柏レイソル→ 開幕3試合で0勝2敗1分けと出遅れた柏は3月12日(土)に行われた3節の磐田戦(H)の試合終了後にメンデス新監督の退任が決まった。表面上は「家族の健康上の問題で辞任した。」と発表されている。急遽、下平監督がチームを指揮することになったが4節と5節は連続ドロー。開幕から5試合勝ちなしと出遅れてしまったが6節のFC東京戦(H)で今シーズン初勝利を挙げるとここから4連勝。怒涛の快進撃がスタートした。
ナビスコカップも含めると公式戦は7連勝。7試合でわずか2失点のみと見事な「V字回復」を果たした。下平監督は育成年代で実績を積み上げてきた指導者である。積極的に若手を抜擢したがMF伊東純、DF中谷、GK中村航などが7連勝の原動力になった。さらにFW中川やDF中山雄といったJ1で実績のなかった選手も積極的に起用。DF山中、MF秋野、DF湯澤などもいるので1stステージは若い選手の活躍が目立った。
攻撃陣ではMF伊東純の活躍が目立った。メンデス監督は右SBにコンバートして開幕から右SBで起用していたが下平監督になってからは右SHでプレーする機会が多くなっている。日本屈指のスピードがあるのでMF伊東純のサイドアタックが大きな武器になった。残念ながらリオ五輪の本大会のメンバーには選出されなかったが親善試合の南アフリカ戦で五輪代表デビューを飾るなど飛躍のシーズンになっている。
守備陣ではGK中村航の活躍が目立っている。昨シーズンはJ2の福岡で「J1昇格」に大きく貢献したがJ1でのプレー経験はなかった。開幕の浦和戦(H)がJ1でのデビュー戦となったが持ち味であるビッグセーブで数多くの決定機を防いでいる。ビッグセーブの多さが最大の特徴になっており、彼のビッグセーブは試合の流れを変えることが出来る。順当に五輪代表に選出されたが早くフル代表にも絡んできてほしい。
最終ラインは開幕直後にDFエドゥアルドが移籍したことで非常事態に陥った。実際に未勝利が続いた時期は最終ラインが不安定でセットプレーから失点するケースが目立ったが20歳のDF中谷が守備の中心になって存在感を発揮している。184センチとサイズに恵まれておりビルドアップ能力も高い。東京世代となる19歳のDF中山雄とCBコンビを組むケースが多くなっているが20歳と19歳のCBコンビというのは珍しい。
「スタメンの大半がリオ世代以下」という試合もあった。若手の台頭が目立つが、新戦力のFWディエゴ・オリヴェイラが当たりだったのも大きかった。ゴール数は伸びていないが突破力があって相手チームに脅威を与えることが出来る。ブラジル人アタッカー特有の強さと上手さを持っているので彼にボールを預けることができると何を起こしてくれる。確実にボールをキープしてくれるので周りの選手は安心できる。
ナビスコカップを含めて7連勝と突っ走った時期があったが1stステージの終盤は失速。上位争いに顔を出していたが最終的には7位でフィニッシュした。1stステージのラスト4試合は0勝2敗2分け。内容的にも物足りない試合が続いたので「起爆剤」が必要だったが夏の移籍市場でMFクリスティアーノ(甲府)の獲得に成功した。2015年は34試合で14ゴールを挙げたMFクリスティアーノの復帰は最高の起爆剤と言える。
2ndステージの1節の新潟戦(H)が復帰戦となったが最初の試合から存在感を発揮した。右足のキックの精度が高いのでプレイスキッカーとしても期待できる。1stステージの終盤は1トップのFWディエゴ・オリヴェイラに相手のマークが集中して思うようなプレーが出来ずにいたがMFクリスティアーノが入ると彼のところにマークが集中するようになるのでFWディエゴ・オリヴェイラは自由にプレーできるようになる。
大金をはたいて引き抜いたので「活躍してくれないと困る選手」と言えるが、柏の環境には慣れているので不安要素は少ない。新潟戦(H)はFWディエゴ・オリヴェイラとFW中川の2トップで、右SHにMF伊東純、左SHにMFクリスティアーノが起用されたが、FWディエゴ・オリヴェイラとMF伊東純とMFクリスティアーノの3人は単独でチャンスを作ることが出来る選手であり、相手チームに脅威を与えることができる。
2トップの一角で起用されたFW中川は155センチと現役のJリーガーの中では最も背が低いが運動量が多くて隙間でボールを受ける技術が高い。FW田中順やMF大津祐やMF武富なども控えているので攻撃陣に関しては様々な組み合わせが考えられるが新潟戦(H)の組み合わせはかなり面白い。MFクリスティアーノが加入したことで本気でステージ制覇を狙うことが出来るメンバー構成になっている。
「甲府とは複雑な契約になっている。」、「柏が完全移籍で獲得するのは難しそうだ。」と昨オフに何度も報じられたMFクリスティアーノを獲得するために結構なお金を費やしているはず。今夏に使うことが出来る資金はそれほど残っていないと考えられる。現段階で加入が決まったのはMFクリスティアーノのみ。他には退団の話も含めて特にニュースはないので「これで打ち止めとなる可能性の方が高い。」と言える。
各ポジションに優秀な若手がいるので「明確な弱点」というのは見当たらないがCBはやや層が薄い。しかも、DF中谷はバックアップメンバーに選出されて8月1日(月)から13日(土)まで手倉森JAPANに帯同する予定になっているので少なくとも3試合ほどを欠場することになる。当然、GK中村航も五輪の期間中はチームを離れることになるので「リオ五輪の期間中をどう乗り切るのか?」はポイントになるだろう。
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