■ ラストパスの本数に注目すると・・・。攻撃的なポジションの選手の場合、ゴール数とアシスト数の2つで評価を下されることが多い。「数字を残したい。」、「分かりやすい結果を残したい。」とコメントする選手は多いが、「数字」や「分かりやすい結果」というのは「ゴール」や「アシスト」を意味する。ただし、いくら味方選手に好パスや好クロスを供給できたとしても味方選手が最後のシュートを決めてくれないと「アシスト」とは記録されない。
逆に単なる横パスを味方選手に出したケースでパスを受けた味方選手が素晴らしいロングシュートを決めた場合にもアシストは記録される。結局、アシストというのはブレの大きいスタッツなので「アシスト数の多い・少ない。」からプレーヤーの優劣を判断しようとすると誤った結論に達するケースは多い。アシスト数というのは選手のパフォーマンスを判断する時に1つの目安になるが、あくまでも目安の1つに過ぎない。
各プレーヤーがどれだけチャンスを演出できているのか?を考えるときはドリブル数やクロス数なども有効な指標になるが「ラストパスの数」も重要な指標の1つになる。J1の18節が終了した時点で「ラストパスの本数」が最多となるのはやはりMF中村憲(川崎F)で53本。2位のMF中村俊(磐田)は44本なのでMF中村憲が頭1つ抜け出ている。2016年のJリーグMVPのMF中村憲は今シーズンも素晴らしいプレーを続けている。
■ CBとして突出しているDF福森晃斗(コンサドーレ札幌)2位のMF中村俊(磐田)は新天地でも中心として大きな存在感を発揮していると言える。3位はMF柏木(浦和)で41本。ここ最近は日本代表から漏れているがJリーグを代表するゲームメーカーであり、パサーであると言える。4位はDF福森晃(札幌)で37本。18節の大宮戦(A)では「1試合で2つの直接FKを決める。」という離れ業を演じたが左足のキックは正確無比。札幌の最大のストロングポイントになっている。
DF福森晃はプレイスキッカーを務めるケースが多いがそれでも「CBのポジションの選手がラストパスの本数で上位に来る。」というのはかなり異例である。ちなみにCBでプレーする選手の中で2番目にラストパスの本数が多いのはDF森脇(浦和)とDF塩谷(広島)で14本。DF福森晃の37本というのは突出した数字である。今シーズンも3バックの左でプレーするケースが多くなっているが市場価値は高まる一方である。
5位はMF天野純(横浜FM)で36本。MF中村俊の後継者として期待されているが多くのチャンスを生み出していることが分かる。6位はFWクリスティアーノ(柏)で35本。強烈なミドルシュートが最大の武器となるが鋭いクロスも大きな武器となる。7位はMF伊東純(柏)で33本。右サイドから今シーズンも多くのチャンスを演出している。MF伊東純のスピードはJ1の中ではトップクラスと言える。右足のキックの精度も高い。
■ ターゲット役のFW長沢駿(ガンバ大阪)が8位8位はFW長沢駿(G大阪)で32本。ここまでの7名は味方のチャンスシーンを演出するプレーを(or も)期待されるタイプの選手だったが、FW長沢駿は完全なストライカーである。ターゲット役になることを期待されている選手なのでこれまでに名前が挙がった選手とは全く違ったタイプである。192センチのサイズを駆使して後方からのロングボールに競り勝って味方に多くのシュートチャンスを提供できていると考えられる。
9位は首位に立っているC大阪の左SBのDF丸橋(C大阪)で31本。SBの選手としては最多となる。SBの選手の中で2番目にラストパスの本数が多いのはDF太田宏(FC東京)で27本。今シーズンのDF丸橋は左SBとしてJ1屈指の働きを見せている。10位はMF柿谷(C大阪)で30本。18節を終えた時点で3ゴールのみ。ゴール数がなかなか増えないことを指摘されるケースが多くなっているがチャンスにはたくさん絡んでいる。
11位はMF関根貴(浦和)で29本、12位はMF柏(広島)とMF柴崎晃(広島)とMF齋藤学(横浜FM)とMF小林悠(川崎F)で28本、16位はMFソウザ(C大阪)とDF太田宏(FC東京)で27本、18位はMF手塚(柏)とMF遠藤(G大阪)で26本、20位はFWチアゴ・アウベス(清水)とMF原川(鳥栖)とFW興梠(浦和)で24本となる。前半戦のJ1でMVP級の働きを見せたMFソウザ(C大阪)は16位タイ。攻守両面でチームに貢献できる。
表1. ラストパスの本数のベスト30 (18節終了時点)
順位 | 名前 | 所属 | 出場 | 出場時間 | ラストパス |
1 | 中村 憲剛 | 川崎F | 16 | 1,404 | 53 |
2 | 中村 俊輔 | 磐田 | 15 | 1,387 | 44 |
3 | 柏木 陽介 | 浦和レッズ | 15 | 1,309 | 41 |
4 | 福森 晃斗 | 札幌 | 17 | 1,623 | 37 |
5 | 天野 純 | 横浜FM | 18 | 1,737 | 36 |
6 | クリスティアーノ | 柏 | 18 | 1,643 | 35 |
7 | 伊東 純也 | 柏 | 18 | 1,563 | 33 |
8 | 長沢 駿 | G大阪 | 18 | 1,466 | 32 |
9 | 丸橋 祐介 | C大阪 | 18 | 1,707 | 31 |
10 | 柿谷 曜一朗 | C大阪 | 18 | 1,635 | 30 |
11 | 関根 貴大 | 浦和 | 18 | 1,461 | 29 |
12 | 小林 悠 | 川崎F | 18 | 1,699 | 28 |
12 | 柏 好文 | 広島 | 13 | 1,066 | 28 |
12 | 柴崎 晃誠 | 広島 | 17 | 1,456 | 28 |
12 | 齋藤 学 | 横浜FM | 16 | 1,521 | 28 |
16 | 太田 宏介 | FC東京 | 18 | 1,650 | 27 |
16 | ソウザ | C大阪 | 17 | 1,591 | 27 |
18 | 手塚 康平 | 柏 | 14 | 1,200 | 26 |
18 | 遠藤 保仁 | G大阪 | 17 | 1,290 | 26 |
20 | 興梠 慎三 | 浦和 | 18 | 1,700 | 24 |
20 | チアゴ アウベス | 清水 | 10 | 673 | 24 |
20 | 原川 力 | 鳥栖 | 18 | 1,546 | 24 |
23 | チアゴ ガリャルド | 新潟 | 18 | 1,254 | 22 |
23 | 渡邉 千真 | 神戸 | 18 | 1,572 | 22 |
23 | 杉本 健勇 | C大阪 | 18 | 1,653 | 22 |
26 | 松下 佳貴 | 神戸 | 18 | 1,438 | 21 |
26 | 遠藤 康 | 鹿島 | 15 | 1,041 | 21 |
26 | フェリペ シウバ | 広島 | 11 | 643 | 21 |
26 | 清武 弘嗣 | C大阪 | 11 | 805 | 21 |
26 | 山村 和也 | C大阪 | 17 | 1,478 | 21 |
■ 90分あたりのラストパスの本数は・・・。今度は「90分あたりのラストパスの本数」に注目してみた。ランキングの対象となるのは「出場時間が180分以上の選手」であるが、1位はこちらもMF中村憲(川崎F)で3.397本/90分。2位はFWチアゴ・アウベス(清水)で3.210本/90分。3位はMFフェリペ・シウバ(広島)で2.939本/90分。FWチアゴ・アウベスの左足のキックは正確無比。今夏の移籍の噂も流れているが途中加入ながら大きな存在感を発揮している。
3位のMFフェリペ・シウバはプレシーズンの段階でゴールを量産。新10番として期待されながら結果を残すことができなかった。広島は降格圏に低迷しており、MFフェリペ・シウバの不振が低迷の大きな理由と言われるケースが多いが、各種のスタッツを見ると極めて優秀。攻撃的な能力が相当に高い選手であることは間違いないなさそうだ。巡り合わせも悪くて正当な評価を得ることができなかった。
4位はMF中村俊(磐田)、5位はMF柏木(浦和)となるが、6位にはMF上田康(磐田)、7位にはMF藤本淳(G大阪)、8位にはMF中村充(鹿島)が入った。MF上田康もMF藤本淳もMF中村充も思うように出場機会に恵まれない前半戦だったが短い出場時間でまずまずチャンスに絡んでいると言える。9位はMF柏(広島)。怪我のためシーズン序盤の数試合を欠場したが、彼が離脱したのは広島にとって大きなマイナスだった。
10位はFW田中順(神戸)となる。MFフェリペ・シウバ(広島)と同様で「期待ハズレ」と言われるケースが多いが、同じように結構な数のチャンスに絡んでいたことを数字が示している。11位はMF清武(C大阪)、12位はMF家長(川崎F)、13位はMF水沼(C大阪)、14位はFW内村(札幌)、15位はDF福森晃(札幌)と続いていく。怪我に苦しんでいるが、さすがにMF清武(C大阪)は試合に出場したら違いを生み出すことが出来る。
表2. 90分あたりのラストパスの本数のベスト30 (18節終了時点)
順位 | 名前 | 所属 | 出場 | 出場時間 | ラストパス | ラストパス/90分 |
1 | 中村 憲剛 | 川崎F | 16 | 1,404 | 53 | 3.397 |
2 | チアゴ アウベス | 清水 | 10 | 673 | 24 | 3.210 |
3 | フェリペ シウバ | 広島 | 11 | 643 | 21 | 2.939 |
4 | 中村 俊輔 | 磐田 | 15 | 1,387 | 44 | 2.855 |
5 | 柏木 陽介 | 浦和 | 15 | 1,309 | 41 | 2.819 |
6 | 上田 康太 | 磐田 | 5 | 248 | 7 | 2.540 |
7 | 藤本 淳吾 | G大阪 | 12 | 719 | 20 | 2.503 |
8 | 中村 充孝 | 鹿島 | 10 | 604 | 16 | 2.384 |
9 | 柏 好文 | 広島 | 13 | 1,066 | 28 | 2.364 |
10 | 田中 順也 | 神戸 | 16 | 763 | 20 | 2.359 |
11 | 清武 弘嗣 | C大阪 | 11 | 805 | 21 | 2.348 |
12 | 家長 昭博 | 川崎F | 8 | 275 | 7 | 2.291 |
13 | 水沼 宏太 | C大阪 | 8 | 534 | 13 | 2.191 |
14 | 内村 圭宏 | 札幌 | 10 | 261 | 6 | 2.069 |
15 | 福森 晃斗 | 札幌 | 17 | 1,623 | 37 | 2.052 |
16 | ウエスクレイ | 神戸 | 12 | 625 | 14 | 2.016 |
17 | 長沢 駿 | G大阪 | 18 | 1,466 | 32 | 1.965 |
18 | 手塚 康平 | 柏 | 14 | 1,200 | 26 | 1.950 |
19 | クリスティアーノ | 柏 | 18 | 1,643 | 35 | 1.917 |
20 | 伊東 純也 | 柏 | 18 | 1,563 | 33 | 1.900 |
21 | 中坂 勇哉 | 神戸 | 12 | 570 | 12 | 1.895 |
22 | 藤田 直之 | 神戸 | 7 | 669 | 14 | 1.883 |
23 | 天野 純 | 横浜FM | 18 | 1,737 | 36 | 1.865 |
24 | 遠藤 康 | 鹿島 | 15 | 1,041 | 21 | 1.816 |
25 | 遠藤 保仁 | G大阪 | 17 | 1,290 | 26 | 1.814 |
26 | 関根 貴大 | 浦和 | 18 | 1,461 | 29 | 1.786 |
27 | 田中 達也 | 新潟 | 9 | 203 | 4 | 1.773 |
28 | 柴崎 晃誠 | 広島 | 17 | 1,456 | 28 | 1.731 |
29 | ミキッチ | 広島 | 14 | 1,061 | 20 | 1.697 |
30 | 田中 雄大 | 札幌 | 6 | 536 | 10 | 1.679 |
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