横山秀夫さんの作品を読むのは初めてでしたが、面白かったです。現職の警察官・梶聡一郎が、アルツハイマー病の妻を殺したと自首してきました。梶は取調にも素直に応じますが、なぜか妻の殺害後の2日間については口を閉ざします。物語は事件に関わった、警察官、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官の6つの視点から語られます。梶に関わった人々は、なんとか真相を明らかにしようとしますが、組織のしがらみや個人的な事情な...
時々の記録
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京極夏彦さんの「陰摩羅鬼の瑕」を読み終えました。この本は先に読んだ「邪魅の雫」以前に起きた事件を描いたものです。「邪魅の雫」を読んでいる時、記憶にない登場人物がいたので不思議に思ったら、この本を読み忘れていたのでした。(^^;今回の事件は、元華族で鳥の城と呼ばれる屋敷で起きた殺人事件です。屋敷の当主・由良昂允は、これまでに4回花嫁を迎えていました。ところが、その4回とも新婚初夜の翌日に、花嫁が不可解な...
10年以上ぶりに、京極夏彦さんの京極堂シリーズを読み終えました。最初は文庫で読もうと思ったのですが、このシリーズはレンガのようなノベルズ版でないとこれじゃない感があったので、図書館でノベルズ版を借りて読みました。(^^;物語は青酸カリによる連続毒殺事件と、薔薇十字探偵社の見習い(?)益田が榎木津の縁談が破談になる理由を調べることになるところから始まります。その過程で毒殺事件に使われた青酸カリは、特殊なもの...
大倉崇裕さんの福家警部補シリーズ第2作、「福家警部補の再訪」を読み終えました。今回は4つの事件を福家警部補が解決します。「マックス号事件」は、人気の客船で警備会社の社長が起こした事件です。「失われた灯」は、大人気の脚本家が自作自演の誘拐事件を仕組み、不可能と思える状況で殺人を行います。「相棒」は、落ち目の漫才コンビの解消にまつわる事件。「プロジェクトブルー」は、フィギュアの世界を舞台にしたお話でし...
大倉崇裕さんの「福家警部補の挨拶」を読み終えました。ミステリー作品としては珍しく、この作品では最初に犯人が事件を実行するところから始まります。読者は犯人をわかった上で、それを主人公の福家警部補がどう立証するのかを楽しむ作品でした。この手の作品だと、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などが有名ですね。この本には、4つの作品が収録されています。「最後の1冊」は、経営が苦しい図書館にまつわるお話。「オッカ...
ビブリア古書堂シリーズの第7巻、「ビブリア古書堂の事件手帖 〜 栞子さんと果てのない舞台 〜」を読み終えました。6巻までと比べると、刊行までに時間がかかった7巻でしたが、この7巻でついに物語が完結しました。今回のメインは、シェイクスピアのファースト・フォリオです。そして、栞子さんと大輔の家系にまつわる問題。栞子さんと母の智恵子との対決。さらに、智恵子の父にあたる久我山尚大の弟子であった、老獪な古物商...
中山七里さんの岬洋介シリーズ第4作、「どこかでベートーヴェン」を読み終えました。今回は今までと趣向を変えて、岬洋介がまだ高校生の頃のお話でした。物語の語り手となるのは、洋介の級友の鷹村亮です。岐阜県にある加茂北高校の音楽科に、岬洋介が転校してきました。しかし洋介の転校をきっかけに、音楽科の抱えている暗部が次第に表面化してきます。そして洋介が、他の生徒にはできない卓越したピアノ演奏をしたことで、洋介...
先日読み終えた「白昼の死角」が面白かったので、高木彬光さんの他の作品も読んでみたくなりました。今回読んだのは、日本探偵作家クラブ賞を受賞した「能面殺人事件」です。探偵の高木彬光の元へ、知人の石狩検事からの手紙が届きます。そこには、事件の解決半ばにして事件から離れた高木に、代わりに探偵役を務めた柳光一の詳細な手記と、石狩検事自身の手紙が同封されていました。物語の舞台となるのは、終戦直後の昭和21年です...
次は検事霧島三郎あたりを読もうかと思っていたのですが、そういえば高木彬光さんには神津恭介シリーズがありましたね。
神津恭介のシリーズにも興味が出てきましたので、そちらも探してみたいと思います。
高木彬光さんの「白昼の死角」を読み終えました。この作品は、著者である高木彬光が偶然であった天才的な詐欺師・鶴岡七郎から、その驚くべき犯罪の内容を聞いて書き留め、それを本人との約束の期日を守った上で発表したという形式で語られています。舞台となるのは、終戦直後の日本です。東大の学生だった鶴岡は、金融に関して天才的な頭脳を持っていた隅田光一たちと共に、太陽クラブという金融会社を立ち上げました。会社は隅田...
紀田順一郎さんの「古書収集十番勝負」を読み終えました。舞台となっているのは、1980年代後半〜1990年代前半のバブル時代の神保町です。神保町に古くからある村雲書店では、主の源三郎が病に倒れ、その後継者を決めることになりました。長女・富世子の夫の倉島と、侍女・信子の夫の蜷川は、激しくいがみ合っています。そこへ源三郎から、1つの提案がされました。源三郎が指定した10冊の古書を、より多く集めた方がお店の後継者と...
三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」の第6巻を読み終えました。前巻の終わりで、栞子に重傷を負わせた田中敏雄が保釈されて、栞子が燃やしたと偽った太宰治の「晩年」を再び狙っていることが匂わされました。そして、物語の冒頭では、なぜか物語の語り手である五浦大輔が負傷して病院に入院しています。そこに栞子の母・智恵子が訪れました。ここから物語は、大輔が智恵子にことの経緯を説明する回想へと突入します。田中の...
有栖川有栖さんの「江神二郎の洞察」を読み終えました。これまで読んできた学生アリスが登場するシリーズは、全て長編でした。しかし、この「江神二郎の洞察」はアリスが推理小説研究会に入部してからの1年を追った短編集でした。英都大学に入学したアリスは、ふとした偶然から江神と知り合いました。そのままアリスは、江神が部長を務める推理小説研究会に入部することになったのでした。収められた短編の内容は、長編と比べると...
三上延さんのビブリア古書堂の事件手帖シリーズ、第5巻「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~」を読み終えました。今回は、栞子に告白した五浦に、栞子がどう答えるかが軸となって物語が進みました。お話としては、古本の紹介雑誌である「彷書月刊」を扱ったもの、手塚治虫さんの「ブラック・ジャック」を扱ったもの、寺山修司さんの「われに五月を」を扱ったものの3つの物語が収録されていました。基本的にこ...
岡崎琢磨さんの「珈琲店タレーランの事件簿」を読み終えました。京都の裏路地にひっそりとお店を構えた珈琲店。それが物語のメインとなる珈琲店タレーランです。偶然そのお店を知った主人公は、そこで理想とするコーヒーをいれてくれるバリスタと出会いました。それが主人公と、バリスタである切間美星との出会いでした。美星は、コーヒーをいれる腕だけでなく、推理力も持っていました。そして美星は、お店に持ち込まれるささやか...
三上延さんのビブリア古書堂シリーズ第4弾、「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~」を読み終えました。第4弾となる今回は、いよいよ栞子さんの母親・篠川智恵子が物語に関わってきました。これまでは連作短編といった形を取っていたこの作品ですが、今回は江戸川乱歩の作品にターゲットを絞った長編になっています。これまでは、古書の蘊蓄があちこちで語られていましたが、今回はそれは減って、謎解きと栞子さんと...
中山七里さんの「いつまでもショパン」を読み終えました。この作品は、「さよならドビュッシー」から始まる岬洋介を探偵役としたシリーズの第3作です。今回の舞台は、ポーランドで行われるショパンコンクールです。物語の語り手となるのは、ポーランドのピアノの名門家庭に育ったヤン・ステファンスです。彼はポーランドの期待の星として、世間からの注目を集めていたのでした。そして、コンクールの予選が始まりました。各演奏者...
相沢沙呼さんの「午前零時のサンドリヨン」を読み終えました。相沢さんの作品は、以前若手作家の作品を集めた「放課後探偵団」で読みました。その時の感想を読み返してみると、マジックを使った内容が面白かったものの、ライトすぎると感じていました。それ以来、相沢さんのことは忘れてしまっていたのですが、最近文庫でこの「午前零時のサンドリヨン」が発売されて、久しぶりに作品を手にすることになりました。高校生の須川君は...
小林英樹さんの「フェルメールの仮面」を読み終えました。著者は大学の教授で、これまではゴッホの作品を解説する本などを書かれていたようですが、本書が初のフィクション作品となるらしいです。この物語では、現在と過去の2つの視点から物語が語られます。現在は、折原祐一郎という青年が主人公となっています。幼い時から画才のあった祐一郎は美大への進学を目指しますが挫折します。その代わり、パリで絵画の塾を開いているシ...
北森鴻さんの香菜里屋というビアバーを舞台にした連作短編集、「花の下にて春死なむ」を読み終えました。三軒茶屋の路地裏にあるビアバー、香菜里屋のマスター工藤は、年齢不詳の不思議な人物です。その上、彼はお客の話を聞いただけで、その裏にある本質を見抜いてしまうという才能もあったのでした。そんなお店に集まってくるお客が持ってきた事件が、次々と語られていく短編集です。この本には、表題作「花の下にて春死なむ」、...
ドラマ化されるらしい坂木司さんの「青空の卵」を読み始めたのですが、第1話に出てきた登場人物の身勝手な論理と主人公コンビの男同士とは思えない関係が気持ち悪くて挫折してしまいました。別の作家の本に手を出そうかと思いましたが、先の作品とは全くつながりがなさそうな本があったので、これを読んでみることにしました。それが、今回読み終えた「先生と僕」でした。伊藤二葉は地方から上京してきた大学生です。そんな彼は、...
坂木司さんの「和菓子のアン」を読み終えました。もうすぐ高校を卒業する梅本杏子は、将来の進路で迷っていました。大学に進んで勉強したいほどの意欲もなく、学費で家計の負担になりたくありません。かといって、何かやりたい仕事があるわけでもありません。そんな彼女が出会ったのは、デパ地下に出店していた和菓子屋さんでした。もともとちょっと小太りで食べるのが好きな杏子は、そこで働くことを決めたのでした。初めて触れる...
三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの第3弾です。今回は、前巻で明らかになった栞子さんのお母さんがどんな人だったのか、少しずつ見えてくるようなお話でした。第1話では、古本市に参加したビブリア古書堂がトラブルに巻き込まれるお話でした。登場する作品は、ロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」です。ヤングの作品は、「ジョナサンと宇宙クジラ」くらいしか読んだことがありませんが、「たんぽぽ娘」という...
北森鴻さんの旗師・冬狐堂シリーズ第4弾、「瑠璃の契り」を読み終えました。今作では、4本の短編が収録されていました。「倣雛心中」では、何度販売しても売り主の元に戻ってくる人形が、「苦い狐」では陶子が絵画制作に見切りをつけた経緯が、「瑠璃の契り」では陶子の親友・横尾硝子にまつわるお話、「黒髪のクピド」では久々に陶子の元旦那・プロフェッサーDが登場しました。どの作品も古物にまつわる豊富な知識と、その背後...
湊かなえさんの「贖罪」を読み終えました。とある田舎町の小学校で、1人の少女が惨たらしく殺害されました。犯人の顔を目撃したはずの少女4人は、全員その顔を思い出せないと言います。そんな彼女たちに、母親はひどい言葉を投げつけました。それが原因で、4人の少女は自分たちの運命を大きく狂わせていくことになるのでした。内容的には、とても陰惨で重いお話でした。4人それぞれに悲惨な運命が待っているので、正直何度も途...
北森鴻さんの旗師・冬狐堂シリーズ第3弾、「緋友禅」を読み終えました。前二作は長編でしたが、このシリーズの3作目は短編3本、中編1本からなる作品集でした。「陶鬼」では萩焼、「『永久笑み』の少女」では埴輪、「緋友禅」ではタペストリー、「奇縁円空」では円空仏が扱われています。例によって、冬狐堂は古物に関わるだけでなく、事件に巻き込まれてしまいます。その謎解きも楽しいですが、それ以上にその過程で語られる古...
鏑木蓮さんの「しらない町」を読み終えました。主人公の門川誠一は、映画監督を夢見て故郷の島根から出てきました。一度は東京に出てがんばったものの、そこでの人間関係がうまくいかず、大阪へと移り住みました。映画監督への夢は失っていないものの、今ではアパート管理のバイトと夜間警備のバイトで食いつないでいます。ある日、門川は自分が管理するアパートの住人・帯屋が亡くなっているのを発見しました。一人暮らしの帯屋は...
先日読み終えた北森鴻さんの冬狐堂を主人公にした作品に続編があると知って、読んでみました。前作でも贋作事件に巻き込まれた陶子でしたが、今回はある事件に関わったことをきっかけに古物商としての鑑札を奪われる事態になってしまいました。全てのことの起こりは、陶子がとある市で青銅鏡を手に入れたことから始まります。その一風変わった青銅鏡に、陶子は魅せられてしまいました。しかし、その青銅鏡がとある屋敷から持ち出さ...
先に読んだ「悪の教典」が面白かったので、同じ貴志祐介さんの「硝子のハンマー」を読んでみました。物語は2部構成でした。第1部では、監視カメラや暗証番号付きエレベータなどで保護された社長室で、社長の穎原が頭部を撲殺されました。しかし監視カメラには侵入者の映像はなく、唯一の社長室へのルートは専務室からの扉だけでした。弁護士の青砥純子は、警察から犯人と疑われた専務の久永の弁護を引き受けました。しかし、いろ...
「黄金の鍵」「一、二、三、死」「大東京四谷怪談」「現代夜討曽我」
「仮面よさらば」
の五つは名探偵神津恭介シリーズを読んでからの方が楽しめるかもしれません