■ ホーム戦の平均動員数はリーグ5位まず、最初の表1は今シーズンのC大阪のホーム戦の観客動員数である。広島との開幕戦は37,079人を動員して、7節のG大阪戦は42,723人で、15節の横浜FM戦は30,188人を集めたが、3万人をオーバーしたのはこの3試合だけ。成績が低迷して、残留争いをしていたシーズン終盤の時期は22,000人前後が大半である。(※ 一番右の「ランク」はC大阪のホーム戦全17試合の中の順位である。)
下の表2はJ1の18チームのホーム戦の観客動員数を示している。C大阪は平均21,627人だったので、J1の中では5位だった。「クラブ史上最高」だった2013年の平均18,819人を大きく上回っており、ホーム戦の観客動員数はかなりアップした。収益的にはかなりのプラスと考えられるが、「もっと数字を伸ばしたかった。」というのが本音で、上位争いができていたら平均25,000人は楽にクリアできただろう。
ちなみにホーム戦の平均動員数の1位は浦和で35,516人だった。これは2位のFC東京の25,187人よりも約1万人も多い圧倒的な動員力である。「(浦和)人気に陰りが見える。」と言われることが多くなっており、実際にピークだった2008年(=平均47609人)と比べると平均で12,000人ほど落ち込んでいるが、それでもJ1の中では群を抜いた動員力である。2位はFC東京、3位は横浜FM、4位は新潟だった、
表2. 各チームのホーム戦の観客動員数
| | 試合 | 入場者数 | 平均 |
1 | 浦和レッズ | 17(16) | 603,770 | 35,516(37,736) |
2 | FC東京 | 17 | 428,184 | 25,187 |
3 | 横浜Fマリノス | 17 | 392,496 | 23,088 |
4 | アルビレックス新潟 | 17 | 390,648 | 22,979 |
5 | セレッソ大阪 | 17 | 367,651 | 21,627 |
6 | 鹿島アントラーズ | 17 | 300,310 | 17,665 |
7 | 名古屋グランパス | 17 | 284,474 | 16,734 |
8 | 川崎フロンターレ | 17 | 283,241 | 16,661 |
9 | ベガルタ仙台 | 17 | 257,949 | 15,173 |
10 | ヴィッセル神戸 | 17 | 255,185 | 15,011 |
11 | サンフレッチェ広島 | 17 | 254,951 | 14,997 |
12 | ガンバ大阪 | 17 | 250,738 | 14,749 |
13 | 清水エスパルス | 17 | 241,577 | 14,210 |
14 | サガン鳥栖 | 17 | 240,323 | 14,137 |
15 | ヴァンフォーレ甲府 | 17 | 206,904 | 12,171 |
16 | 大宮アルディージャ | 17 | 183,791 | 10,811 |
17 | 柏レイソル | 17 | 182,161 | 10,715 |
18 | 徳島ヴォルティス | 17 | 151,034 | 8,884 |
| 合計 | 306(305) | 5,275,387 | 17,240(17,296) |
■ 無観客試合はゼロでカウントされてしまう。浦和は2013年は平均37,100人で、今年は35,516人だった。平均は1500人ほど減少しているが、これは世間を騒がせた「無観客試合」の影響である。トータルの入場者数は603,770人だったが、無観客試合となった清水戦も含めた17試合の平均を出しているので35,516人となる。実際には16試合で603,770人を集めているので、「16」で割ると37,736人となって、この数字はここ4年間では最多となる。
今シーズンのJ1の観客動員数を考える上で外せないのが「無観客試合」のことである。当然、Jリーグのトータルの平均を出すときも無観客試合となった清水戦は「ゼロ人」でカウントされている。J1のトータルの入場者数は5,275,387人だったので試合数(=306)で割ると平均は17,240人となる。昨シーズンの平均は17,226人だったので微増と言えるが、実際には5,275,387人÷305試合→17,296人だった。
表3. Jリーグ(J1)の平均観客動員数(年度別)
年度 | 平均観客動員数 |
1993 | 17,976 |
1994 | 19,598 |
1995 | 16,921 |
1996 | 13,353 |
1997 | 10,131 |
1998 | 11,982 |
1999 | 11,658 |
2000 | 11,065 |
2001 | 16,548 |
2002 | 16,368 |
2003 | 17,351 |
2004 | 18,965 |
2005 | 18,765 |
2006 | 18,292 |
2007 | 19,081 |
2008 | 19,278 |
2009 | 19,126 |
2010 | 18,428 |
2011 | 15,797 |
2012 | 17,566 |
2013 | 17,226 |
2014 | 17,240(17,296) |
■ 鹿島・神戸・名古屋・G大阪・仙台はC大阪戦で最多の入場者数話が横道にそれてしまったが、C大阪のホーム戦の平均はJ1では5位である。ホームではなかなか勝てなかったにも関わらず、クラブ記録を大きく上回っているので、「これはこれで凄い。」と言えるが、それでもリーグで5位である。驚くようなの数字ではないが、注目に値するのはアウェー戦の観客動員数である。この数字を見ると、「セレッソフィーバーが起こっていた。」と認定してもOKなのではないかと思う。
当然、アウェー戦の観客動員数というのはホーム側の事情に大きな影響を受ける。ホーム側が優勝争いに絡んでいたり、(たくさんの招待客を呼ぶなど)動員をかけていたり、GWや夏休みでお客さんを集めやすい時期だったり、必ずしも、アウェーサポーターの人数の多い・少ないやアウェーチームの魅力だけで決まるわけではないが、今シーズンのC大阪のアウェー戦の観客動員数は表4のようになる。
先にも説明しているが、一番右側の数字は「各チームのホーム戦(全17試合)の中でC大阪戦が何番目の多さだったのか?」を示したものである。例えば、2節で対戦した徳島はランクのところが「2」になっているが、徳島のホーム戦(全17試合)の中で2番目に観客動員が多かったのがC大阪戦だったことを意味する。鹿島・神戸・名古屋・G大阪・仙台の5チームはC大阪戦で最多の入場者数を記録している。
そして、徳島・柏・FC東京・浦和・新潟・広島は2番目の多さだった。もちろん、個別に見ていくと、「C大阪戦だから動員数が増えたわけではない。」という試合もあるとは思う。例えば、24節の万博でのG大阪戦、32節のユアスタでの仙台戦などは「どこが相手でも相当な動員が見込めた試合」と言えるが、諸事情が有利に働く試合がある一方で、不利に働く試合もあるので、基本的には相殺されるはずである。
表4. 2014年シーズンのC大阪のアウェー戦の観客動員
節 | 日付 | ホーム | アウェイ | スタジアム | 入場者数 | ランク |
第2節 | 3月8日 | 徳島ヴォルティス | セレッソ大阪 | 鳴門大塚 | 12,202 | 2 |
第4節 | 3月23日 | 鹿島アントラーズ | セレッソ大阪 | カシマ | 32,099 | 1 |
第6節 | 4月6日 | 柏レイソル | セレッソ大阪 | 柏 | 13,731 | 2 |
第8節 | 4月19日 | FC東京 | セレッソ大阪 | 味スタ | 40,761 | 2 |
第9節 | 4月26日 | ヴィッセル神戸 | セレッソ大阪 | ノエスタ | 25,382 | 1 |
第11節 | 5月3日 | 名古屋グランパス | セレッソ大阪 | 豊田ス | 38,966 | 1 |
第14節 | 5月17日 | 浦和レッズ | セレッソ大阪 | 埼玉 | 54,350 | 2 |
第16節 | 7月23日 | ヴァンフォーレ甲府 | セレッソ大阪 | 中銀スタ | 12,052 | 7 |
第18節 | 8月2日 | アルビレックス新潟 | セレッソ大阪 | デンカS | 30,078 | 2 |
第20節 | 8月16日 | 川崎フロンターレ | セレッソ大阪 | 等々力 | 18,124 | 10 |
第21節 | 8月23日 | サンフレッチェ広島 | セレッソ大阪 | Eスタ | 21,102 | 2 |
第24節 | 9月20日 | ガンバ大阪 | セレッソ大阪 | 万博 | 19,569 | 1 |
第27節 | 10月5日 | 清水エスパルス | セレッソ大阪 | アイスタ | 11,971 | 12 |
第28節 | 10月18日 | サガン鳥栖 | セレッソ大阪 | ベアスタ | 15,083 | 6 |
第30節 | 10月26日 | 横浜Fマリノス | セレッソ大阪 | 日産ス | 27,384 | 5 |
第32節 | 11月22日 | ベガルタ仙台 | セレッソ大阪 | ユアスタ | 19,404 | 1 |
第34節 | 12月6日 | 大宮アルディージャ | セレッソ大阪 | NACK | 12,035 | 5 |
■ アウェー戦の観客動員数がリーグ1位だったC大阪表5がJ1の全18チームのアウェー戦の観客動員数とランクの合計とその平均値を示したものである。単純にアウェー戦の平均動員数で比較すると、ホーム戦で圧倒的な観客動員数を誇る浦和などが不利になるので、ランクという概念を用いて、その平均値も合わせて書き出しているが、今シーズンはC大阪がアウェーの平均動員数がリーグ1位で、「ランクの平均値」も一番小さい数字になっている。
繰り返しになるが、アウェー動員数はホーム側の事情に大きく左右される。そして、近場のアウェー戦が多い関東のクラブが有利なので、このあたりの事情を考慮する必要があるが、今シーズンは17チームのうち、11チームがC大阪戦で1位 or 2位の観客動員を集めたというのは偶然ではない。ブームやフィーバーと言われるようなものが起こっていたことの証拠の1つと言えるだろう。
表5 アウェー戦の平均動員数とランクの合計とその平均値 (2014年シーズン)
クラブ名 | アウェー戦の平均動員数 | ランクの合計 | ランクの平均値 |
セレッソ大阪 | 23,782 | 62 | 3.65 |
浦和レッズ | 22,038 | 66 | 3.88 |
ガンバ大阪 | 21,524 | 104 | 6.12 |
鹿島アントラーズ | 18,481 | 116 | 6.82 |
サンフレッチェ広島 | 18,107 | 142 | 8.35 |
横浜Fマリノス | 18,073 | 129 | 7.59 |
名古屋グランパス | 17,608 | 158 | 9.29 |
FC東京 | 17,023 | 135 | 7.94 |
川崎フロンターレ | 16,937 | 138 | 8.12 |
大宮アルディージャ | 16,365 | 187 | 11.00 |
アルビレックス新潟 | 15,843 | 184 | 10.82 |
清水エスパルス | 15,694 | 152 | 8.94 |
サガン鳥栖 | 15,602 | 195 | 11.47 |
柏レイソル | 15,157 | 179 | 10.53 |
徳島ヴォルティス | 14,915 | 196 | 11.53 |
ヴァンフォーレ甲府 | 14,471 | 203 | 11.94 |
ヴィッセル神戸 | 14,438 | 203 | 11.94 |
ベガルタ仙台 | 14,258 | 205 | 12.06 |
→
本当に「セレッソブーム」は起こっていたのか?を検証してみた。 (下) に続く。
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