■ ファール数 ここ数年のJリーグで明らかに変わってきている事というと、「レフェリーがプレーを流すようになったこと」である。とにかく、接触プレーで倒れてもファールを取らなくなってきていて、プレーが途切れなくなった。
これが、いつ頃から変わってきたのか?を考えてみたところ、「数年前から」ということは分かるが、はっきりとは答えられない。ということで、「J1の1試合平均のファール数の推移」を出してみた。これを見ると、年々、ファールを取らなくなってきているようで、「この時期から」とは明確に答えることは難しいような変化の具合である。
※ ファール数(J1)
| ファール数 | クラブ数 | 試合数 | 平均 |
2003年 | 10,339 | 16チーム | 240 | 43.08 |
2004年 | 10,286 | 16チーム | 240 | 42.86 |
2005年 | 11,753 | 18チーム | 306 | 38.41 |
2006年 | 11,575 | 18チーム | 306 | 37.83 |
2007年 | 10,880 | 18チーム | 306 | 35.56 |
2008年 | 10,833 | 18チーム | 306 | 35.40 |
2009年 | 10,375 | 18チーム | 306 | 33.91 |
2010年 | 10,261 | 18チーム | 306 | 33.53 |
2003年からJリーグは引き分け制度が始まったが、改めて見ていくと、2003年と比べると、1試合平均では「10個」近くファール数が減少している。これは、かなりの減少である。プレーを流し過ぎるのも問題であるが、ある程度の接触プレーは止めずに選手に自由にやらせる方が観ている方も面白いし、スピード感も失われない。レフェリーの意識は大きく変わってきている。
■ ワールドカップとの比較 最後に、ワールドカップの過去3大会の数字(グループリーグのみ)と比べてみたいと思う。「Jリーグは接触プレーでファールを取り過ぎる。」と言われるが、本当にそうなのか?ということで、以下が、各大会の1試合平均の数である。(参考:longlowの日記さん →
http://d.hatena.ne.jp/longlow/20100627/p1)
※ ファール数(ワールドカップ)
| 平均 |
2002年大会 | 35.52 |
2006年大会 | 35.58 |
2010年大会 | 30.87 |
これから、2010年のJ1リーグと南アフリカW杯を比較してみると、平均ファール数はJ1が33.53個で、南アフリカW杯が30.87個。J1が少し多めではあるが、極端に違っているわけでもない。J1の水準は、ドイツ大会と南アフリカ大会の中間程度とみることが可能であり、世界基準と大きく外れているとは言えない。
※ これを見ていくと、2006年のドイツ大会から2010年の南アフリカ大会にかけて、1試合平均で5個程度はファールが少なくなっており、「プレーを流すようになったこと」は世界的な傾向とかもしれない。
ということで、ここ数年で、J1の「流す傾向」は明らかに強まっており、ワールドカップの数字と比べても、大きく変わるものでもない。「Jリーグは接触プレーで簡単に笛を吹き過ぎる。」というのは、ちょっと「古いイメージ」であるかなと思う。
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