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2014-12-27 (Sat) 23:50

ビブリア古書堂の事件手帖 (6)/三上 延

ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」の第6巻を読み終えました。

前巻の終わりで、栞子に重傷を負わせた田中敏雄が保釈されて、栞子が燃やしたと偽った太宰治の「晩年」を再び狙っていることが匂わされました。そして、物語の冒頭では、なぜか物語の語り手である五浦大輔が負傷して病院に入院しています。そこに栞子の母・智恵子が訪れました。ここから物語は、大輔が智恵子にことの経緯を説明する回想へと突入します。

田中の件を大輔と栞子が知って、2人が警戒している中、なんと当の田中敏雄本人から大輔に本を探して欲しいという依頼が入りました。それは以前の事件の時に、田中が盗もうとしたのと同じ「晩年」でした。しかし、今回の依頼は、栞子が持っていた晩年ではなく、彼の祖父である田中嘉雄が持っていた何やらいわくありげな「晩年」だったのでした。

大輔がそれを栞子に伝えると、彼女はその依頼を引き受けると言いました。それは、もし田中が栞子の時のようにその「晩年」を狙っているなら、そのことを持ち主に警告しようと考えたからです。こうして大輔と栞子は、45年前の出来事を探ることになるのでした。その過程で、大輔の家系もこの事件に関わりがあることがわかりました。

そして栞子は、事件の背後に隠れていた真実を見つけ出すのでした。それがどう大輔の負傷とつながるかは、ネタバレになるので書きません。(^^;

ただ、この巻ではこれまでに張り巡らされてあった伏線が、一気に回収されました。そして物語は、大輔が栞子の母・智恵子の家系の秘密に気づくところで終了しました。「あとがき」によれば、この作品は次かその次くらいで完結するようです。長々と続くけれど、きちんと完結しない作品も多い中で、これは喜ばしいことだと思いました。

この巻を読んで、本に内容以上の価値を求めるのはやめようと思いました。歴史的に、金銭的に価値のある本がありますが、それを求めて本を手に入れることは、本が作られた目的に反すると思ったからです。
印刷技術の発展により、さまざまな本を私たちは安価に手にすることができるようになりました。そこには、知識を一部の特権階級に独占させるのではなく、より多くの人に広めようという意志があったと思います。
稀覯本をありがたがることは、この考えに逆行するものだと思います。そして本の価値は、何よりもまずその内容にあることを忘れてはいけないと思いました。

最終更新日 : 2022-10-30

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