☆ ヨルダン vs イラク
ブラジルW杯のアジア最終予選のグループBは、日本がホームでオマーンに3対0で勝利し、ヨルダンとイラクの試合は、1対1のドローに終わりました。先制したのは、アウェーのイラクで、前半14分にナシャト・アクラムがドリブルからミドルシュートを決めましたが、前半43分にミドルシュートのこぼれ球をハイェルが決めてホームのヨルダンが同点に追いつきました。
前半はイラクのペースで進みましたが、後半はイラクの動きが落ちてヨルダンが試合の主導権を握りました。実力的には、イラクの方が上だと思われますが、同点に追いついたことでスタジアムも盛り上がって、いい雰囲気の中で試合は行われました。終盤はヨルダンがファールを連発して、イラクが立て続けにセットプレーのチャンスを獲得しましたが、ヨルダンのGKアル・シャフィが2度も、横っ飛びでビッグセーブを見せました。
結局、試合は1対1のドローに終わりました。このグループは、日本とオーストラリアの「2強」で、3番手のイラクがどこまで2チームに迫ることができるかが、注目を集めていますが、イラクにとっては、痛いドローで、日本にとっては、願ってもない結果となりました。以下、試合の雑感です。
イラク代表 ・イラクの監督はジーコ。2011年8月にイラク代表監督に就任した。
・イラクは、伝統的に、ショートパスをつないでいくサッカーなので、相性はいいかも。
・前半はイラクペース。細かいパス回しで相手を翻弄する場面も作る。
・イラクは最終ラインからパスを回すスタイルで、技術の高い選手が多い。
・10番のユニス・マフムードは高さも、柔らかさもあるので、要注意。2007年のアジアカップのMVP。
・先制ゴールはユニス・マフムードのポストプレーが起点になっている。
・ヘディングで競るのではなくて、胸でトラップして前を向いたプレーが秀逸だった。
・ゴールシーンは、ナシャト・アクラムの切りかえしが見事だった。
・ただ、後半になると、バテたのか、動きが落ちてしまった。
・終盤は連続してセットプレーのチャンスを得るが、決められず。
・基本的にはパスサッカーだが、不意にドリブルで仕掛けてくるプレーが効果的。
・中盤や最終ラインの選手も、ドリブルで仕掛けてくるので注意が必要。
・守備に関しては、際立つものは無い。
・失点シーンは、キーパーのキャッチミスで、凡ミスと言えるレベルである。
・ホーム(埼玉スタジアム)でイラクから得点を奪うのは、それほど難しい話ではないだろう。
ヨルダン代表 ・オーソドックスなサッカーで、個人能力より組織力が勝負する。
・組織力ではアジアでもトップレベルで、2011年のアジアカップはベスト8に入った。
・キーパーのアル・シャフィが注目の選手で、190センチの長身ながら俊敏。
・スタイルは、オマーンのアル・ハブシとは対照的。
・アル・シャフィは、積極的に前に飛び出してきて、カバーエリアが広い。
・イラクの決定機はほとんどなかったので、セーブ機会は少なかったが、ミドルシュートは確実に防ぐ。
・どちらかという守備に特徴のあるチームで、日本戦は守ってくることが予想される。
・センターバックは、「高さ」も「強さ」も十分だが、荒いところがあるので、ファールは多い。
・右SBのバニ・アッティアー(背番号13)は、テクニックも、スピードもある。
・トップに当てて、前を向いた状態で2列目がボールを受けて、サイドに展開してクロスというパターン。
・左右の偏りは見られず、右からも、左からも、バランスよく攻めてくる。
・ただ、攻撃が単調になることが多い。アタッキングエリアでのアイディアに乏しい。
・警戒したいのはミドルシュートで、パンチ力のある選手が多い。
・ヨルダンのゴールはミドルシュートのこぼれ球から生まれている。
・引いて、守って、ロングボールを蹴って、カウンターというスタイルのチームではない。
・ロングボールは多用しない。
・強引な攻めは少ないので、日本にとっては、守りやすいかも。
・組織的な守備を見せる。「バイタルエリアを空けない。」という意識は高い。
・その一方で、相手のボランチがフリーになることが多い。
・攻撃に関しては、怖さを感じることはない。
・ただ、身体能力の高い選手が多いので、1対1になると、突破される可能性はある。
■ ヨルダン戦の展望グループBは、日本がオマーンに勝利して、ヨルダンとイラクは引き分けに終わったので、日本にとっては、最高のスタートとなった。ヨルダンの立場で考えると、アウェーの日本戦で勝ち点「3」を獲ろうという意識はゼロだと思われるので、とにかく、先制ゴールを奪われないように、守ってくることが予想される。守備力に関しては、オマーンよりも優れていると思われるので、焦らずに、チャンスを作りたいところである。
GKアル・シャフィは、体に似合わず、俊敏なキーパーで、守備範囲が広い。中途半端なクロスをゴール前に上げても、全部、キャッチされるだろう。ビッグセーブの多いキーパーなので、序盤で波に乗せたくないところである。ただ、飛び出し過ぎるところもあるので、うっかりミスで、ゴールをがら空きにするシーンは、日本戦でも見られるかもしれない。
チームの弱点は、守備のときに下がり過ぎることで、バイタルエリアはケアできるが、相手のボランチをフリーにするケースが多い。よって、MF香川やMF本田圭やMF岡崎よりも、MF遠藤とMF長谷部の二人が、キーになるのではないか。バイタルエリアには人が多いので、中央で細かいパスを狙いすぎると、相手の守備網に引っかかる可能性が高い。
また、1トップで起用される可能性が高いFW前田に対しては、ヨルダンのセンターバックが激しくチェックに来る事が予想される。ここで、FW前田が耐えられるかどうかが、日本にとっては大事であるが、粗っぽいところもあるので、うまく体を使えば、ファールを貰うこともできるだろう。GKアル・シャフィがいるので、長距離のフリーキックでゴールを決めるのは難しいが、いい位置でフリーキックを得ることが出来れば、MF遠藤やMF本田圭のフリーキックからゴールというシーンが見られるかもしれない。
一方、ヨルダンの攻撃に関しては、それほどの脅威は感じない。したがって、ゴールを奪われる可能性は低いと思うが、ミドルシュートには警戒したいところである。注意したいのは、ポストプレーで、オーソドックスに中央にくさびのパスを入れて、そこからサイドを使って、クロスを入れるパターンがほとんどなので、ポスト役の選手をしっかりとつぶしたいところである。
この点は、DF今野に期待したい。オマーンとの試合は、DF今野が積極的に相手にチャージして、ファールをすることなくボールを奪い返すシーンが多かったが、同じような積極的な守備を期待したい。攻撃にバリエーションがあるわけではないので、ポストプレーさえ封じてしまえば、シュートチャンスを作られることは、ほとんどないだろう。
ということで、キーマンは、FW前田、MF遠藤、MF長谷部、DF今野の4人で、早い時間に先制ゴールを奪って、試合の主導権を握りたい。逆に、3度・4度とチャンスを作りながら、GKアル・シャフィに止められて、0対0のままで時間が進むようだと、苦しい試合となる。
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