■ 「育成のC大阪の復活」帯広市周辺開催された中学年代の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の決勝戦は8月24日(水)に行われたがC大阪U-15が横浜FCJrユースを3対1で下して初の日本一に輝いた。C大阪の下部組織は2021年から風間体制になったが今夏は男子のU-18が日本一になると女子のU-18も日本一になった。さらに男子のU-15も日本一に輝いたので「夏のクラブユースの3冠」を達成した。これは快挙と言える。
FW柿谷、MF山口蛍、DF丸橋、MF扇原、FW杉本健あたりの世代がC大阪の下部組織・年代別代表・C大阪のトップチームで活躍した後、続く選手がなかなか出てこなかった。もちろん、MF南野はJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞して日本代表の中心選手に育ったが「MF南野以外のユース出身者がなかなか飛躍できない。」という時期が続いていたので「育成のC大阪の復活」を印象付ける夏になった。
横浜FCJrユースとの決勝戦は一時は3対0とリードを奪った。完勝だったが決勝Tに入ってから最も苦戦を強いられたのは鳥栖U-15との準決勝だった。後半開始早々にセットプレーから失点をすると後半の終盤まで0対1とビハインドだった。40分ハーフの試合の終盤に突入したが後半36分に同点ゴールをゲットすると後半39分に逆転ゴールを奪った。優勝候補に挙げられた鳥栖U-15を逆転で下してさらに勢いに乗った。
■ 「主要な4大会のベスト4進出回数」を調べてみると・・・。優勝したC大阪U-15を土俵際まで追い詰めた鳥栖U-15は2017年と2019年は優勝、2021年は準優勝に輝いている。直近の5大会のうち、3度も決勝進出を果たすなどここ最近は目覚ましい活躍を見せているが男子のU-18のクラブユースも近年は好成績を残している。2019年は準優勝、2020年は日本一に輝いた。5年ほど前であれば鳥栖の下部組織の快進撃は話題になったが最近は当たり前の出来事になっている。
U-15とU-18のクラブユース選手権、冬に行われるU-15の高円宮杯、秋以降に開催されていたU-18のJユースカップという男子のユース年代の4つの主要な全国大会の直近の10大会でのベスト4進出の回数をJリーグのクラブ別にカウントしてみるとFC東京が最多の15回となる。2位は横浜FMの12回、3位はG大阪の11回となるが鳥栖と広島が4位タイで10回となる。鳥栖の下部組織は全国屈指の強豪と言える。
さらに「直近の10大会」ではなくて「直近の5大会」に限定すると鳥栖が10回で最多となる。2位タイはFC東京と横浜FMの7回なので断トツの数字となる。結局、鳥栖の「直近の10大会の10回」というのは全て「直近の5大会」で達成した数字になる。U-15もU-18も全国大会のベスト4の常連になった。U-15とU-18がともに全国屈指の強豪チームなので鳥栖U-15の選手と鳥栖U-18は互いに刺激を与え合っているだろう。
■ 「今、最も勢いのあるJリーグの下部組織の1つ」近年はJリーグでも鳥栖U-15や鳥栖U-18出身の選手の活躍が目立つ。海外ではFW田川やFW二田が活躍中、MF樋口雄やMF松岡大やDF大畑やDF中野伸などがJ1で活躍しているがさらにMF藤川虎(北九州)であったり、売り出し中の高校3年生のMF保田(大分)も中学年代は鳥栖の下部組織でプレーした。また、高校3年生のMF福井に対して「名門のバイエルンが興味を示している。」というニュースも流れた。
「今、最も勢いのあるJリーグの下部組織の1つ」と言えるがプロで活躍する選手をたくさん輩出していて、かつ、育成年代の全国大会で結果を残しているというのは高評価できる。「育成年代で大事なのは結果ではなくて内容や選手の成長だ!」と意見する人は多いがJrユースでもユースでもチームとして結果を出さないと高いレベルの試合をたくさん経験することは出来ない。結果にはこだわらないといけない。
鳥栖の下部組織で育った選手の特徴というと「技術が高くて判断力に優れた選手多い点」が挙げられる。フィーチャーされる選手の多くは170センチ前後。サイズやスケール感には欠けるが実践的な選手が多い。プロ入り後に早い段階からJ1の舞台でプレーできる選手が多いが監督やコーチにとっては使いやすい選手が多く輩出されていると言える。MF松岡大やDF中野伸などは高校時代からプロの世界で活躍している。
心配されるのはクラブの財政的な問題が育成年代にも負の影響を与える可能性があるという点だろう。鳥栖の経営問題がクローズアップされるようになってからまだ2年ほど。まだまだ貯金はあるが大分の下部組織を例に出すまでもなく、資金力がなくなるとどれだけ育成のノウハウを持っていてもいい選手は出にくくなる。Jリーグのクラブが資金難に陥った時に真っ先に削られてしまう分野の1つが育成部門である。
【U-15/U-18】 直近の10大会の主要な全国大会でのベスト4進出回数 |
クラブ名 | 6大会前~10大会前 | 1大会前~5大会前 | 合計 |
FC東京 | 8 | 7 | 15 |
横浜Fマリノス | 7 | 7 | 14 |
清水エスパルス | 8 | 4 | 12 |
ガンバ大阪 | 8 | 3 | 11 |
サガン鳥栖 | 0 | 10 | 10 |
サンフレッチェ広島 | 6 | 4 | 10 |
名古屋グランパス | 2 | 6 | 8 |
大宮アルディージャ | 3 | 5 | 8 |
浦和レッズ | 2 | 5 | 7 |
鹿島アントラーズ | 3 | 4 | 7 |
ヴィッセル神戸 | 4 | 3 | 7 |
京都サンガ | 4 | 3 | 7 |
コンサドーレ札幌 | 5 | 2 | 7 |
セレッソ大阪 | 2 | 4 | 6 |
川崎フロンターレ | 3 | 2 | 5 |
柏レイソル | 1 | 2 | 3 |
アルビレックス新潟 | 2 | 1 | 3 |
JFAアカデミー福島 | 3 | 0 | 3 |
三菱養和SCユース | 3 | 0 | 3 |
アビスパ福岡 | | 2 | 2 |
東京ヴェルディ | 1 | 1 | 2 |
U-15:クラブユース/高円宮杯、U-18:クラブユース/Jユースカップ |
▼ 動画の投稿日 (2022年8月2日)
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