■ チャリティーマッチ東日本大震災復興支援チャリティーマッチとして静岡県内をホームとする清水エスパルスとジュビロ磐田がアウスタ日本平で対戦。この試合を終えた後、清水はオランダに遠征して4月13日にアヤックスと対戦することが決定している。
ホームの清水は<4-1-4-1>。GK碓井。DF辻尾、岩下、平岡、太田。MF枝村、大前、小野、山本真、伊藤翔。FW高原。MF枝村の1ボランチ気味の布陣で、その前に4人の攻撃的なプレーヤーを配置する。DFボスナーは欠場。オーストラリア代表経験のあるMFアレックス・ブロスクはベンチスタート。
対する磐田は<4-2-2-2>。GK川口。DF駒野、イ・ガンジン、藤田、パク・チュホ。MF那須、小林、山本康、山田。FW山崎、前田。MF小林、MF山田は大卒ルーキー。MF山本康、FW山崎、DF本田がU-22日本代表に選ばれている。DF本田は福島市出身で187㎝の長身ディフェンダーである。
■ 1対1のドロー前半は清水ペースで進む。左サイドに入ったMF伊藤がドリブルで積極的に仕掛けてチャンスを作る。対する磐田はFW前田にボールが供給できずに苦戦を強いられる。押し気味で試合を進めながらゴールを奪えなかった清水だったが、前半終了間際にコーナーキックを獲得すると、MF小野のボールをニアでDF平岡が合わせて先制する。前半は1対0の清水リードで終了する。
後半開始から清水はFW高原に代えて東京ヴェルディから移籍のMF高木俊を投入。MF高木俊を左サイドに置いて、MF伊藤をフォワードに回すが、落ち着く暇もなく磐田に同点ゴールを許す。ペナルティエリア内で磐田のFW山崎がボールを受けてシュートを放つと、これがゴールネットを揺らして1対1となる。
その後は、どちらかというと磐田がペースを握って、途中出場のMFジウシーニョらが決定機を作る。清水は後半になると動きが落ちてしまって、なかなかチャンスを作れなくなる。結局、試合は、そのまま1対1のドローに終わった。
■ 大卒コンビがスタメン磐田は大卒コンビがスタメンで出場。MF小林は甲府との開幕戦に続いてボランチでスタメンに入ったが、開幕戦は途中出場だったMF山田も攻撃的MFでスタメン出場。新人二人がスタメンで、五輪代表のFW山崎、MF山本康も入って、かなりフレッシュなメンバーとなった。
ただ、MF小林にしても、MF山田にしても「即戦力」となることを期待されており、プレッシャーは普通ではないだろう。特に、MF山田の入る攻撃的MFの位置は、MF松浦、MF成岡がいなくなって、MF西も長期離脱中。選手層が非常に薄いので、悠長なことは言っている暇のない状況である。
そのMF山田は後半20分までプレー。後半にシザーズ・フェイントから惜しいシュートを放つなど、何度か見せ場は作った。まだ、チームにフィットしきれておらず、消える時間も長かったので十分な出来とは言えないが、クラブとしても、辛抱して使い続ける覚悟はあるだろうし、時間を与えてやれれば、馴染んでくるだろう。最近の磐田は大卒選手の獲得に積極的であるが、彼らが1年目からチャンスを与えられて結果を残すようだと、リクルートもしやすくなる。そういう意味でも活躍が期待される存在である。
■ MF枝村のボランチ一方の清水は前半は悪くなかった。柏レイソルとの開幕戦はMF岩下とMF枝村のダブルボランチで、MF岩下が本職ではないのでビルドアップのところで苦しんだが、この試合は「MF枝村の1ボランチ」とは言いながら、MF小野やMF山本真がボランチの位置まで下がってくるシーンも多く、この3人でボールを動かすやり方に変わっており、リズムよくボールを回す時間帯もあった。
また、<4-1-4-1>であるが、MF枝村も守備的な選手ではないので、単に守備だけでなく、ゴール前まで上がっていってチャンスに絡むシーンもあった。このときは、MF小野とMF山本真がうまくバランスを取っており、3人の連携はまずまずだったといえる。
■ MF伊藤翔が活躍清水の中で目立ったのはグルノーブルから移籍してきて2シーズン目となるMF伊藤翔。前半は左サイドハーフでプレーし、後半はフォワードでプレーすることが多かったが、シュートシーンも多く、柏レイソル戦と比べると持ち味を出すことができた。プレシーズンマッチの横浜FM戦、柏戦と逆サイドのMF大前の方が目立っていたが、この日は逆だった。
ただ、フィニッシュの正確さを欠いたのは課題であり、「キレ」をもう一段、上げていかないと、J1で活躍するのは難しいだろう。ポテンシャルの高い選手で、ゴトビ監督も期待している選手なので、ブレークすることを望みたいところである。
■ 軸になる小野伸二①開幕戦で柏レイソルに0対3で敗れたときはどうなることか思ったが、Jリーグが中断したことで「戦術の確認」や「戦力の把握」に時間をかけることができたため、チームとしての方向性は見えてきている。
MFアレックス、MF高木俊といった攻撃的な選手がまだフィットしきれておらず、アピールはできなかったので「誰が点を取るか?」という問題はあるが、骨格は定まってきて、シーズンに入っても、大崩れすることはないのではと思われる。
軸となるのは、MF小野伸二。MF枝村はゲームを作るようなタイプではないので、MF小野にはゲームを作る仕事と、決定的なパスを出す仕事の両方を任されている。昨シーズンは、FW藤本、FW岡崎、FWヨンセン、MF兵働、MF本田拓とタレントが揃っていたので、MF小野に求められたのは、周囲の選手を生かすようなプレーであり、負担も少なかったので、MF小野も良さを発揮する試合が多かったが、一転して、今シーズンは、チームの勝敗を左右する大事な役割を担っている。
■ 軸になる小野伸二②そういった仕事は、浦和レッズでも、フェイエノールトでも、こなしてきた実績があるので、能力的な問題はないだろうが、怪我の多い選手であり、MF小野に頼りっきりになることに対する不安は残る。MF小野の代わりにその役
割をこなせそうな選手はおらず、リスクは高いといえる。ただ、やるしかない状況であり、本人のモチベーションも高いはずであり、MF小野が怪我なくいいプレーができれば、清水の順位も上がっていくはずである。
そのMF小野をサポートしてほしいのが、FW高原である。日本代表の頃からいい関係を築いてきたコンビが清水で再開を果たしたことで注目を集めているが、まだ、FW高原のプレー自体は十分とは言えない。MF小野、MF大前らチャンスを作れる選手はいるので、FW高原にはゴール付近でしっかりとボールをキープして、確実にネットを揺らすというストライカーに求められる仕事をこなしてほしいところである。コンディション自体はまずまずなので「ゴール」という結果が欲しいところである。
関連エントリー 2010/01/11
【S・ジュビロ×A・ジャポーネ】 名波浩選手 引退試合 (生観戦記 #1) 2010/01/19
「Jリーグ史上最強のチームはどこか?」を考える。 2010/12/23
意外と高かったJリーグの枠内シュート率 2010/12/22
意外と高かったJリーグの枠内シュート率 (欧州5大リーグ_個人別) 2011/01/05
【J1/J2】 90分当たりで最もシュートを放っているのは誰か? 2011/02/21
【PSM:清水×横浜FM】 ブレーク期待の大前元紀 2011/03/06
【柏×清水】 19歳のプレーメーカーのMF茨田陽生 2011/03/09
【甲府×磐田】 三浦俊也監督の開幕戦
- 関連記事
-