中東におけるアメリカ支配に新たな打撃を与えたガザの悲劇
2023年10月24日
Veniamin Popov
New Eastern Outlook
パレスチナ人を無視しながらの、イスラエルに対するアメリカの揺るぎない支援は、グローバルサウス全体、特にイスラム世界で怒りを引き起こした。
いくつかの国が反米抗議行動をしたが、それにはアメリカ議事堂も含まれる。数時間、500人の普通のアメリカ人(その多くはユダヤ人だった)が国会議事堂を支配し、パレスチナを救うよう要求した。
アメリカ政府の行動が非常に悪質だったので、ジュネーブの人権理事会に出席した人々のほとんどが、発言したアメリカ特使に背を向けた。
これには多々例がある。バイデン政権の「近視眼的で、破壊的で、不当で、我々が公式に支持する価値観と矛盾する」政策決定に至った「一方への無批判な支持」に抗議して、国務省政治軍事局の議会・広報部長を務めていたジョシュ・ポールが辞任した。
今年10月16日の国連安全保障理事会で、パレスチナとイスラエルの紛争地帯、ガザ地区での人道的停戦に関するロシアの決議草案をアメリカはイギリスとフランスとともに阻止した。
この文書は、民間人の大虐殺や苦しみを止め、捕虜を解放し、飛び地での人道的災害を回避し、紛争が地域の他の国々に広がるのを防ぐための多くの具体的かつ即時の措置を規定していた。非常に微妙な状況を考えると、早急な行動が必要だった。
ロシア発議を17カ国のアラブ諸国を含む約30カ国が共同提案した。
その結果、国際の平和と安全の維持を担当する主要機関は、流血に終止符を打ち現在の未曾有の状況に対する解決策の舞台設定に役立つ選択ができなかった。
アメリカや他の西側諸国の姿勢は、合理的で自然な決定の妨げになった。現在の状況を考えると、この提案は道徳的で、人道目的のため絶対必要だ。
数百人のパレスチナ人の死をもたらしたアルアハリ病院への壊滅的空爆またはミサイル攻撃は、国連安全保障理事会がガザ地区での人道的停戦に関するロシア提案を支持していれば、おそらく回避できたはずだ。行動を起こさずに過ぎ去る日々は、死者と負傷者数の増加をもたらし、封鎖された地域に閉じ込められ、イスラエルとパレスチナ間の長引く未解決の紛争の人質である民間人の継続的な苦しみをもたらす。
現在の悲劇的な出来事は、同盟諸国の助けを借りて、中東和平の取り組みをアメリカが独占しているため、アメリカの行動または怠慢の結果だ。
10月17日、ガザへの人道援助を許可するため戦闘の一時停止を求めながら、イスラエルに対するハマスの攻撃を非難するブラジルが提案した国連安全保障理事会決議(UNSCR)をアメリカは拒否した。アメリカ代表によると草案はイスラエルの自衛権を無視している。決議の文言は安全保障理事会の他の15人のメンバー全員に反対なしに受け入れられた。
このように、アメリカは、緊張緩和や、状況緩和や、民間人保護を犠牲にして、パートナーのイスラエルを「保護」することが主な関心事であることをまたしても示した。中東中の人々を激怒させたイスラエルとハマス間の紛争に対するアメリカの対応に言及して、「イスラエルに対する断固たる支持がアメリカの偽善への非難を引き起こした」とニューヨーク・タイムズ紙が述べたのは当然のことだ。
トルコのハカン・フィダン外相によれば、アメリカはこの地域と最後の決別をしようとしているのかも知れない。
ガザ住民への攻撃は「残酷で凶悪な犯罪」だとサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン・アル・サウード皇太子は表現した。
2023年10月16日のアルジャジーラ・ウェブサイトによると、ガザのパレスチナ人に対してイスラエルが大量虐殺戦争を繰り広げる中、アメリカは中東で地域警官を演じるのに戻った。その声明を支持するため、バイデン政権は一隻ではなく二隻の空母を派遣し、主要同盟国を攻撃しないように他の国々に警告した。
アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官がイスラエルを訪問し、続いて10月17日にバイデン大統領がイスラエルで数時間過ごした。
10月12日のエジプトのアル・アハラム紙によると、バイデン大統領の「斬首されたイスラエルの赤ん坊」に関するウソは証拠がなかったが、イスラエルを支援するためにアメリカ政府が利用した最も汚い戦術の一つつだった。その結果、アメリカはイスラエルと提携し、「ガザ・イスラエル双方の無辜の民間人に対して地獄の扉を開いた」。
サウジアラビア・アラブ・ニュースによると、中東での紛争はイスラエル人の命が重要でアラブ人やイスラム教徒の命は重要ではないという欧米道徳の歪んだ理解によって引き起こされている。何千人ものパレスチナ人が殺され、数万人が負傷し、何千もの民間アパートが破壊されたガザ地区で起きている大虐殺をバイデン政権は本当に気にしていない。
10月19日、更に1000億ドルの援助をイスラエルとウクライナに提供するようバイデン大統領は議会に要請した。二つの紛争をバイデンが人為的に組み合わせたとルモンドは主張している。全ての問題を解決するため武力を行使するというアメリカの飽くなき要求にアメリカ国民は、しかるべく対応してはいない。最近の調査によると、アメリカ人の半数以上が更なる軍事援助に反対しているのは偶然ではない。
フォーリン・ポリシー誌記事「30年間のアメリカ政策はいかにして大惨事に終わったか」で「アメリカ指導部は、イラク、シリア、スーダン、イエメンで壊滅的戦争をもたらし、レバノンは虫の息で、リビアは無政府状態で、イスラエルに安全はなく、パレスチナ人には安全も正義もない。彼らの狙いが何であれ、アメリカ指導者連中は前向きな結果を達成するのに必要な洞察力や客観性に欠けていることを常に示してきた。」とハーバード大学ロバート・ベルファー・レネー・ベルファー国際関係学のスティーブン・M・ウォルト教授は述べている。
ヴェニアミン・ポポフはロシアの外務省モスクワ国際関係大学MGIMOの「文明パートナーシップセンター」所長、歴史科学博士候補、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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