■ 男性比率が低かったチームはどこか?Jリーグのスタジアム観戦者調査については2004年から2015年までの調査結果をネット上で確認することができる。毎年、J1とJ2に所属する全クラブのホーム戦を1試合だけ選んで来場者に大々的にアンケートを実施して結果をまとめたものである。アンケート項目は多岐にわたるが、今回、注目したのは男女比率。当然、男性の方が多くなるが、クラブごとにかなり大きな差があるので興味深い結果になっている。
2004年から2015年の期間にJ1あるいはJ2に所属した経験のあるクラブは全部で42クラブある。(※ J3のクラブは調査の対象外。)最初の表1は男性比率の平均値が低かったチームを1位から10位まで抜き出しているが、1番低くなったのは長崎で52.3%だった。12年間の全クラブの平均値は61.6%なので長崎の数字がかなり低いことが分かる。2014年に至っては49.7%なので男性よりも女性の数の方が上回っている。
2位は大分で53.1%だった。長崎や大分については「女性サポーターが多い。」という印象はなかったのでかなり意外な結果と言える。3位になったのは札幌で53.4%。札幌に関しては女性サポーター(特におばちゃん世代の女性サポーター)が多い印象があるのでまあまあ納得の数字と言える。2007年は43.2%という男性比率だったがこれは2004年から2015年までの12年間で全クラブを通じて最も低い数字となる。
4位は鹿島で55.5%、5位は横浜FMで56.2%だった。鹿島に関してはMF柴崎岳など人気選手が多くて「ギャルサポ」と言われる人たちの多さは有名なのでこちらも納得の順位と言える。ギャルサポの多さは最近に限った話ではなくて、黄金世代と呼ばれたMF小笠原やMF本山やMF中田浩がバリバリの主力として活躍していた頃から変わらない話である。横浜FMについても女性サポーターが多い印象はある。
6位は磐田、7位はG大阪、8位は浦和、9位は新潟、10位は愛媛FCとなる。磐田の場合は集計期間に「黄金時代の末期」が含まれており、黄金時代は「ナナギャル」と言われたサポーターがたくさんいてJリーグ屈指の人気クラブだった。男性比率の推移見るとやはり2004年・2005年・2006年あたりまでは低い数字になっている。G大阪も女性サポーターの多いチームなのでこのあたりに位置するのは容易に予想できた。
ちょっと意外な気がするのは8位の浦和である。浦和のサポーターは「いろいろな意味で日本一」と言われているが、真っ先にイメージするのは野太い声の応援である。「応援の迫力は間違いなく日本一」と言えるので男性サポーターがクローズアップされる機会が多いが割合を見ると女性の割合も高い。9位の新潟については家族連れが多くておばちゃんサポーターが多い印象があるので納得の順位と言えるだろう。
かなり意外なのは10位の愛媛FCか。男性比率が低いということはサッカーとは縁遠い人と思われる女性でさえ、スタジアムに足を運んでしまうくらいクラブとして魅力があったり、人気選手がいるということになるが、愛媛FCの場合、その領域にはまだ達していないと思う。観客動員数ではJ2の中でも下の方になる愛媛FCの女性比率が低いというのが「どういう理由なのか?」は分からない。不思議に感じるところである。
表1. ホーム戦の観客の中で男性比率の低い(=女性比率の高い)チーム (1位から10位まで)
順位 | クラブ名 | 男性比率の平均 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
1 | 長崎 | 52.3 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 53.7 | 49.7 | 53.6 |
2 | 大分 | 53.1 | 51.3 | 50.0 | 52.5 | 56.1 | 51.9 | 52.3 | 55.9 | 49.1 | 53.7 | 50.0 | 58.1 | 56.5 |
3 | 札幌 | 53.4 | 52.5 | 61.5 | 47.8 | 43.2 | 59.2 | 55.1 | 57.2 | 49.7 | 53.4 | 54.7 | 53.2 | 53.4 |
4 | 鹿島 | 55.5 | 47.2 | 53.6 | 54.7 | 52.2 | 59.4 | 56.5 | 57.1 | 59.0 | 57.4 | 57.1 | 53.9 | 57.7 |
5 | 横浜FM | 56.2 | 55.6 | 52.9 | 58.4 | 50.5 | 60.4 | 51.5 | 52.5 | 58.6 | 58.9 | 58.2 | 56.7 | 60.2 |
6 | 磐田 | 57.0 | 52.2 | 54.5 | 54.9 | 56.2 | 62.4 | 49.5 | 53.7 | 60.3 | 60.9 | 56.5 | 59.5 | 63.0 |
7 | G大阪 | 57.2 | 47.4 | 50.8 | 54.5 | 59.1 | 58.9 | 52.1 | 64.3 | 56.9 | 52.4 | 65.6 | 58.3 | 65.7 |
8 | 浦和 | 57.3 | 52.2 | 54.2 | 62.6 | 54.0 | 55.7 | 56.9 | 50.1 | 61.6 | 60.9 | 59.9 | 58.1 | 61.6 |
9 | 新潟 | 57.5 | 53.5 | 52.9 | 58.3 | 56.2 | 50.2 | 57.2 | 59.1 | 58.9 | 64.8 | 60.8 | 59.3 | 58.4 |
10 | 愛媛FC | 58.4 | - | - | 61.7 | 51.3 | 52.6 | 56.5 | 60.5 | 66.3 | 62.5 | 61.5 | 55.3 | 55.9 |
■ 男性比率が60%未満となるのは16クラブ今度の表2は男性比率の平均の11位から20位までの10チームを書き出している。11位は松本山雅で58.5%となる。松本山雅に関しては「熱狂的な応援はJリーグでも屈指」と言われており、Jリーグに昇格してまだ5年しか経過していないにもかかわらず、地元民に愛されるクラブになっている。新潟などと同様で家族連れが非常に多いという印象がある。松本山雅の女性比率が高いのは容易に想像することができる。
12位は仙台で58.9%だった。同様に仙台も熱狂的な応援が名物になっている。ここまでの顔ぶれを見ると男性比率が低くて女性比率が高いクラブは女性の取り込みに成功していて観客動員の部分でそこまで苦労していない印象。逆に男性比率が高いクラブはその点で苦労しているところが多い印象がある。ただ、13位の讃岐は観客動員で苦労しているクラブの1つであるが女性比率は高い。いくつかの例外はある。
14位は甲府で59.2%、15位は金沢で59.8%、16位はFC東京で59.9%となる。ここまでの16クラブが50%台となる。17位は千葉で、18位は川崎Fと清水となる。FC東京や川崎Fに関しては「女性サポーターが多い。」という印象はあるが、横浜FMや浦和などと比べると女性比率はそこまで高くない。ただ、川崎Fは2012年が56.5%で、2013年が52.9%なので女性比率が高まりつつあるのかもしれない。
20位は徳島で60.9%となる。徳島も今シーズンは観客動員で苦労しており、J2の中でも最低レベルとなるが、60.9%なので女性比率は高いようだ。すでに触れたとおり、愛媛FCが10位で、讃岐が13位で、徳島が20位だったが、四国で活動する3チームはいずれも女性比率が高くなっている。四国はどちらかというと野球人気が高い地域であるが、スポーツ観戦好きでアクティブな女性が多いのかもしれない。
表2. ホーム戦の観客の中で男性比率の低い(=女性比率の高い)チーム (11位から20位まで)
順位 | クラブ名 | 男性比率の平均 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
11 | 松本山雅 | 58.5 | - | - | - | - | - | - | - | - | 60.6 | 57.4 | 57.5 | 58.3 |
12 | 仙台 | 58.9 | 54.4 | 61.8 | 63.8 | 54.9 | 57.1 | 59.4 | 57.0 | 59.2 | 57.8 | 55.6 | 60.6 | 65.5 |
13 | 讃岐 | 59.1 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 59.5 | 58.7 |
14 | 甲府 | 59.2 | 61.1 | 60.8 | 62.8 | 58.1 | 55.1 | 60.1 | 58.2 | 55.8 | 59.1 | 58.6 | 60.4 | 60.7 |
15 | 金沢 | 59.8 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 59.8 |
16 | FC東京 | 59.9 | 55.2 | 58.0 | 58.0 | 60.9 | 59.8 | 55.6 | 66.0 | 61.4 | 61.6 | 60.6 | 63.3 | 58.7 |
17 | 千葉 | 60.0 | 59.9 | 61.6 | 57.1 | 57.9 | 54.8 | 58.3 | 57.0 | 63.5 | 62.4 | 59.4 | 64.1 | 64.3 |
18 | 川崎F | 60.5 | 55.8 | 62.4 | 59.8 | 59.6 | 63.7 | 61.4 | 61.2 | 63.5 | 56.5 | 52.9 | 65.5 | 63.1 |
18 | 清水 | 60.5 | 63.7 | 61.0 | 66.9 | 55.4 | 64.0 | 57.8 | 58.8 | 56.8 | 60.9 | 60.6 | 59.6 | 60.2 |
20 | 徳島 | 60.9 | - | 55.4 | 58.2 | 59.8 | 64.2 | 65.4 | 60.9 | 56.8 | 61.8 | 61.0 | 61.3 | 65.5 |
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