グッチやプラダについて言うのは止めなさい!中国人もロシア人も好きなように生きたいのだ
2019年4月9日
Andre Vltchek
欧米で講演する際、私はいつも繰り返し聞かされる。
「中国の共産主義は一体どういうものだろう? あらゆる大都市の全ての一流デパートにプラダとグッチの店がある。」
欧米左翼はこの話題に取りつかれている。彼らはその議論が実際どれぐらいばかばかしく、どれぐらい人種差別的か分かっていない!
約6,000年の歴史、人口13億人、世界で二番目に大きな経済の中国は、都市や地方の極端な貧困をほぼ絶滅させた。近代史で初めて、人々が都心から地方に移動している。生態文明の素晴らしい取り組みは、どのように環境と惑星を救うべきかを世界に示している。中国はその「中国の特徴を持った共産主義」の素晴らしいモデルでしっかり復活している。外交政策はますます国際主義だ。
だが中国がいっそう進歩的で、独立志向で、国民に優しくなると、それだけ益々欧米に攻撃され、反感を買うのだ。共産党モデルは一層子細に調べられる。
右翼や人種差別主義者や帝国主義者にそうされるのは当然だが、左翼によってというのは?
問題は、欧米左翼が右翼と同じぐらい例外主義に賛同していることだ。
左翼は中国やロシアのような国には、純粋さや多大な犠牲や質素な生活を要求するのだ。
既に「Revolutionary Optimism」を含め多くのエッセイや本で説明したように、ロンドンやパリには実際ほとんど何も残っていない。ほぼ誰にも何かイデオロギー的なもの、特に革命闘争に身を捧げるつもりは皆無だ。彼らがどのような政治的立場にあるかにかかわらず、犠牲や質素な生活はヨーロッパ人や北アメリカ人には全く無関係だ。
だが中国人とロシア人は聖人のように振る舞うよう期待されるのだ。
実際、世界全体が消費をやめ、高価な自動車を運転するのをやめ、ブランドものの靴やバッグを身につけるのをやめ、もし可能なら旅行もやめるよう期待されている。
これらすべての特権は、欧米人と属国エリートだけにとっておかれるのだ。
決して一気呵成に、そう言われることはない。だがそれが、欧米の左翼知識人が、連中の古びた、世界中から否定されている「アナルコ -サンディカリズム論理」で、全ての非欧米人に無理やり押し付けようと願っているものなのだ。
私は言いたい。このようなひねくれた論理は侮辱的で汚らわしくさえある。
欧米は何世紀も世界の至る場所で強奪し、略奪した。
イギリスとフランスの「紳士」はブランド・ブーツで「非人間」の股や尻をけったものだ。北アメリカやヨーロッパで、第一、第二世代の洗練された婦人がブランドの服を身につける一方、先住民は根絶され、プランテーションで奴隷が働いて、強姦されていたのだ。
欧米人がファッションやら、誰に「それを着る」権利があるかを語るのを私は好まない。ヨーロッパ人と北アメリカ人には、人を判断したり、世界中のどこであれ、どのように生きるべきか、何を身につけ、食べるべきかについて、人々に「助言したりする」権利など決してないと私は心から信じている。
*
ロシア人同様、中国人は実に一生懸命働く。彼らはドイツやフランスの大半の人たちよりずっと一生懸命働く。西洋人と異なり彼らは略奪しない。彼らは誰も搾取しない。
もし彼らが金を稼ぎ、好きなようにそれを使いたいと望むなら、欧米の偽善者が文句を言うのは余計なお世話だ。
ヨーロッパ人や北アメリカ人が(彼らのトイレの電灯を消したり、トイレでタンク半分の水を使ったりして)どれほど気乗りのしない「緊縮」措置をとろうと、彼らの国が犯し続けている略奪と、彼らの社会全体が享受する特権は圧倒的で未曾有だ。そして、ヨーロッパ人は数枚の紙を再利用しているが、彼らの多国籍企業は南米で帯水層を丸ごと奪い、民営化している。
ひどい欧米帝国主義から世界と環境を救うために、既に中国とロシアは、できる限りのことをしている。彼らがそのために働くなら、国民には最新の携帯電話や優雅な靴を買う権利は十分ある。もし彼らが休暇でタイやトルコ旅行を望むなら、全く結構だ。それで彼らは、今以上あるいは以下の共産党員や国際主義者になるわけでもない。
*
だが欧米の人々は、そうは考えない。
フランスやアメリカやイギリスの「同志」は実際、一体何が左翼か、何がそうでないか、あるいは、共産党員とは何か、資本主義者とは何かについて、全員が連中の定義を聞くよう要求するのだ。
中国やロシアの偉大な文化が、どのように自身を定義するか決めるのが信頼できないのだ。定義は、ロンドンのソファーで、あるいはニューヨークのバーや、ヨーロッパ中心主義の大学で解説されなければならないのだ。全面的に承認し、「野蛮人」に対して彼らが本当は誰かと言うのは「伝統的マルクス主義者」かアナルコ-サンディカリストでなければならないのだ。
欧米は「政治的配慮」に取りつかれているのかもしれないが、それは今まで同様人種差別的だ。人種差別的で、原理主義でもあるとつけ加えねばならない。
*
私に提案がある。中国とロシアの国民が適切な自動車を運転し、優雅な服を着るのを望んでいることについて、欧米がそれほど気にするのなら、彼らは、そもそも自分たちの国々で、そうした製品の製造停止を要求しないのだろう。フランスやイタリアやアメリカで。彼らの国は何百万という仕事を失うだろうが、彼らにそれほど確固たる信念があるなら、そうすれば良いだろうに? 自分自身ぼろを着れば良いではないか?
真面目な話、彼らはなぜ自身「本物の純粋な」共産主義を作ろうとしないのだろう?
これまで、彼ら欧米「左翼」がしたことと言えば、カメレオンのように色を変えただけだ。彼らは社会主義も共産主義も裏切り、全く何もせず、戦うかわりに、実際により良い世界を築くことで忙しい他の人々を絶えず批判しているのだ。
我々は彼らに家庭教師をされ、助言されるのはもう嫌なのだ。私は北アメリカとヨーロッパのぜいたくな別荘で、豪華な椅子とソファーに座って、高価な酒をのみながら、中国人やロシア人とベトナム人は最新携帯電話やブランドの服をやめるべきであるかを聞くのにうんざりしている。どこかニューイングランドの贅沢なマリーナの邸宅に住むアナルコ・サンジカリストが「少数の億万長者がいるから、中国は本当は共産党ではない」という類の奇異な発言など聞きたくない。
私の映画の封切りや私の新刊刊行の折りに講演のため欧米を定期的に訪れる。夜は「高尚な抽象的道徳の場」に招待される。アフリカやアジアの新植民地化された国の国民よりも犬が良い暮らしをしている場所に。それは常に同じ事の繰り返しだ。
そして今回、私は本当にうんざりしている。
有り難いが、我々に助言は不要だ。我々は、ありのままの自分を知り、明確にするのに十分な頭を持っている。
欧米の「左翼」は自身の問題を処理するべきだ。彼らは自国で、自身の大陸で負けたのだ。現在彼らは世界を引き起こすことができる人物が一人もいない。彼らができる全てと言えば、正真正銘の革命家や共産主義と社会主義両方が、しっかり政権を握っている国に吠えることだ。彼らが言うことに重要なものが何もないから吠えるのだ。彼らは戦う勇気を持っていないから吠えるのだ。彼らは決して選ばれないから吠え、実際に支配する力は持っていない。彼らは実際、正真正銘の共産主義者や社会主義者が全く好きではないから彼らは吠えるのだと私は信じている。本物の世界で本物の問題と本物の敵に直面している人々を。
共産主義と社会主義は、至る所、アジアやラテンアメリカのいくつかの国や中東でさえ勝利した。そこの人々は勇敢に戦った。欧米左翼のおかげではなく、欧米左翼にもかかわらず、彼らは勝利したのだ。
既に我々は、欧米の尊大な自己中心的な例外主義は宗教的狂信に類似していると判断した。欧米左翼も例外ではない。
彼らは我々が単に「純粋な」だけでは満足せず、貧しく、屈辱を受けた、従順な我々を必要としている。彼らは我々を哀れに思い、いつも彼らが我々自身のためではなく、彼ら自身のもので)我々を救おうとしているふりをすることができる。
彼らにとって不幸なことに、我々は彼らの慈愛を必要としていない。我々は勝利しつつある。目の見えない人以外誰でも、中国とロシアが堂々と前進しているのが明らかに見える。そして他の独立志向の国々も同様に勝利しつつあるのだ。
我々は自分が誰か正確に知っている。助言は無用だ。我々の女性や男性がブランドものの服を着たり良い自動車を運転したりしても我々が脅かされるわけではない。実際そうではないと主張するのはあきれるほどの上から目線の態度だ。人種差別のたわごとだ。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書ている作家。オンライン誌 「New Eastern Outlook」独占記事。
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鶴岡八幡宮にでかけたが、まるで昔経験した朝の通勤ラッシュの混雑のよう。アレックス・カー氏の『観光亡国論』 (中公新書ラクレ)を実感。山の手線は不具合で、東海道線は事故で不規則運行だった。中国語や韓国語が聞こえた。英語やスペイン語やフランス語も。ロシア語は聞かなかった。
映画『主戦場』が描きだしているように、日本会議の活動は実に強力だ。それに対抗すべき野党共闘の現実が、どの程度か示されたわけだろう。論戦を見れば、どちらに理があるかあきらかだが、政治的現実は、悪の側の圧倒的勝利状態。消費税増税を延期にしてのダブル選挙の結果も、想像できそうだ。映画『主戦場』の監督の懸念が実現する可能性は益々高くなっている。
『主戦場』の中で、LGBTに対する暴言で悪名高い議員、韓国や中国が日本のようなハイテク製品を作れないくやしさが、慰安婦問題をあおる原因の一つであるかのようなことを平然と語っていた。韓国や中国のハイテク企業と、日本企業、どちらにより勢いがあるかについて、小生の認識と全く異なっているので、驚いた。こういう人々は、まともな産業政策を本気で考えるわけがない。
昨日、たまたま金子勝氏と高橋洋一氏の討論番組をちらり見た。日本の産業の未来を懸念する金子勝氏に対し、雇用があればいいではないですかという高橋洋一氏に唖然。今、金子勝氏の『平成経済 衰退の本質』を拝読中。
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