■ 第30節J2の第30節。8勝12敗7分けで勝ち点「31」の横浜FCと、15勝7敗5分けで勝ち点「50」のコンサドーレ札幌が国立競技場で対戦。横浜FCは15位で、札幌は2位。昇格圏内の札幌は首位のFC東京との差が「4」となっている。横浜FCはここ5試合で0勝3敗2分けと勝利なし。
ホームの横浜FCは「4-2-2-2」。GK関。DF柳沢、朴台洪、森本、宮崎。MFカイオ、藤田優、荒堀、野崎。FW難波、三浦知。MF高地とDF中野は出場停止。FW三浦知は今シーズン12試合目のスタメン。FWフランサはベンチスタート。MFカイオはボランチでの出場となった。
対するアウェーの札幌は「4-2-3-1」。GK李昊乗。DF高木、山下、櫛引、日高。MF岩沼、河合、近藤、内村、砂川。FWジオゴ。7月末にチームに加入した新外国人のFWジオゴは7試合で3ゴールを挙げている。柏、仙台などでプレー経験のあるベテランのDF岡山はベンチスタート。
■ 札幌が2位キープ試合の前半は横浜FCペースで進む。ボランチのMFカイオが頻繁にボールに触って、ゲームを作っていく。最大のチャンスは前半16分のシーンで、中盤で流れるようなパスワークを見せて相手DFを振り回してから、右サイドを駆け上がったMF藤田優がファーサイドにクロスを上げる。これを、FW三浦知がフリーで強烈なヘディングシュートを放つが、札幌のGK李昊乗がビッグセーブを見せてゴールならず。前半は0対0で終了する。
スコアレスで進んだ試合は、後半8分に札幌がMF近藤に代えてMF古田を投入。攻撃のテコ入れを図ると、後半14分に先制ゴールが生まれる。横浜FCのMF野崎がバックパスで最終ラインに戻そうするが、これがFWジオゴのところに渡ってしまう。ドリブルで運んだFWジオゴはタメてから、左サイドの裏のMF内村に絶妙のスルーパスを送ると、MF内村が左足のアウトサイドで芸術的なシュートを決めてアウェーの札幌が先制する。MF内村は今シーズン7ゴール目となった。
直後に、横浜FCはFW三浦知に代えてFWフランサを投入。さらに後半18分にもFW難波に代えてFWエデルを投入。前掛かりになると、後半33分に同点ゴールが生まれる。MF荒堀の縦パスを受けたMF野崎が鮮やかなドリブル突破でDF櫛引とDF山下をかわして右足で強烈なシュートを放つと、これが鮮やかにネット隅に突き刺さって1対1の同点に追いつく。MF野崎は今シーズン4ゴール目となった。
追いつかれた札幌は、FW上原、MF岡本を投入。すると後半43分に右サイドのCKから、MF砂川の蹴ったボールを投入されたばかりのFW上原が高い打点から強烈なヘディングシュートを決めて土壇場で2対1と勝ち越しに成功する。結局、試合は2対1でアウェーの札幌が勝利。昇格に向けて大きな勝ち点「3」を獲得し、2位をキープした。一方の横浜FCは6試合勝利なしで「15位」に沈んでいる。
■ 快進撃が続く札幌J2は、近年稀に見る混戦になっているが、栃木SCが脱落気味で、昇格の可能性を残すのは「上位5強」に絞られたように感じられる。その中で、札幌の快進撃はとどまることを知らず、ここ11試合では9勝1敗1分け。8月26日にアウェーでファジアーノ岡山に0対1で敗れただけで、ほとんど取りこぼすことなく勝ち続けている。
ムードも非常にいい。拮抗した状態から、最後の最後で決勝ゴールを奪って競り勝つことが多く、FW横野、FW上原とラッキーボーイ的な存在も出て来ている。これは、MF西やMF岡本らの若手が出てきて「昇格」を勝ち取った2007年終盤の雰囲気とよく似ている。
これで、残りは10試合になったが、鳥栖(H)、京都(A)、鳥取(A)、徳島(A)、熊本(H)、東京V(A)、大分(H)、草津(A)、湘南(A)、FC東京(H)と続いていく。これを見ると楽な戦いにはならないだろう。特に、「アウェーゲーム」が多い点が気になるところである。「直接対決」が重要になるのは間違いないが、京都、東京V、湘南と力のあるチームとのアウェーゲームを残しているので、これをどう乗り切るかである。J1昇格は見えてきているが、最終節までもつれるだろう。ラストがFC東京なので、37節までに昇格を決めておきたいが・・・。
■ 快進撃を支えるMF河合竜二の存在札幌の強みは、経験豊富な選手がチームにいることである。中でも、MF河合とDF岡山の存在は心強く、ピッチ上では、MF河合の存在感が際立っている。昨オフ、横浜FMを退団したMF河合は、新天地としてJ2の札幌を選択したが、ここまでは大成功している。シーズン序盤はCBでプレーし、ここ最近はボランチでプレーしているが、どちらのポジションでも質の高いプレーを見せている。
CBのときは、C大阪から加入のDF山下とコンビを組んでいたが、経験豊富なMF河合がリードすることでDF山下は自信をつけてCBとして独り立ちすることに成功した。昨オフに、DF藤山、DF石川、DF西嶋と守備の中心を担っていた選手が揃って退団した札幌にとって、最終ラインの立て直しは急務だったが、MF河合の加入とDF山下の台頭がチームの大きな助けになった。
その後、ボランチにポジションを移したが、ボランチに入ってからは、守備だけでなくビルドアップでも貢献している。中盤でバランスを取る役割を担っていたMF芳賀を欠いているが、MF芳賀の不在を感じさせないほどで、MF河合が中盤に入ると試合が落ち着くので、ここは動かしたくないところである。今シーズンの札幌の躍進はMF河合なくしてありえなかったと断言できる。
■ MFカイオがチャンスに決められず一方の横浜FCは、MFカイオが何度か決定機を迎えたが、シュートを大きく外すシーンが目立った。最も痛かったのは、1対1に追いついた後のシュートミスで、途中出場のFWフランサがゴール前に絶妙の落としを見せて、フリーで得意の左足を振り抜いたが、大きく枠を外してしまった。このシュートが決まっていれば、2対1と逆転することができたので、大きなシュートミスだった。
ただ、ボランチとしての動きは悪くなかった。MF高地が出場停止ということもあって、ボランチでの出場となったが、運動量も豊富で、よくボールに触って攻撃のリズムを作った。
欲をいうと、MFカイオを生かすことのできる選手が出て来てほしいところである。「ボールをもらいたがる選手」で、もともとは中盤の選手なので、ボランチで起用されることに大きな違和感はないが、「やりすぎる」シーンも多くて、非効率的な部分も多かった。FWフランサが入ると、FWフランサがうまく味方を使うことができるので、MFカイオも生きてくるが、それ以外ではMFカイオを生かし切れていない。
■ FW三浦知は先発出場注目のFW三浦知は先発出場し、後半15分までプレーした。惜しかったのは、前半16分のヘディングシュートで、フリーでいいヘディングシュートを放ったが、GK李昊乗に好セーブされてゴールはならなかった。FW三浦知は、Jリーグ元年の1993年から毎年ゴールを記録していて「記録更新中」であるが、今シーズンは、まだリーグ戦でゴールが生まれていない。今年も記録を伸ばせるかどうか、微妙になってきた。
それでも、動き自体は悪くない。昨シーズンは「3ゴール」をマークしたが、先発で出場したのは最終節の大分戦の1試合だけで、なかなかチャンスに恵まれなかったが、今シーズンは、すでに12試合で先発出場している。コンディションも良さそうで、フォワードで出場する機会も増えている。残りは10試合となったが、何とか、記録更新を期待したいところである。
■ MF野崎が同点ゴール失意のシーズンになっている横浜FCであるが、MF野崎はキャリアでも最高のシーズンになっている。横浜FCはなかなかメンバーが固定できずに苦しんでいるが、MF野崎は26試合で4ゴール。スタメンも17試合あって、主力級の活躍を見せている。ゴールシーンは説明無用の「スーパーゴール」だった。
MF野崎は2007年にサガン鳥栖に加入し、2010年の途中から横浜FCでプレーしている「岸野チルドレン」の一人である。ドリブルでの突破には鳥栖時代から光るものがあったが、横浜FCに移ってからは、よりタフになって、戦える選手になっている。攻撃的なポジションだけでなく、サイドバックもこなすので、ありがたい存在である。今シーズンは、期待に応えられない選手が多い横浜FCの中で、奮闘している選手の一人である。
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