■ 絶対に負けられない戦い東京ヴェルディとザスパ草津の対戦。東京Vは、J1昇格の最低条件である3位以内に食い込むためにも、負けられない試合が続く。京都戦でレッドカードを受けて出場停止だったFWフッキが復帰。しかしながら、中盤の核だったMFゼ・ルイスが緊急退団し、中盤の構成に不安を抱える。この試合では、フッキの1トップに近い布陣で、久々に、4バックを採用した。
対する草津も、東京Vと同様に、<4-5-1>に近い布陣。カレカを左の攻撃的MF、MF櫻田をトップ下に据えた。
■ フッキのハットトリック試合は、前半7分に、東京Vのフッキが、直接FKを決めて先制。さらに、前半28分にも、カウンターからFWフッキが決めて、2点をリードする。
後半2分に、草津が、東京VのGKとDFの連携ミスをついて、DF尾本のゴールで1点差に迫るが、後半11分に、またまた、カウンターから、MFディエゴ→FWフッキとつないで、3点目を挙げる。
草津は、フィードの段階で単純なミスが目立ち、結局、その後の反撃もままならず、1対3で敗れた。
■ ラモス監督のコメント試合は、いい時間帯に、「先制」→「中押し」→「ダメ押し」のゴールを奪った東京Vが、草津に勝機を与えなかった。したがって、試合後のラモス監督は、上機嫌だったようだ。
東京V:ラモス監督「久しぶりにヴェルディらしいサッカーが出来てよかったなと思います。ゼ・ルイスが(ブラジルへ)帰らなければいけなくなってしまい、それでみんなに少し不安があったのですが、今週から4バックに戻して、ディエゴも少し上にして、ゼ・ルイスの穴をどうやって埋めるのかなと柱谷コーチと考えて、3日間嫌になるぐらいに今週は(みっちりと)やりましたが、今日の結果をみるとやってよかったと思います。
名波も90分できて、廣山も復帰の直後なのにあんなに頑張ってくれて、大野もサイドはあまりやりたがらない選手にもかかわらず、あそこまでやってくれたことで、非常にチームが1つになってきているんじゃないかと、今日の試合を見て感じさせてもらった。1失点は余計でしたが、非常に内容の良い試合でした。選手たちがよくやってくれた。
前節、内容が悪い中1-0で勝ったので、そろそろ3-5-2ではなくて4バックにしていろいろな形で試していかないと、(他のチームは)みんなヴェルディを研究してきてるので、そういう意味でも今回の試合は上手くハマったのではないでしょうか。非常に良かったと思います。」
確かに、要のMFゼ・ルイスを急遽、失って、苦しい事情もあったと思われる。したがって、ホームで下位の草津相手とはいえ、3対1で勝利したことは、賞賛されるべきである。試合運びは、完璧に近かった。しかしながら、果たして、自画自賛するほどの内容だったかというと、完全に疑問符がつく。
■ Jリーグ最低レベルのサッカーこの試合に関しては、録画での視聴であったため、3対1で東京Vが勝利したという情報は事前に得て、さらに、ラモス監督が、前述のようなコメントを残していたため、どんな内容の試合だったのか、期待を持っていたが、完全に肩透かしを食らった感じである。
率直に言うと、東京Vの試合内容は、散々であった。個人能力が優れているのは間違いないし、それぞれの選手ががんばっているのは伝わってくるが、攻守両面において、チームとしては、まったく機能していない。どうやってボールを奪うのか、どうやって攻撃を作っていくのか、そのすべてが、選手のアイディア任せで、チームとしての意図を感じない。
FWフッキやMFディエゴ、DF土屋は、それぞれのポジションで、J1でもトップクラスの選手である。したがって、彼らの個人の能力に任せたサッカーに傾くのは、致し方ないという部分もあるが、さすがに、「このサッカーはないだろう」という感じのサッカーである。間違いなく、今の東京Vは、Jリーグの全31チームで、もっとも質の低いサッカーをしている。
敗れたものの、草津のサッカーの方が、チーム全体でどんなサッカーをしようとしているのかの意図が明確で、クリアなサッカーが出来ているが、東京Vのサッカーは、相変わらず、混沌としている。
残り試合で、J1昇格をかけて、湘南や仙台、C大阪、鳥栖、京都といったライバルチームと対戦していくが、果たして、生きるか死ぬかの大一番で、これらのチームと勝負できるのか、今のままでは、不安である。
指揮官が、問題点を把握できていれば、試合を重ねていくごとに改善していくことも可能だが、今の感じでは難しいだろう。
■ 理想と現実開幕前や開幕直後の東京Vからは、高い理想を掲げて戦うという志の高さを感じたが、今は、その理想は失われており、妥協に妥協を重ねた末に、インスタントにチームを作ってしまったという感じがする。
その結果として、最終クールまで、J1昇格の可能性を残して戦えてきたのだから、そのやり方が、間違っていたとはいわないが、かつての「ヴェルディブランド」を掲げるチームとしては、やや寂しいクラブになってしまったと思わくもない。
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