小林英樹さんの「フェルメールの仮面」を読み終えました。著者は大学の教授で、これまではゴッホの作品を解説する本などを書かれていたようですが、本書が初のフィクション作品となるらしいです。
この物語では、現在と過去の2つの視点から物語が語られます。現在は、折原祐一郎という青年が主人公となっています。幼い時から画才のあった祐一郎は美大への進学を目指しますが挫折します。その代わり、パリで絵画の塾を開いているシャセリオという教師の下で徹底的に古典作品の模写と修復の技術について学びます。塾を卒業する時、祐一郎は素晴らしい模写作品を何枚も仕上げる功績を挙げていたのでした。
過去の主人公となるのは、貧しいながらも画才がある青年・アンリです。彼は絵で身を立てようとパリへと出てきました。そして、祐一郎と同じようにアンリもまた徹底的に模写の技術を学ぶのでした。仕事でオランダへ赴いたアンリは、そこでフェルメールの作品と出会って魅せられました。そこからアンリとフェルメールの作品の模写との関わりが生まれたのでした。
現在と過去の物語は、最初はあまり交わることなく展開します。ところが、お話が後半になるに従って、2つのつながりが見えてくると俄然面白くなりました。祐一郎とアンリは、それぞれの関わり方で贋作と関わるようになってしまったのです。思わぬ運命に翻弄される2人の青年の人生が、とても興味深く描かれていました。
この作品が凄いのは、著者が美術の専門家ということもあり、作中での絵画の描写や作画技法などが事細かに語られている点です。そういった素晴らしい描写のおかげで、文字を読んでいるはずなのに、実際に描かれた絵の生き生きとした様子が目に浮かぶようでした。これまで絵画にはあまり興味がありませんでしたが、この作品を読んだことで、今までとは違った目で絵と接することができそうな気がしました。
この物語では、現在と過去の2つの視点から物語が語られます。現在は、折原祐一郎という青年が主人公となっています。幼い時から画才のあった祐一郎は美大への進学を目指しますが挫折します。その代わり、パリで絵画の塾を開いているシャセリオという教師の下で徹底的に古典作品の模写と修復の技術について学びます。塾を卒業する時、祐一郎は素晴らしい模写作品を何枚も仕上げる功績を挙げていたのでした。
過去の主人公となるのは、貧しいながらも画才がある青年・アンリです。彼は絵で身を立てようとパリへと出てきました。そして、祐一郎と同じようにアンリもまた徹底的に模写の技術を学ぶのでした。仕事でオランダへ赴いたアンリは、そこでフェルメールの作品と出会って魅せられました。そこからアンリとフェルメールの作品の模写との関わりが生まれたのでした。
現在と過去の物語は、最初はあまり交わることなく展開します。ところが、お話が後半になるに従って、2つのつながりが見えてくると俄然面白くなりました。祐一郎とアンリは、それぞれの関わり方で贋作と関わるようになってしまったのです。思わぬ運命に翻弄される2人の青年の人生が、とても興味深く描かれていました。
この作品が凄いのは、著者が美術の専門家ということもあり、作中での絵画の描写や作画技法などが事細かに語られている点です。そういった素晴らしい描写のおかげで、文字を読んでいるはずなのに、実際に描かれた絵の生き生きとした様子が目に浮かぶようでした。これまで絵画にはあまり興味がありませんでしたが、この作品を読んだことで、今までとは違った目で絵と接することができそうな気がしました。
最終更新日 : 2022-10-30