■ 第32節J2の第32節。7勝16敗7分けで勝ち点「28」のガイナーレ鳥取と、16勝9敗5分けで勝ち点「53」のコンサドーレ札幌が対戦。鳥取は19位で、札幌は3位。札幌は好調を維持していたが、鳥栖(H)、京都(A)に敗れて2連敗中。ライバルの徳島や千葉も取りこぼしているので、かろうじて「3位」をキープしているが、調子は下降気味である。来週の水曜日に4位の徳島ヴォルティス(A)と対戦する「大一番」が控えているので、鳥取に勝利して弾みをつけたい。
ホームの鳥取は「4-2-1-3」。GK小針。DF尾崎、戸川、水本、加藤。MF三浦、服部、美尾。FW実信、ハメド、小井手。元日本代表のMF服部は、前の試合でJ2通算100試合を達成している。J1と合わせると481試合出場となる。コートジボワール出身のFWハメドは、今シーズン3ゴールを挙げている。
アウェーの札幌は「4-2-3-1」。GK李昊乗。DF高木、山下、櫛引、岩沼。MF河合、宮澤、近藤、内村、砂川。FWジオゴ。京都サンガ戦は出場停止だったMF河合、FWジオゴがスタメン復帰となった。
■ 4か月ぶりのホームでの勝利試合は、立ち上がりからホームの鳥取ペースとなる。リズミカルなパス回しを見せて主導権を握り、札幌を押し込んでいく。前半半ばにはFWハメドが得意のドリブルから強烈なシュートを放つが、ポスト直撃でゴールならず。一方の札幌は、ロングボール中心の攻撃で、何度か裏に抜け出してチャンスを作るが、フィニッシュの精度を欠いてゴールならず。前半は0対0で折り返す。
後半になると、雨が強くなってきて、視界を確保するのも難しいような状況になる。先に動いたのは札幌で、後半21分にFWジオゴに代えてMF岡本を投入。先制を狙うが、なかなかチャンスに絡めない。すると、後半33分にホームの鳥取に先制ゴールが生まれる。
セットプレーの流れから、札幌がカウンターを仕掛けようとするが、DF尾崎がうまくハーフウェーラインの手前でカットしてボールを奪い返すと、DF尾崎は、左サイドのFW小井手にスルーパスを送る。これを受けたFW小井手はいいタイミングで逆サイドに鋭いグラウンダーのボールを送ると、FWハメドが左足のアウトサイドで合わせて鳥取が先制する。FWハメドは今シーズン4ゴール目。
札幌は、終了間際にMF宮澤が決定機を迎えるが、GK小針がスーパーセーブを見せてゴールは奪えず。結局、1対0で鳥取が勝利。6月19日の湘南戦以来で、約4か月ぶりとなるホームでの白星を飾った。一方の札幌は3連敗となった。
■ 鳥取がホームで快勝雨が降る中で行われた試合は、ホームの鳥取が勝ち点「3」を奪った。連敗中ということで、何としても「勝利」が必要だった札幌は、立ち上がりから動きが重くて「いいところ」を出せなかったが、対照的に鳥取は、MF美尾、FW実信、MF服部らが良くボールに絡んで、持ち味である「ショートパス」で、札幌の守備陣を崩していった。
決勝ゴールは「逆カウンター」から生まれたが、ボールを奪い返したDF尾崎のディフェンスと、そのあとのスルーパスが見事だった。鳥取の右SBというと、DF丁東浩もいるので「ポジション争い」は熾烈であるが、この日はDF尾崎がタイミングよく攻撃に参加して、ゴールシーン以外でも、いいプレーを続けた。もともと「キック」に定評のある選手であり、うまく味方に使われると力を発揮するタイプであるが、中盤がうまく機能していたこともあって、DF尾崎も「良さ」を出すことができた。
最終ラインでは、若手のDF水本のプレーも光った。経験豊富なDF戸川とセンターバックを組んでいるが、二人で協力して、札幌のFWジオゴにほとんど仕事をさせなかった。FWジオゴは「高さ」もあるが、まずまず動けるタイプの選手なので、「機動力」がないセンターバックだと、完全に封じるのは難しいが、DF水本は空中戦でも、地上戦でも、全く負けていなかった。
■ FWハメドが決勝ゴール「決勝ゴール」を奪ったのは、FWハメドで、今シーズン4ゴール目。「打開力」があるので、どの試合でも積極的にシュートを放っており、「4ゴール」という数字は物足りないが、「キープ」もできるので、攻撃では「欠かせない存在」になっている。
鳥取は、「3トップ」気味の布陣を採用することが多いので、「FWハメドをどこで起用するのか?」というのが、1つのテーマになっていて、センターなのか?サイドなのか?と、扱いに苦労しているところもあるが、センターのポジションで、自由に動ける状況を作って「いいところ」を引き出した。
決勝ゴールのシーンは、雨でスリッピーなピッチコンディションで、「パススピード」も出ていたので、合わせ損なう可能性も高い「難しいボール」だったが、本当にうまく左足で合わせてゴールに流し込んだ。左足のアウトサイドでのゴールだったが、身体能力の高さを感じさせる「ファインゴール」だった。その後、MF美尾へ決定的なアシストパスを出すなど、交代するまで、相手の脅威となった。
■ 衰え知らずの38歳 MF服部年宏水曜日の岡山戦で「J2通算100試合出場」を達成した元日本代表のMF服部は、この試合も「ボランチ」で先発フル出場。アトランタ世代で、1973年9月23日生まれなので「38歳」になったが、衰えを感じさせない働きで、ここまでの31試合中28試合で先発出場。しかも「すべてフル出場」を果たしており、鉄人ぶりを発揮している。
ボランチでコンビを組んだのは、2年目のMF三浦で、後半の開始すぐに「ミスが続いた時間帯」があって、危ういところもあったが、MF服部がうまくコントロールして、二人で中盤を支え続けた。「最強」と言われたジュビロ磐田で「パスサッカー」を支えていた選手で、今の鳥取の「パスサッカー」にもマッチしている。難しいプレーはしないが、パスも正確で、ボールを持っても落ち着いているので、MF美尾、FW実信、FW小井手らとも、うまく絡んでいる。
磐田時代の最後の方は「サイド」で起用されることが多くなったこともあって、厳しくなった時期もあったが、2007年に東京ヴェルディに移ってからは、また若返ったかのように、質の高いプレーを続けている。30代の後半になっても、これだけのレベルを維持している選手というと、過去は、ヴェルディ川崎時代のMFラモス瑠偉など「一握りの選手」だけである。頼もしい存在である。
■ 札幌は痛恨の3連敗一方の札幌は、これで3連敗。ホームでサガン鳥栖に0対1で敗れるまでは「勢い」があったが、ライバルに敗れたことで意気消沈したのか、京都、鳥取と下位のチームにも勝てなかった。次節、徳島とアウェーで対戦するが、最悪の状況で「大一番」を迎えることになる。
今シーズンは、震災の影響でほとんど休みが無くて、4月末からずっとシーズンが続いている。連戦になることも多いが、流れが良くないときに「連戦」になると厳しくなる。もちろん、「疲れ」もたまってくるが、「土・水・土」や「日・水・土」など、切りかえる暇もないままで試合が続いていくと、「いつの間にか、勝ち点を取りこぼしていて、上位から離された。」ということは、札幌に限らず、過去のシーズンでも、よく見られた。
流れのいいときに「連戦」になるとラッキーで、流れが悪いときに「連戦」になるとアンラッキーであるが、こういう日程的な「あや」も、昇格できるか、否かを左右してくる。今回、札幌は、嫌なところで「連戦」に突入してしまったといえる。
■ 大一番の徳島戦気になるのは、3試合連続でノーゴールで、しかも、「いい形」もほとんど作れていない点である。FWジオゴが戻ってきて、FWジオゴを起点に厚みのある攻撃を見せたかったが、FWジオゴも沈黙し、MF内村、MF近藤もうまく絡めなかった。
次は、昇格争いの行方を大きく左右する徳島戦となるが、22日(日)に試合を行う予定になっている鳥栖、徳島、千葉の試合が、どういう結果に終わるのかで、状況は大きく変わってくる。もし、徳島が横浜FCに勝利して、順位が逆転するようだと、札幌としては戦い方が難しくなる。いずれにしても、「4連敗」になるようだと、昇格争いから脱落となりかねないので、札幌にとっては、昇格をかけた「大事な試合」となる。
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