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【Jリーグ】独断と偏見で選んだ「フィード能力が高い」と思うキーパー・10人 | | |　

■　1992年に行われたルール改正

FIFAによるルール変更によってキーパーがバックパスを手で処理することができなくなったのは1992年のこと。それまでは最終ラインの選手にプレスをかけられたとしても後ろにいるキーパーにボールを戻したらキーパーは手でボールをキャッチすることができたので仕切り直すことができた。「相手にプレッシャーをかけてもキーパーにバックされたら終わり」という状況だったがルール変更でサッカーは劇的に変わった。

大変だったのは過渡期にプレーしていたキーパーたち。ロングキックを蹴ることには慣れていたが、味方からのパスを受けて正確に味方にパスをつなぐプレーはキーパーにはあまり必要とされないスキルだったので「ルール改正」によって困った事態に陥ったキーパーは少なくなかった。日本人では代表クラスのキーパーだったGK前川(広島など)は足元の上手なキーパーではなかったのでアジャストに時間がかかった。

あれから20年以上が経過した。J1で最年長のキーパーとなるGK楢崎(名古屋)は1976年生まれ。サッカーを始めたのは10歳のときなので1986年頃。ルールが改正されたのは1992年なので高校生のとき。「諸に影響を受けた世代」と言えるが、Jリーガーの平均年齢となる27歳の選手の場合、生まれたのは1989年あたり。「キーパーへのバックパスが禁止される前の時代」を知らない選手が多数を占めるようになってきた。

■　世界レベルのフィード力を持つGK西川周作

時代は大きく変わったので「足元の技術に不安のあるキーパー」はほとんどいなくなった。足元がド下手なキーパーを見つけるのは困難を極める。逆にフィード能力が極めて高いキーパーが何人もでてきた。なのでJリーグが発足した1993年と現代(=2016年)を比較してもっとも変化が大きいものの1つに「キーパーのフィード能力」を挙げることが出来る。ロングキック1つで決定機を迎える場面は珍しくなくなった。

「フィード能力の高いキーパー」の筆頭に挙げられるのは言うまでもなく日本代表のGK西川(浦和)だろう。左足のパントキックは絶品。味方選手の足元あるいは胸にピタリと合うシーンは頻繁に見られる。さらに言うと足元の技術も高いのでGK西川にプレッシャーをかけようとしてもあんまり意味がない。フィード力に関しては日本サッカー史上でも最高レベルのキーパーと言える。キックミスはほぼ無いと言える。

同じく日本代表のGK東口(G大阪)もフィード力に定評がある。当然のことながら、右足のキックも正確であるが、彼の場合はロングスローも大きな武器となる。簡単にハーフウェイラインを超えるボールを投げることが出来るのでCKなどでGK東口がボールをキャッチしてカウンターが始まるケースが多い。同じことは韓国代表のGKキム・スンギュ(神戸)にも当てはまる。彼のロングフィードも相当にハイレベルである。

「手でボールを投げるロングフィード」に関しては「GK加藤(大宮)が最上級」と言えるのかもしれない。反動をつけるために投げた後に前のめりになるロングスローはトレードマークになっている。当然、キックの方が距離は出るが、スローの方が正確さは増す。このクラスのキーパーになるとほぼ思い通りのところに投げることが出来るが素早い切り替えが求められる。GK加藤は状況判断力にも秀でたものがある。

■　サイズの無さをカバーするフィード力

キックに関してはGK飯倉(横浜FM)、GK秋元(FC東京)、GK菅野(京都)あたりも相当に精度が高い。大宮のGK加藤も含めて身長は180センチそこそこ。「キーパーとしては小柄」という選手ばかりであるが、サイズがないキーパーがJリーグのクラブでレギュラーとして活躍しようと考えるならばフィード力は不可欠である。「サイズがない。」という大きなハンディを上回る絶対的な何かを持っている必要がある。

ロングキックを武器にする選手もいる。代表格はGKシュミット・ダニエル(松本山雅)とGKキム・ジンヒョン(C大阪)の2人。GKシュミット・ダニエルの右足のキックはとにかく距離が出る。1発で決定機につながる可能性を秘めている。一方のGKキム・ジンヒョンは距離も出るし、精度も極めて高い。2節の水戸戦(A)の前半終了間際のゴールキックからMF柿谷の決勝ゴールをアシストした場面は彼の真骨頂の1つと言える。

最後に触れるのはGK佐藤優(千葉)。過去には北九州や東京Vといった後方からパスをつなぐチームでレギュラーを張ってきたが、足元の技術に絶対的な自信があるので味方が最終ラインでパスを回しているときは積極的にビルドアップに参加しようする。これほどビルドアップに参加できるキーパーは稀。前目にポジションを取り過ぎたことが仇となることもあるが最終ラインの選手は後ろに彼がいると助かる。

「フィード能力が高い」と思うJリーガー(キーパー)・10人

　GK 西川周作 (浦和レッズ)
　GK 東口順昭 (ガンバ大阪)
　GK キム・スンギュ(ヴィッセル神戸)
　GK 加藤順大 (大宮アルディージャ)
　GK 飯倉大樹 (横浜Fマリノス)
　GK 秋元陽太 (FC東京)
　GK 菅野孝憲 (京都サンガ)
　GK シュミット・ダニエル (松本山雅)
　GK キム・ジンヒョン (セレッソ大阪)
　GK 佐藤優也 (ジェフ千葉)