である。
■ 済州ワールドカップ競技場ACLで興味があるのは、Jリーグ、Kリーグ、Cリーグ、オーストラリアリーグなど、アジア各国を代表するクラブがどのくらいの力を持っていて、どういうサッカーをするのかという点であるが、それ以外にも、それぞれの国が、どういったスタジアムを所有していて、サポーターがどれくらいの入っていて、どのくらいの盛り上がりになるかといった「それ以外の部分」も気になるところである。
この試合が行われたのは、済州ユナイテッドのホームの済州ワールドカップ競技場で、韓国本土の南西部に位置する「島」にあるスタジアムで、3万人以上を収容できるサッカー専用の素晴らしいスタジアムであるが、集客には苦労しており、この試合の観衆はわずかに2167人。平日のナイトゲームということを考えても、非常にさびしい数字で、J1はもちろんのこと、J2でもなかなか無い数字である。
済州ワールドカップ競技場は、2002年の日韓W杯では、ブラジル対中国、スロベニア対パラグアイ、ドイツ対パラグアイの3試合が開催されているが、この時も、お客さんが集まらずに大会中も話題になっていたが、ドイツ対パラグアイ戦は決勝トーナメントの1回戦であったが「ガラガラ」の状態で、GKオリバー・カーンら選手たちからも不満の声が上がったところである。
当時から「こんなところにスタジアムを作って大会後はどうするのか?」という声が上がっていたが、結局、2006年から「済州ユナイテッド」の本拠地として使用されている。ただ、状況は厳しいようである。
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