■ 決勝トーナメント決勝トーナメントの2試合目。グループAを2勝1分けの首位で突破したウズベキスタンと、グループBを2勝1分けの2位で勝ち抜いたヨルダンの対戦。ヨルダンはグループリーグの初戦で日本と対戦し1対1のドロー。しかし、その後に2連勝し、下馬評を覆してグループリーグを突破した。
ウズベキスタンはカタール、クウェートに勝利し、中国には引き分けたが、危なげなくグループリーグを突破した。FWシャツキフはベンチスタートでFWバカーエフとFWゲインリフの2トップ気味の布陣。キャプテンのMFジェパロフがゲームを作るとともに、決定的なパスを出していく。対するヨルダンはグループリーグで好セーブを連発したGKシャフィに期待がかかる。
■ ウズベクが逃げ切る試合の序盤はウズベキスタンがペースを握る。しかし、時間が経つにつれてヨルダンの守備もウズベキスタンの攻撃に慣れて対応し始めて、ヨルダンのリズムになっていく。ウズベキスタンは背番号「2」のFWバカーエフをトップに入れるが、なかなか周囲とかみ合わない。前半は0対0で終了する。
苦しんだウズベキスタンであったが、後半開始早々、右サイドからフリーキックを得ると、MFジェパロフの左足のキックをFWバカーエフが合わせて先制に成功する。さらに、後半4分にもFWゲインリフのパスから左サイドを崩してニアにクロス。再び、FWバカーエフが決めて2対0とリードを広げる。
ヨルダンは後半13分にセットプレーからバシャール・ヤシーンのシュートで1点を返すと、ヨルダンサポーターで埋まったスタジアムは大いに盛り上がるが、ウズベキスタンに守られて追いつくことは出来ず。結局、2対1でウズベキスタンが勝利し、初のベスト4進出を決定。準々決勝ではオーストラリアとイラクの勝者と対戦することになっている。
■ 初のベスト4攻撃力のあるウズベキスタンと、守備力のあるヨルダンの対戦は、前半はヨルダンの守備がハマってウズベキスタンの選手にストレスを与え続けた。ヨルダンの守備は1対1で負けるシーンはほとんどなくて、囲い込みのスピードも速いので、強力な守備組織を誇っている。
こういう展開になったことで、日本も苦戦したヨルダン守備陣を相手に、今大会屈指のウズベキスタンの攻撃陣がどう攻略するかが興味の対象となったが、後半早々に立て続けに2ゴールを挙げたウズベキスタンが2対1で勝利をつかんだ。
2ゴール共にサイドからのクロスを中で合わせたゴールであったが、1点目はフリーキックでMFジェパロフがタイミングを外して蹴ったことでヨルダンのDFラインが戸惑った裏にFWバカーエフが抜け出て、オフサイドかどうか微妙ではあったが、うまく頭で合わせた。2点目は左サイドからのクロス。ニアサイドへのピンポイントクロスをダイレクトで合わせたファインゴールだった。
■ ダークホースこれで日本に続いて準決勝進出を決めたウズベキスタンであるが、かなり高いレベルのサッカーをしている。3バック気味の布陣でセンターバックもどんどん上がってくるサッカーなので、サンフレッチェ広島に似ているが、両サイドにもスピードのある選手をそろえており、サイドアタックも強力である。
残念なのは、国民的スターのFWシャツキフの調子がイマイチでフィニッシャーがいない状況になってしまっていることであるが、背番号「2」のFWバカーエフがトップで起用されて結果を残した。試合を通じて、相当数のチャンスを作れそうな攻撃力を持っており、チャンスを確実にものに出来れば、オーストラリアでもイラクでも、いい勝負になりそうな予感はある。
運動量が豊富で強烈なシュートもあるキーマンのFWゲインリフが試合終盤に負傷して交代しており、その回復具合が気になるところであるが、ベストメンバーが揃ったら、決勝に進むことも十分に考えられる。
■ ヨルダンはベスト4ならず今大会のサプライズチームであるヨルダンは、1点差に追い上げた後、大歓声を受けて同点ゴールを狙ったが、及ばなかった。しかしながら、数年前までは、アジアの中でも弱小国と思われていたヨルダンの今大会の活躍ぶりは称賛に値するものである。
初戦の日本戦でも粘っこいマークと忠実なカバーリングで日本の中盤のMF香川やMF本田圭らを封じたが、この日も同様で、ウズベキスタンのMFジャコエフをしっかりとマークし、前半はウズベキスタンに思うようなプレーをさせなかった。惜しまれるのはセットプレーで後半開始早々に失点してしまったことであり、前半の中盤以降は、カウンターからチャンスを作りかけていたので、もう少し0対0で進んでいければチャンスはあっただろう。
中東の国というと「集中力」に欠けたり、ラフプレーに走ったりと、クレバーさに欠ける印象があるが、ヨルダンのチームは忠実でまじめなサッカーを見せて驚きを与えた。アジアの勢力図が少し変わりかけていることを印象付けるヨルダンのアジアカップ2011だった。
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