サッカーコラム J3 Plus+　

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【移籍市場】今オフのセレッソ大阪の補強がなかなか面白い。 | | |　

■　昨今のJリーグのトレンドは・・・。

昨今のJ1のクラブの戦力補強のトレンドは「J2で活躍した選手中心の補強」になる。今オフでいうと横浜FM・柏・大分の3チームは「J2で活躍した選手中心の補強」を行っており、横浜FMはDF前貴之(山口)やDF山本義(金沢)やGK梶川(徳島)など、柏はFW呉屋(長崎)やMF仲間(岡山)やMF戸嶋(新潟)やMF神谷(愛媛FC)など、大分はMF野村直(徳島)やDF香川勇(長崎)やDF小出(甲府)などの獲得に成功した。

「下部リーグにも力のある選手がたくさんいる。」というのはJリーグの特徴になる。他の大半のリーグは下部リーグで活躍した選手はすぐにトップリーグのクラブに目を付けられて移籍をするので「下部リーグにいい選手が埋もれている確率」はあまり高くないがJリーグは1部と2部の差が他の大半のリーグと比べると小さい。2部にも資金力やブランド力を持ったチームがいくつもあるので2部にもいい選手がたくさんいる。

当然、J2でプレーしている選手の方が給料は安くて契約期間も短い。なので移籍金がかからないケースも多くて、仮に移籍金がかかったとしても微々たるになるだろう。J1での実績があってそれなりの給料を得ている選手と実力や評価や将来性という点であまり変わらない選手がJ2にもたくさんいるので「同じくらいの実力や評価や将来性であればJ2の選手を獲得した方がお買い得」と考えるのは全くもって正しい。

神戸のFW古橋やG大阪のMF小野瀬なども最初はJ2のクラブからスタートしてのし上がって来た選手である。スタート地点がどこであれ「実力さえあればのし上がることは十分に可能」と言えるのはJリーグのいいところである。今後はさらに「J2のクラブがJ3で活躍した選手中心の補強を行う時代」がやって来るだろう。今オフは水戸が「J3で活躍した選手中心の補強」を行っており、GK牲川(沼津)などを獲得している。

■　久しぶりに戻って来た梶野チーム統括部長

近年のJリーグはDAZN効果もあってどのクラブも資金力がアップしている。ライバルクラブを出し抜いて結果を残すためには知恵を振り絞って効果的で効率的な補強を行わないといけない時代に入っているが今オフでいうとC大阪も面白い補強を行っている。2015年からチーム統括部長を務めていた大熊氏が退団して梶野チーム統括部長が2013年以来の復帰を果たしたが梶野氏の好みが強く反映された補強になっている。

梶野チーム統括部長は2007年5月から2013年末までC大阪のチーム統括部長を務めていた。2007年というとC大阪はJ2に再降格して1年目。都並監督を招聘したが開幕から結果を出せずに苦労していた。チーム統括部長に就任した梶野氏の最初の仕事が「都並監督の解任とクルピ監督の招聘」だったがこの時にクルピ監督を招聘したことが後のC大阪の繁栄につながったのは言うまでもないところである。

前回、梶野氏がチーム統括部長を務めたときにMF香川、MF乾、MF家長、MF清武、MFキム・ボギョンなどを獲得しており、ユース所属だったMF山口蛍、MF扇原、FW杉本健、MF南野などの育成や成長にも大きくかかわっているがとにかく「若くて優秀なアタッカー」を獲得するケースが多い。「スタジアムにお客さんを呼べるのはアタッカーの選手なのでそのポジションを重点的に補強する。」という方針は分かりやすい。

大熊氏がチーム統括部長だったときのC大阪は働き盛りの年齢の選手を獲得するケースが多かった。MF福満などを獲得したこともあったが他クラブの有望株を獲得するケースは少なくて自然と平均年齢は上がった。当然、大熊体制のときに獲得したMF山村和やDF松田陸やMF水沼やFW奥埜などは重要な戦力になっており、大熊チーム統括部長の補強も的確だったがトップが交代したことで補強の方針は大きく変わった。

■　「これでもか！！！」と左利きの選手を獲得

今オフはMF水沼(→横浜FM)が流出してMFソウザ(→アルイティファク？)の移籍も確実となったがMF豊川(オイペン)、MF坂元(山形)、DF小池裕(鹿島)などを獲得。手薄だったリオ世代の主力候補をたくさん獲得したことで将来への見通しが明るくなった。大熊体制のときに加入が決まった選手になるがMF西川潤(桐光学園高)も加入するので一気に世代交代が進んでフレッシュな顔ぶれになることも十分に考えられる。

面白いのは「これでもか！！！」と左利きの選手を集めている点になる。MF西川潤(桐光学園高)ならびにDF田平(神戸弘陵学園高)は大熊氏の遺産になるがMF坂元とDF小池裕はレフティ。加入が確実視されているMFルーカス・ミネイロも左利きで、京都U-18出身で20歳のMF島村拓(ロンドリーナEC)も左利きになる。2019年に在籍した選手ではFW都倉やDF丸橋やFW澤上などが左利きだったが左利きが一気に増えた。

ロティーナ監督になってからポジショニングを大事にするサッカーに取り組んでいるがパスをつなごうとするときに要所に左利きの選手がいるといろいろと変化が生まれる。監督のリクエストもあったと思うがこれだけ徹底して左利きを補強するというのは面白い。2019年は右利きのMF水沼(→横浜FM)が右SHの主力だったが今シーズンはMF坂元やMF西川潤などレフティの選手が右SHでプレーする機会が多くなるだろう。

期限付き移籍になるがMF島村を獲得しているのも面白い。Jリーグでの実績はほとんどないのでJ3が主戦場になると思うが彼も左利きのアタッカーである。「センスのある若手のアタッカー」をたくさん獲得して試合で使って一流のアタッカーに育てるのを「クルピ&梶野コンビ」は大の得意にしていた。C大阪U-23の右SHでプレーする機会が多かったMF斧澤(→北九州)が抜けたのでMF島村がJ3でブレイクする可能性はある。

　→　2007/04/29 　【C大阪×草津】柿谷曜一朗という才能
　→　2010/05/16 　【C大阪×神戸】シンジ旅立ちの日（生観戦記 #4）