■ フランス戦とブラジル戦日本代表は12日にフランス代表、16日にブラジル代表と対戦する。フランス戦は完全アウェーの戦いで、ブラジル戦は中立地での開催となるが、ザック・ジャパンになってから、サッカー大国と試合をする機会がほとんどなかったので、絶好の腕試しとなる。
ただ、親善試合なので、フランス代表やブラジル代表がどこまで真剣に戦うのか、分からない。どちらかというと、南米勢は、親善試合でも100%に近い状態で試合を行うことが多いが、欧州勢は国内のリーグ戦やCLが優先されることが多いので、前半と後半でメンバーが大きく変わることも珍しくない。
なので、本当の意味での真剣勝負というのは、親善試合では難しくて、コンフェデであったり、W杯の本番でないと、「全力対全力」の試合を経験するのは難しいが、どんな結果になろうとも、収穫と課題がいくつも出てくるだろう。初戦のフランス戦は金曜日の夜の試合となるので、現地入りしてから、かなりの時間があるので、コンディションや時差の問題は無いはずで、いい試合になることが期待される。
■ 岡崎の代役は誰か?4日(木)にフランス戦とブラジル戦のメンバー23名が発表されたが、アジア最終予選のイラク戦が出場停止だったため、メンバーから外れていたDF内田、DF栗原、DF今野の3人が復帰し、ブンデスリーガで好調のMF乾もメンバーに復帰した。一方で、DF水本、DF槙野、DF岩政らが外れており、MF岡崎も怪我のため招集されなかった。
ただ、MF岡崎を除くと、主力メンバーは順当に選出されているので、MF岡崎のところに誰が起用されるのか、注目される。最有力はMF清武であるが、MF乾、MF宮市、MF中村憲にもチャンスはあるだろう。特に、好調のMF乾は久々の代表戦なので気合いも入っているはずで、どこまで出来るのか、多いに注目されるところである。
また、SBのポジション争いも注目される。調子の上がっていないシュツットガルトのDF酒井高が外れて、DF内田、DF駒野、DF酒井宏、DF長友の4人が選ばれているが、UAE戦とイラク戦ではスタメン起用されたDF駒野がゴールに絡む活躍を見せた。
右SBについては、これまでは、DF内田がファーストチョイスで、出場が可能なときにスタメンから外れることはなかったが、DF駒野との距離は縮まっているように思われるので、どういう使い方をするのか、楽しみなところである。ハノーファー96のDF酒井宏は、所属クラブではあまり出番に恵まれていないが、ザッケローニ監督の評価は高いと思われるので、アピールしたいところである。
■ ボランチへの不安不安に感じるのは、ボランチのポジションである。今回は、MF遠藤、MF長谷部、MF細貝、MF高橋の4人が選ばれているが、MF長谷部とMF細貝の2人は出場機会に恵まれておらず、コンディション面で大きな不安を抱えている。ザッケローニ監督の評価の高いMF高橋についても、ここ最近は、CBで起用されることが多くなっており、不安感は残る。
MF細貝はドイツ代表を経験している選手の多いレバークーゼンで出場機会を得るのは簡単ではないので、仕方がないところもあるが、リーグ戦は6節を終えたが、スタメンはゼロで、途中出場で2試合に出場しただけ。トータルで65分の出場にとどまっている。カップ戦ではスタメンで起用されているので、試合から遠ざかっているわけではないが、ベストな状態とはいえないだろう。
より深刻なのは、MF長谷部である。マガト監督の構想から外れており、リーグ戦の出場はゼロで、ベンチに入ることもできない状態が続いている。ヴォルフスブルクは1勝3敗2分けで16位と苦しんでおり、チーム状態は決して良くないが、そのチームでベンチ外が続いている。
マガト監督はシャルケでもいくつかのトラブルを起こしており、どちらかというと、独裁者タイプの指揮官である。ヴォルフスブルクでも、相当に権力を握っていると思うが、こういう成績なので、説得力もなくなってくる。早い時期に解任されてもおかしくない状況であり、監督交代によって、MF長谷部の立場も劇的に良くなる可能性もあるが、今のところは、苦しい時期を過ごしている。
■ ベンチ外が続く長谷部9月初めに行われたUAE戦とイラク戦のときも、「試合勘不足」が心配されたが、あれから、1ヶ月以上が経っており、この問題はさらに大きくなっている。11月には、もっと大事なアジア最終予選のオマーン戦(away)も控えており、ザッケローニ監督も頭を悩ませているだろう。
ただの1選手ではなくて、チームのキャプテンであることが、さらに話を難しくしている。ザッケローニ監督の選手起用は、怪我等が無い限り、GK川島、DF内田、DF吉田、DF今野、DF長友、MF長谷部、MF遠藤、MF岡崎、MF本田圭、MF香川の10人はオートマチックにスタメンで起用されてきた。
先日のUAE戦のときは、MF岡崎がベンチスタートになって、MF清武がスタメンで起用されたので、考え方が変わってきたのかもしれないが、クラブでベンチスタートどころか、ベンチにも入れない状況の選手を使い続けることは、本人にとっても、チームにとっても、あまり好ましいことではない。
■ プレッシャーのかかる試合DF伊野波やMF中村憲がボランチで起用されることは考えにくいので、そうなると、今回も、ボランチの選手は4人しか選出されておらず、初戦のフランス戦に関しては、MF長谷部とMF遠藤のダブルボランチになると思われる。ここで説得力のあるプレーが出来れば問題は無いが、試合勘不足を露呈するようなことがあると、MF長谷部だけでなく、起用したザッケローニ監督も批判されるだろう。
個人的には、MF長谷部ほど実績のある選手であっても、ベンチ外の状態が続くのであれば、日本代表メンバーに選ぶべきではないと思う。代表戦は注目度も高いので、いいプレーができないと自身の評価も下がってしまうが、これだけ試合から遠ざかっていると、本来のパフォーマンスを発揮するのは難しい。
「特別扱いされている」と捉えられることもあるが、この状況でメンバーに選ばれて、試合に出場するとなると、相当なプレッシャーがかかってくる。したがって、タフな選手でないとつぶれてしまうような過酷な状況であり、ザッケローニ監督のやり方は、MF長谷部を追い込んでしまうようなキツイやり方のようにも思える。
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