■ 第2節震災の影響で延期になっていたJ1の第2節で、セレッソ大阪と柏レイソルが対戦。この2チームは、1995年にJリーグに昇格した同期生であるが、対戦するのは2005年シーズン以来となる。2006年、2010年は柏がJ2で、2007年、2008年、2009年はC大阪がJ2で戦っていて、ずっと「すれ違い」になっていた。
C大阪は、2勝4敗6分けで勝ち点「12」。対する柏は、9勝3敗1分けで勝ち点「28」で首位を走っているが、最近は失点が増えてきている。
ホームのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF高橋大、茂庭、上本、丸橋。MF中後、マルチネス、清武、倉田、乾。FWホドリゴ・ピンパォン。ロンドン五輪代表のMF清武がチームに戻ってきて、5試合ぶりのスタメン。韓国代表のMFキム・ボギョンはベンチスタート。DF上本もスタメン復帰してきた。海外移籍が噂されているMF乾は2試合連続スタメン。
対する柏は「4-2-2-2」。GK菅野。DF酒井、増嶋、近藤、ジョルジ・ワグネル。MF栗澤、茨田、レアンドロ・ドミンゲス、兵働。FW田中順、工藤。こちらもロンドン五輪代表のDF酒井がスタメン復帰。MF大谷、FW北嶋はベンチスタート。FW田中順はここ6試合で7ゴールを挙げており、通算でも8ゴール。得点ランキングは2位と好調を維持している。
■ ホーム初勝利試合は、序盤からホームのC大阪ペースとなる。MF乾、MF清武、MF倉田の3シャドーがキレのあるプレーを見せて攻撃をリードすると、前半18分にC大阪が先制する。MF倉田がヘディングで落としてMF清武にボールが渡ると、MF清武は裏のスペースに絶妙のスルーパス。裏に飛び出したMF乾が落ち着いて決めて先制に成功する。MF乾は今シーズン3点目。
さらに、前半24分にもDF高橋大がパスカットから前線に鋭いパスを送ると、柏のDF増嶋がクリアしようとするがクリアミス。FWホドリゴ・ピンパォンにボールが渡ると、FWホドリゴ・ピンパォンがうまくゴールに流し込んで2点目を挙げる。FWホドリゴ・ピンパォンはリーグ戦で4ゴール目。2対0とリードを広げる。対する柏は前半28分にMFレアンドロ・ドミンゲスが2枚目のイエローカードを受けて退場。10人になってしまう。
2点リードのC大阪は後半23分にもMFマルチネスが決めて3点目を挙げて試合を決めてしまう。MFマルチネスは今シーズン初ゴール。C大阪は後半39分にFW播戸、後半46分にMF倉田にもゴールが飛び出して、終わってみると今シーズン最高の5ゴールで圧勝。今シーズン3勝目を飾った。一方の柏はまさかの大量失点で敗戦。首位はキープしたが、調子は落ちてきている。
■ 久々のゴールラッシュ今シーズンは、キンチョウスタジアムで6試合を消化しているが、0勝3敗3分け。リーグ戦に限定するとホームで勝利が無かったC大阪が、ようやくホームで初勝利となった。今シーズンは、なかなか先制ゴールが奪えずに苦しんでいたが、3シャドーの連携からMF乾がゴールを挙げて主導権を握ると、相手に退場者が出たこともあって、ゴールラッシュとなった。
これで今シーズンは3勝目となったが、勝利している相手が、福岡(A)、甲府(A)、柏(H)でいずれも昇格組であるのは面白いところであるが、勝ち点も「15」となって暫定で13位。得失点差も「+6」となって、ようやく中位が狙えるポジションまで持ち直してきた。
ここ数試合は、主導権を握る展開が多かったので、明らかにチーム状態はよくなってきているが、右サイドのDF高橋大、左サイドのDF丸橋の調子ががってきているのが大きく、サイドからたくさんのチャンスが生まれている。DF丸橋は、この試合では、ロンドン五輪代表のDF酒井とマッチアップすることになったが、90分を通してDF丸橋が優勢。ゴールに絡むことはなかったが、持ち味のアーリークロスでゴールを脅かし続けた。
悪い時期は、両サイドバックのプレーが中途半端で、変な形でボールを失ってカウンターでピンチを招くシーンが多く、サイドバックが高い位置を取ることがマイナスに働いていたが、サイドバックの調子が上がってきたことで、チームのバランスもよくなった。
■ MF乾貴士が先制ゴール海外移籍が噂されているMF乾は、しばらくの間、ベンチからも外れており、「もうC大阪でプレーすることはない。」という報道もあったが、前々節の名古屋グランパス戦でベンチ入りすると、途中出場でゴールをマークし、前節のアルビレックス新潟戦では終了間際にアシスト。そして、この日も先制ゴールと、3試合連続で結果を残している。
「キレ」自体は、一番いいときと比べると「まだまだ」という気はするが、メンバーから外されるという辛い時期を経験して、プレーが丁寧になってきている。移籍の話がどう進展していくかは分からないが、クルピ監督にお灸をすえられる形になって、人間的に一回り大きくなったような感じで、海外移籍するにしても、チームに残るにしても、MF乾にとっては得がたい経験となったはずである。
■ 3シャドーが躍動C大阪は、最近は「2トップ」が多かったが、MF清武が戻ってきて、MF乾もメンバーに入るようになったので、3シャドーに戻してきた。MFキム・ボギョン、MF倉田もいるので、誰がスタメンになるのか、ポジション争いはし烈であるが、クルピ監督はMFキム・ボギョンをベンチスタートとして、MF乾、MF清武、MF倉田の3シャドーをスタメンで起用してきたが、MF清武が1アシスト、MF乾とMF倉田が1ゴールずつと、3人が結果を残した。
MF乾が移籍話が、どうなるか分からないので、この先のことは展望しにくいが、3シャドーとするならば、この3人の組み合わせがベターといえる。MFキム・ボギョンの「突破力」や「強さ」も魅力であるが、まだノーゴールで「得点力」に問題を抱えている。
ただ、「2トップ+2シャドー」という形になると話は変わってきて、2列目の周りにスペースが生まれるので、MFキム・ボギョンの能力も生きてくる。3シャドーでは優先順位が下になるMFキム・ボギョンも、2シャドーになると欠かせない戦力であり、今後、「1トップ+3シャドー」と「2トップ+2シャドー」をうまく使い分けることができると、攻撃面の不安は少なくなる。
■ 正念場のレイソル一方の柏は大敗で4敗目。2位のベガルタ仙台は引き分けだったので、仙台との差は「3」で、依然として首位をキープしているが、ここ5試合では2勝3敗。5試合で13失点となって、堅守を誇っていた守備陣が守りきれなくなってきている。右サイドバックのDF酒井が五輪代表のため、しばらくチームを離れていたのが、1つのきっかけになって、少しバランスが崩れてしまった。
もともと、「個人の能力」で守っていたチームではなく、「チーム全体」で守っていたチームなので、ちょっと歯車が狂うだけで、途端に威力を失ってしまう。「いきなり優勝」ということはネルシーニョ監督も考えていないだろうが、下のチームとの差が一気につまってきて、上位に定着するためには、正念場の時期を迎えている。
■ MFレアンドロ・ドミンゲスの退場2点リードを許した時点ですでに厳しい状況に追い込まれていたが、前半28分のMFレアンドロ・ドミンゲスの退場が追い打ちをかけたといえる。1枚目のイエローカードが、どういうタイミングで出ていたのか、ちょっと分かりにくかったが、2枚目のイエローのシーンは妥当な判定で、イライラが募っていたのか、安易なプレーだった。
柏は選手層の厚いチームの1つで、バックアッパーにも能力の高い選手が揃っているが、MFレアンドロ・ドミンゲスだけは別で、ここまでフルタイム出場を続けており、別格の存在だった。次節は、ホームで2位の仙台を迎える大一番であるが、この試合に出場できないのは痛手で、誰が代わりを務めるのか、ネルシーニョ監督も悩むところである。
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