① ベガルタ仙台 → いろいろな噂が流れていたが、結局、手倉森誠監督の留任が決定し、MF梁ら主力の流出の話も伝わってきていない。MF千葉とFW平瀬という功労者が引退したが、戦力をプラスした状態で2011年シーズンを迎えられそうな情勢になってきた。
新加入選手としては、正式な発表はされていないが、京都のDF角田の獲得が濃厚になってきている。仙台の補強ポイントといえるのはボランチと左サイドバックであるが、守備的なポジションであればどのポジションでもこなすことの出来るDF角田が加わると、選手層に厚みが加わる。安定感に欠ける部分はあるが得点力はある。ボランチでポジションを確保する可能性もあるのではないか。
他に、横浜FMのMF山瀬の獲得にも乗り出していたというが、獲得できなかった模様。ただ、MF梁、MF関口、MFフェルナンジーニョがいるので、優先順位は低いポジションであり全く問題はないだろう。FC東京からレンタルで加入してきたFW赤嶺の去就が完全移籍を果たし、前線の軸になれれば攻撃陣の不安要素は少なくなる。
一方で、獲得が濃厚になっているのが元日本代表の京都のFW柳沢については、年齢的な衰えが心配される。2010年の京都でのプレーを見る限り、明らかに「キレ」がなくなっており、過度な期待は禁物である。ただ、インテリジェンスのある選手なので、ピンポイントで起用すると、効果を発揮するかもしれない。
② モンテディオ山形 → もともと資金力はJ1でも最低レベルで、小林監督の指揮の下、見事に2年連続でJ1残留を果たした。2011年はJ1で3年目のシーズンを迎えるが、ストーブリーグは苦戦中。ともに鹿島からレンタルで来ていたFW田代とMF増田の退団の可能性が高くなってきており、2つの穴が空くことになる。
FW田代は今シーズン10ゴールを挙げており、このポジションにはFW長谷川もいるがパワーダウンは否めない。金銭で勝負となると勝ち目はなく、本人の意思次第となるが、果たしてどうなるか?その一方で、レンタル組を除くと主力の流出の話も出ておらず、FW田代とMF増田を除くと、メンバー的には大きな変化はない模様である。
問題は外国人選手。完全移籍、レンタル移籍にかかわらず、日本人の実力者を、この段階から引き抜くのは容易ではないので、手っ取り早いのは外国人選手の戦力化であるが、ここ3年、小林監督の要求事項が非常に高いのが原因なのか、成功率が低く、戦力になったのはDFレオナルドくらいである。
③ 鹿島アントラーズ → 3連覇の立役者であるFWマルキーニョスとの契約を更新はしなかった。見切りが早いのがこのチームの特徴であり、衰えが見え始めた選手は功労者であっても適切なタイミングできっていた歴史があるので、このチームらしい選択である。この思い切りの良さは見事であり、「常勝チーム」のままでいる大きな要因である。
ただ、FWマルキーニョスの穴を埋めるというのは大変な作業である。シュート数112本はリーグトップであり、27試合で11ゴールを挙げている。山形にレンタルで移籍していたFW田代の復帰が確実になっており、新助っ人としてブラジル人ストライカーの獲得が噂されているが、これで大丈夫かどうかは、不安なところではある。ロンドン世代のFW大迫もいるが・・・。
一方で、懸念される中盤の高齢化対策として、清水のMF本田拓を狙っており、獲得の可能性が高くなっていると伝えられている。MF小笠原、MF本山、MF中田浩が30歳をオーバーし、MF青木ら中堅層が伸び悩んでいるので、MF本田が獲得できれば大きいが・・・。
④ 柏レイソル → 1年でJ1昇格を果たした柏。昇格組とはいえ、もともと戦力的にはJ1でも中位レベルを維持しており、FW工藤、MF茨田、DF酒井といった期待の若手も多いので、大型補強の必要性はあまりない。
そんな中で、大宮のMF安英学とMFジョルジ・ワグネルの獲得が決定している。MFジョルジ・ワグネルは左利きで質の高いプレーヤーという話であり、サイドバックで起用される可能性もある。このポジションにはDF橋本もおり、レベルの高い争いになりそうである。
痛いのは右サイドバックのDF小林の移籍。「チャレンジしたい。」ということで横浜FMへの移籍が発表されたが、本格的にサイドバックにコンバートして、いいプレーを見せていただけにチームに大きな穴が開いてしまった。さっそく、戦力外を通告していたDF蔵川と再契約を結ぶ運びとなったが、誤算となった。
⑤ 浦和レッズ → フィンケ監督が退任し、ペトロヴィッチ氏が監督に就任。チーム再建を任されることになった。さっそく、新潟からMFマルシオ・リシャルデスとDF永田の獲得を発表し、戦力アップを図った。
大きいのはDF永田の獲得。今シーズンは、DF闘莉王をを放出し、DFスピラノビッチも怪我で満足に試合に出場できず。ということで、DF坪井とDF山田暢のセンターバックコンビとなったが、高さ等で不安はぬぐえず補強が急務だった。日本代表候補であり、今後、数年にわたって最終ラインの核になれる選手を獲得できたのは大きい。
一方で、MFポンテを放出し、MFマルシオ・リシャルデスを獲得したが、これはどうか?と思わずにはいられない。ここ数年、補強は最小限だった浦和であるが、それでも、MF梅、MF柏木といった代表クラスの若手アタッカーを獲得しており、彼らに加えて、MF山田直、MF原口、MFエスクデロ、FW田中達がいるので、1.5列目や2列目のアタッカーは飽和状態である。
もちろん、この中でMFマルシオ・リシャルデスの実力が抜けているのは間違いないが、能力のある若手選手には、それなりの立場を与えてあげないと大きな飛躍は望めない。チームの中心としてプレーするのか、軸となる選手のサポート役としてプレーするのかでは成長具合も異なってくる。MFポンテの契約が切れるというのは、いいきっかけになると思ったが・・・。
⑥ 大宮アルディージャ → 今シーズンも残留を果たした大宮は、資金力のあるクラブであり、浦和を退団したMFポンテ、大分のMF東、G大阪のMF佐々木の獲得に動いているという話であるが、まだ正式な発表はされていない。獲得に乗り出している選手を見れば明らかなように、補強ポイントは攻撃的MFであり、このうちの二人くらいを獲得できれば、チーム力は大幅にアップする。
一方で、退団が決定しているのは、MF李浩、MF安英学、DFマト、FW藤田祥といった出場機会に恵まれなかった選手が中心で、主力の流出の噂はほとんどなく、戦力アップしてシーズンに望めそうな状況になっている。ここ数年、残留争いをする立場から抜け出せていないが、戦力は整ってきており、鈴木監督という優秀な指揮官もいて、飛躍する可能性はある。
⑦ 川崎フロンターレ → DF森、DF佐原、DF寺田と最終ラインの選手が退団・引退したことで、チームは大きく変わりそうである。戦力的に大きいのはDF森の退団であり、能力だけを考えるとJ1でもトップクラスのサイドバックだった。アジア大会の金メダリストで右サイドバックのレギュラーだった高知大学のDF實藤友紀の加入が決定しているが、果たして埋められるだろうか?不安なポジションの1つである。
また、大黒柱のMF中村憲剛には海外移籍の可能性が残っており、まだ落ち着かない日々が続くが、新戦力としてゲームを作れる東京VのMF柴崎を獲得している。MF中村憲剛と共存することになるのか、穴埋めになるのか分からないが、貴重なゲームメーカータイプの選手を争奪戦の末、獲得できたのは大きなプラスである。
とはいっても、DF森、DF佐原、DF寺田に加えて、FW鄭大世、FWレナチーニョ、GK川島に、横浜FMへの移籍が決定したMF谷口と、ここ数年の上位進出に貢献した選手の多くがチームを離れており、現時点での戦力はタイトルを狙える布陣とはなっていない。相馬監督を迎えているが、難しいオフになっている。
⑧ 横浜Fマリノス → FW坂田、MF山瀬、MF河合、DF松田らを戦力外としたが、代わりに清水のDF青山、柏のDF小林、川崎FのMF谷口という25歳前後の選手を獲得し、若返りに成功した。DF青山は怪我明けということもあって大きな期待はできないが、MF谷口はハマりそうな選手であり、例えば、中盤の4人がMF中村俊、MF兵藤、MF小椋、MF谷口という構成になればMF谷口は相当に点を取りそうな感じはする。
また、ここ数年の泣き所になっているストライカーはFW大黒を狙っているというが、FW渡邉千を再生できれば、獲得に失敗しても大きな問題とはならないはず。客観的にみると、2010年シーズンよりも若返りを果たして、FW坂田、MF山瀬、MF河合、DF松田らの穴を埋められたようにも思う。
現時点でも±で見ると、+側に傾く補強となっており、DF青山、DF小林、MF谷口に加えて、広島のDF槙野や清水のMF藤本らも狙っていたということで、活発なオフになっているが、そういう方針であれば、最初から、FW坂田、MF山瀬、MF河合、DF松田らを戦力外と発表したときに、「若くて優秀な選手を狙っているのでポジションの被るベテランは構想から外れた。」と説明したら、騒動も大きくならなかったように思う。ちょっと不思議である。
⑨ アルビレックスに新潟 → 毎年のように戦力が流出しており、今オフもMFマルシオ・リシャルデスとDF永田の浦和への移籍が発表された。日本代表にも選ばれているDF永田の後釜として、ロンドン世代でアジア大会の金メダリストのDF鈴木大輔が控えているので大きなマイナスにはならないかもしれないが、ここ数年、「不在時は全く勝っていない。」というデータのあるMFマルシオ・リシャルデスの穴は大きすぎる。考えられるのは、MFミシェウのポジションを下げてストライカーを獲得することであり、どのくらいの選手を連れてこられるかが、ポイントになる。
DF西の流出は決定的になっているが、その他のポジションは順調に補強が進んでいる。中でも、大分のMF菊地を獲得したのは大きく、ボランチ、サイドバック、センターバックとどのポジションでもこなすことができる。いろいろな事情で適正価格よりも安くゲットできているはずなので、財政的な問題を抱える新潟には大きな補強といえる。
また、札幌からはサイドアタッカーのMF藤田の獲得に成功。2007年のU-20のカナダ大会の日本代表であるが、ここ最近は伸び悩んでいた。しかし、ポテンシャルは高いので、環境が変わって殻を破れるかどうか。MF藤田のようなサイドアタッカータイプはタレントが不足気味なので、ブレークに期待したいが・・・。
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