■ 選手名鑑 J2の開幕まで2週間を切って、選手名鑑が発売される時期になりました。今年は、サッカーダイジェスト、サッカーマガジン、エルゴラッソの3つの選手名鑑を買いましたが、エルゴラッソの選手名鑑には、2012年のJリーグの担当レフェリーについても、詳しく紹介されていました。
基本的な項目(=生年月日、出身地、担当試合数など)も書かれていますが、昨シーズンの試合数、イエローカードやレッドカードの枚数、カードの内訳、PK判定数など、レフェリングに関する様々なことが記載されていて、それだけでも、エルゴラッソの選手名鑑を購入する価値があるかもしれません。眺めていると、レフェリーによって、相当な差があって、レフェリーの特徴も頭に入れて、試合を観ることができれば、面白いと思ったので、気になった項目だけ、まとめてみました。
■ PKを与えた数 当然のことながら、同じ試合をさばくわけではないので、条件は同じではありません。したがって、イエローカードが少ないこと、レッドカードが少ないこと、PKが少ないことなどが、優秀なレフェリーを意味するわけではありません。この点は、注意が必要ですが、カードが多い試合というのは、レフェリーが試合をコントロールできなかった場合も多いので、全くの無関係ではないように思います。
それを念頭に、PKを与えた数と割合(=試合でPKを与える確率)を、表にしてみました。2012年にJ1の試合で笛を吹く予定のレフェリーのみが対象です。試合数などの数字は、2011年シーズンのもので、J1の試合だけでなく、J2の試合で笛を吹いたときのデータも含んでいます。
多かったのは、家本政明さんと、佐藤隆治さんで、50%を超えているので、2試合に1回以上、PKを与えています。家本政明さんは16回、佐藤隆治さんは14回でしたが、おなじくらいの試合数の西村雄一さんが3回、吉田寿光さんが2回であることを考えると、異常な多さです。全員の合計は、504試合で95回なので、18.8%となって、5試合に1回程度なので、家本政明さんと、佐藤隆治さんがレフェリーのときは要注意と言えるでしょう。他には、前田拓哉さん、松尾一さんもPKが多めのレフェリーといえます。
ちなみに、1試合平均のイエローカードの枚数も、エルゴラッソには書かれていましたが、もっとも多いのは、福島孝一郎さんで4.22枚、もっとも少ないのは、西村雄一さんで2.04枚でした。最多のPKを与えている家本政明さんですが、1試合平均のイエローカードの枚数は2.57枚と非常に少なくて、少ない方から数えて3番目でした。
| 試合数 | PK | 確率 |
佐藤隆治 | 26 | 14 | 53.8% |
家本政明 | 30 | 16 | 53.3% |
前田拓哉 | 19 | 5 | 26.3% |
松尾一 | 32 | 8 | 25.0% |
扇谷健司 | 26 | 6 | 23.1% |
吉田哲朗 | 18 | 4 | 22.2% |
村上伸次 | 34 | 7 | 20.6% |
木村博之 | 26 | 5 | 19.2% |
山本雄大 | 21 | 4 | 19.0% |
岡部拓人 | 22 | 4 | 18.2% |
高山啓義 | 18 | 3 | 16.7% |
井上知大 | 23 | 3 | 13.0% |
飯田淳平 | 26 | 3 | 11.5% |
福島孝一郎 | 18 | 2 | 11.1% |
松村和彦 | 18 | 2 | 11.1% |
西村雄一 | 28 | 3 | 10.7% |
東城穣 | 27 | 2 | 7.4% |
吉田寿光 | 34 | 2 | 5.9% |
中村太 | 18 | 1 | 5.6% |
廣瀬格 | 22 | 1 | 4.5% |
今村義朗 | 18 | 0 | 0.0% |
合計 | 504 | 95 | 18.8% |
■ C3、C5の割合 他にも、いろいろな項目がありますが、注目したのは、C3(=異議)とC5(=遅延行為)のパーセンテージです。イエローカードの理由としては、C1(=反スポーツ的行為)、C2(=ラフプレー)、C4(=繰り返しの違反)もありますが、ここでは、個人差がもっとも出そうなC3とC5に注目してみました。その結果は、以下のようでした。(数字は、総イエローカードに対するC3、C5の割合です。)
目立つのは松村和彦さんで、C3も、C5も一度もありませんでした。「穏やかなで信頼できるレフェリー」という印象の松村和彦さんですが、異議のイエローも、遅延のイエローもゼロというのは、かなりすごいように思います。また、西村雄一さんも、それぞれ1.7%なので、2011年は、1度ずつにとどまりました。
逆に、C3の割合が高かったのは、家本政明さん、中村太さん、吉田哲朗さん、吉田寿光さんでした。レフェリーに異議を唱えることは、基本的には認められていませんが、プレーヤーが「絶対に間違っている。」と思ったときは、無意識のうちに抗議してしまうのが普通です。もしかしたら、この4人は、ミスジャッジの数が多かったのかもしれません。
また、C5の割合がもっとも高かったのは扇谷健司さんの19.1%で、ダントツの数字でした。26試合で17枚も遅延のイエローを出しています。先に出たように、松村和彦さんは18試合でゼロなので、かなりの差です。露骨に時間稼ぎをする選手も多いので、取り締まることも大事ですが、扇谷健司さんは、遅延に関しては、ナーバスなレフェリーなので、 扇谷健司さんのときは、スムーズに試合を進めた方がいいでしょう。なお、レッドカードに関しては、「出しやすいレフェリー、出しにくいレフェリー」の差は見られませんでした。
なお、Jリーグ規約を読むと、審判員の手当ては、J1の主審が12万円、副審が6万円、第4の審判員が2万円で、J2の主審が6万円、副審が3万円、第4の審判員が1万円となっています。
| 試合数 | C3 | C5 |
飯田淳平 | 26 | 4.9% | 3.0% |
家本政明 | 30 | 11.4% | 1.3% |
井上知大 | 23 | 6.4% | 11.5% |
今村義朗 | 18 | 9.9% | 8.5% |
扇谷健司 | 26 | 9.6% | 19.1% |
岡部拓人 | 22 | 9.4% | 2.3% |
木村博之 | 26 | 4.5% | 6.7% |
佐藤隆治 | 26 | 4.9% | 10.7% |
高山啓義 | 18 | 4.2% | 8.3% |
東城穣 | 27 | 1.3% | 10.0% |
中村太 | 18 | 10.2% | 6.8% |
西村雄一 | 28 | 1.7% | 1.7% |
廣瀬格 | 22 | 3.2% | 12.9% |
福島孝一郎 | 18 | 2.6% | 7.9% |
前田拓哉 | 19 | 5.0% | 11.7% |
松尾一 | 32 | 1.5% | 6.1% |
松村和彦 | 18 | 0.0% | 0.0% |
村上伸次 | 34 | 9.4% | 7.0% |
山本雄大 | 21 | 8.6% | 8.6% |
吉田哲朗 | 18 | 11.1% | 11.1% |
吉田寿光 | 34 | 13.5% | 10.6% |
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