■ 第10節J1の第10節。J1に昇格して2年目となるセレッソ大阪とベガルタ仙台の対戦。ともにJ2だった2009年シーズンは、仙台が最終節で優勝を決めて、C大阪が2位となった。昨シーズンの対戦は、2試合ともに引き分けに終わっている。ここまで、C大阪は1敗2分け。仙台は3勝1分け。仙台は3連勝中である。
ホームのC大阪はインドネシア遠征から帰ってきて中3日の試合となる。システムは<4-2-3-1>。GKキム・ジンヒョン。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MF中後、マルチネス、清武、キム・ボギョン、乾。FWホドリゴ・ピンパォン。MFキム・ボギョン、DF上本がスタメンに復帰。MF倉田はベンチスタート。
対する仙台も<4-2-3-1>。GK林。DF菅井、鎌田、曹秉局、田村。MF角田、高橋、太田、梁勇基、関口。FW中島。DF朴柱成は出場停止。FW赤嶺は怪我のため欠場。FW中島がスタメン出場。
■ ロスタイムに同点ゴールライバル同士の対決は、3連勝中の仙台が先制する。前半29分にMF角田の縦パスをMF梁勇基がDF丸橋に競り勝って裏のスペースに落とすと、走り込んだDF菅井が中央に折り返す。これをMF太田が右足で合わせて先制する。好調のMF太田が再開後の4試合で3ゴール目。前半は仙台が1対0でリードして折り返す。
C大阪は後半開始からMF中後に代えてMF倉田を投入。MFキム・ボギョンをボランチに下げる攻撃的な布陣に変更するが、疲れもあるのか、思うようなサッカーができない。さらに、後半26分には、MF乾とFWホドリゴ・ピンパォンを下げて、FW小松とFW永井龍を投入。2トップに変更する。
これが、ようやく実ったのは後半49分。自陣からDF丸橋が前線に送ったロングキックをFW小松が競ってFW永井龍が胸でつなぐと、そのボールをFW小松が右足でシュート。これがDF菅井に当たってコースが変わってゴールイン。土壇場で同点に追いつく。FW小松は今シーズン初ゴール。
結局、試合は1対1のドロー。仙台は3勝2分け。対するC大阪は1敗3分けでまだ勝利がない。
■ 仙台は4連勝ならず3連勝中だった仙台は、ロスタイムまで1点リードを奪っていたが、ラスト2分ほどで追いつかれて勝ち点「2」を失っ。試合は仙台のペースで進んでおり、勝てた試合だったので悔やまれるドローとなった。
特に、ロスタイムのフリーキックのシーンが悔やまれるところで、MF関口がドリブルで突破して絶好の位置でフリーキックを獲得したが、途中出場のMF松下が普通にゴールを狙ってシュートし、枠を外してゴールキックになってしまった。
いい位置でのフリーキックで、MF松下はFKのスペシャリストなのでゴールを狙うのも悪くないのだが、やはり、直接ゴールを狙わずに、サイドにパスして時間を稼ぐのがセオリーであり、守っているC大阪としては、そちらのプレーを選択された方が嫌だった。
もちろん、FKを蹴るまでに時間をかけており、MF松下に対して、指示は出せたはずなので、MF松下だけの責任ではなくて、ベンチのミスでもあるが、キープして時間を稼ぐプレーを選択していれば、勝ち点「3」を取れた可能性は高かったので、悔いが残るプレーとなった。
■ 好調のMF太田は3ゴール目川崎F戦では同点ゴール、浦和戦で決勝ゴールを決めているMF太田が、またしても先制ゴールをマーク。今シーズンは5試合で3ゴールと波に乗っている。MF太田は2005年は30試合で7ゴール、2006年は32試合で9ゴールと、サイドアタックを武器にする選手にしてはゴールも多い選手ではあるが、震災後のプレーは気持ちもこもっており、神がかっているように見える。
スタメン表では、MF太田も、MF関口もFW登録になっているが、実際には、どちらも、完全なフォワードではなく、下がり目でプレーしているので、FWともいえるし、MFともいえる曖昧なポジションである。
仙台は、昨シーズンもMFフェルナンジーニョという1.5列目タイプの選手がいて、MF関口、MF梁勇基、MFフェルナンジーニョとアタッカー3枚を置く布陣を試していたが、1トップ的な布陣になると、MF梁勇基が生きないケースが多く、しっくりこない部分もあったが、MF太田、MF関口、MF梁勇基のトリオはうまくバランスも取れている。
■ 存在感を発揮するMF角田誠仙台は京都から移籍していたMF角田がボランチのポジションをつかんでいるが、持ち味の万能性を発揮しており、3勝2分けという好成績の立役者の1人となっている。昨シーズンの中盤以降、MF富田とMF斉藤のダブルボランチで固定されてからチームが落ち着いて、見事に残留を果たしたので、このコンビを崩して、MF角田とMF高橋をボランチで起用してくるというのは意外だったが、思った以上に機能しており、攻守ともにいいバランスを保っている。
この試合の先制ゴールは、MF高橋が球際の強さを発揮してイーブンのボールをマイ・ボールにしたプレーから始まっており、つないだボールをMF角田が縦に送って先制ゴールまで結びついたが、中盤の底で、MF角田が落ち着いたプレーを見せていることが、チームにも安心感を与えている。MF角田は、セットプレーでも強さを発揮しており、効果的な補強となっている。
■ ロスタイムに追いつくが・・・一方のC大阪はロスタイムに追いついたが、攻守ともに物足りない出来で内容的にも仙台を下回った。
C大阪がJ2に落ちた2007年からの3年間は、この2チームが、常に、J2の上位に位置して昇格を争っていたので、この2チームは、J2では大一番で対戦することが多かったが、たいていの場合、仙台がしたたかに戦って、C大阪の持ち味を出させないという展開になったが、この試合も同じような流れで、仙台のペースで進んでいった。
C大阪はACLも戦っているので、公式戦はこれで9試合目となったが、なかなかチームが成熟してこなくて、攻守ともにすっきりしない試合が続いている。「内容がよかった。」といえるのは、ACLの第3節の全北戦(H)くらいで、他の試合はミスも多く、パッとしない試合ばかりである。
幸いにして、9試合で3勝3敗3分けというイーブンの成績が残っていて、ACLも自力での決勝トーナメント進出の可能性も残している。内容を考えると上出来なくらいの結果が残っているが、そろそろ、いい内容の試合も見せてほしいところである。
■ FWホドリゴ・ピンパォンの1トップ気になるのは、やはり1トップに入っているFWホドリゴ・ピンパォンのパフォーマンスであり、ACLを含めて9試合で3ゴールを挙げているが、3ゴールともに力の落ちるアレマ・インドネシアとの試合で、他の試合ではゴールが生まれていない。もともと、1トップタイプではないことを承知でブラジルから連れてきた選手なので、前もって分かっていたことではあるが、ここまでのところ、「1トップ役」としては、かなり物足りないものである。
G大阪に移籍したFWアドリアーノも、最後の最後まで3シャドーとは息が合っていなかったので、その点では同じであるが、FWアドリアーノの場合は、孤立していても自分でシュートまで持ち込めるパワーがあったので、それはそれで相手の脅威になっていたが、FWホドリゴ・ピンパォンの場合、そこまでの「個の力」がないので、攻撃が行き詰ってしまう。
それでも、献身的なプレーでチームに貢献してくれるのであればいいのだが、気まぐれなところがあって、運動量も少なく、体を張ったプレーはほとんど見られない。ゴールを挙げることでチームに貢献する選手であるが、ゴールも決められていないとなると、チームにとってはマイナスにしかならない。
ただ、(非常に限定的ではあるが、)スピードに乗った状態で、前を向いたときの突破力は並外れたものがあって、ループシュートなどを駆使したシュートテクニックも、J1ではトップレベルである。このあたりは「さすがにブラジル人ストライカー」といった感じでは、日本人のフォワードには真似できないものも持っている。短所ばかりの選手であれば諦めもつくが、いいところもあるだけに、簡単にあきらめるのも、もったいない気はする。
素直に2トップに変更して、ポストタイプの選手の横でプレーさせた方が、力を発揮するだろうが、そもそも、C大阪にはポストプレーヤー・タイプの大型フォワードがいないという事情もあるし、2トップになると、3シャドーを解体する必要も出てくる。このまま、FWホドリゴ・ピンパォンの1トップを機能させるのは至難の業だと思われるが、果たして、クルピ監督はどういう決断を下すのだろうか?
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