■ 大詰めを迎えているNBAファイナル18-19シーズンのNBAは大詰めを迎えている。東地区の代表は初のファイナル出場となったトロント・ラプターズで、西地区の代表は3連覇を目指すゴールデンステート・ウォリアーズ。ファイナルの前は「NBA史上最高のシューターと言われるステフィン・カリー擁する絶対王者のウォリアーズが有利」と言われていたが初優勝を目指すラプターズが大健闘。4戦目を終えた時点で3勝1敗とリードを奪った。
「初のNBA制覇まであと1勝」と迫った状態でホームの5戦目を迎えたが「106対105」でウォリアーズが勝利。第6戦まで持ち越しとなった。6戦目はウォリアーズのホームで、7戦目はラプターズのホームになる。NBAは圧倒的にホームチームが有利。7戦目がホームとなるラプターズが依然として「ホーム・コート・アドバンテージ」を握っているが5戦目をアウェイのウォリアーズが勝利したことで分からなくなってきた。
先のとおり、前評判は圧倒的にウォリアーズが優勢だった。「結果は分かり切っているので観る必要はない。」と思われていたファイナルは俄然として盛り上がって来たが、ウォリアーズにとって痛手なのは5戦目でもう1人のエースのケビン・デュラントが怪我をしてプレーできなくなった点になる。4度も得点王に輝くなど「NBA史上屈指のスコアラー」と言われているデュラントの離脱は大きなマイナスと言える。
■ エースのデュラントは強行出場で負傷ラプターズがここまで健闘している大きな理由は、怪我のため、デュラントが1戦目から4戦目までプレーできなかった点になる。圧倒的な存在感を誇るデュラントがいなくなるとステフィン・カリーにかかる負担は大きくなる。1勝3敗と崖っぷちに追い込まれた状態でデュラントはコートに復帰してきたが前半にアキレス腱を負傷。11分のプレー時間で11得点を挙げていたデュラントのファイナルはこの時点で終了となった。
強行出場して怪我をしてしまったデュラントの思いにこたえるべくウォリアーズの選手は奮起して終盤に逆転。1点差で勝利したが「どれくらいの怪我なのか?」、「(デュラントの)オフの移籍話に影響はあるのか?」、「強行出場した判断はどうだったのか?」などなど盛り上がっている。仮に「アキレス腱断裂」のような大怪我の場合、「来シーズン、プレーするのは難しい。」という状況になる可能性が高い。
30才とキャリアのピークを迎えているスーパースターの正式な診断結果が待たれるが、話題になっているのはデュラントが怪我をした瞬間、ならびに、その後のラプターズのファンのふるまいになる。デュラントがプレーできなくなってボールをロスト。ラプターズが速攻のチャンスを迎えたので盛り上がるのは当然の話になるが怪我をして倒れ込んでいるデュラントに対するふるまいが大きな批判を浴びている。
■ ラプターズのファンに非難が集まる。NBAはワールドワイドなリーグである。世界中にファンがいるので世界中から批判の声が出ている。少なくない数のラプターズのファンが倒れているデュラントに向かって手を振る姿が確認できる。「バイバイの合図」になるが、相手チームの選手であっても怪我をした選手に対してそういうジェスチャーをするのは気持ちのいいことでは全くない。この件で「ラプターズのファン」が批判を浴びる状況になっている。
しばらくした後、ラプターズの選手がファンに向かって「そういうことは良くないだろう。」というジェスチャーをしたので、デュラントがコートから去るときは「KD!KD!KD!」という声援が送られた。「KD」とはデュラントの愛称になるが、ちょっと前まで悪意のある行為を行った人が突如として変貌して逆に声援を送ってしまうところは北米の人っぽい。(※ ラプターズはカナダをホームに戦っている。)
最終的には声援が送られた状態でデュラントはコートを離れているのでその部分をフィーチャーして「ラプターズのファンは温かい。」と言うことも出来るが、怪我をした直後の反応は不適切なものだったと思う。もちろん、怪我上がりとは言ってもデュラントは相手にとって脅威的な選手なので「彼がいなくなったらラプターズが勝利する確率がグーンと高まる。」のは間違いないがその感情を露にするのは良くない。
■ 「口にしなければOK」なのか?Jリーグやサッカーの世界でも同じであるが、対戦相手のチームの重要な選手が試合中に怪我をしてピッチを離れるようだと応援しているチームが勝利する確率は高まる。怪我をした選手が優秀な選手であればあるほどその確率は高まるが、ここで正直に反応してしまったラプターズのファンを第三者が責める権利があるのか?というと微妙な話である。人間である以上、「ラッキー」と思ってしまうのは仕方がない。
日本代表を例に出すと1998年のフランスW杯のときは2戦目で対戦したクロアチアのFWボクシッチ、2002年の日韓W杯のときも2戦目で対戦したロシアのMFモストボイ、2014年のブラジルW杯のときは3戦目で対戦したコロンビアのFWファルカオが怪我のため出場不可だった。W杯などで対戦する国のエース格となる選手が怪我等で欠場するようだと「ラッキー」と思ってしまう気持ちがあるのは否定できない。
「ラッキーと思っていても口にしなければOK」で、「ラッキーという感情を露にしてしまったラプターズのファンはNG」なのかもしれないが、このあたりの線引きは難しい。サッカーも怪我の多いスポーツなので試合中に選手が負傷して退場するケースは頻繁に起こるが、今後、「○○のサポーターは××が怪我したときに喜んでいた。」などという形で世間から批判される例がたくさん出てくるのは間違いないだろう。
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