■ G大阪がシジクレイの活躍で勝利浦和レッズとの勝ち点差が「6」で、もう勝ち点3しか許されない試合で、ガンバ大阪がホームの万博で、清水エスパルスと対戦した。試合は、前半から押し気味のG大阪が、後半14分にコーナーキックからシジクレイのゴールで先制すると、後半32分と41分にマグノ・アウベスが追加点。終わってみれば、3対0でG大阪が勝利した。
前半から両サイドの加地と家長がサイドを制圧して、何本もクロスを送っていたが、なかなか中央の選手に合わずという展開で、嫌なムードになりかけたが、シジクレイの先制ゴールで吹っ切れた感じだった。守備面でも、シジクレイの存在は大きく、この試合で一番貢献度が高い選手であった。
■ サイドを制した加地&家長ここ4試合、勝ち点3が取れていなかったG大阪にとって、待望の勝ち点3となった。印象的だったのは、両サイドの加地と家長。右サイドの加地は、タイミングのいいオーバーラップと判断のよさで、山西を圧倒。一方、左サイドの家長は、抜群のドリブルテクニックでチャンスメークを行い、市川に攻撃参加の機会作らせなかった。
ただ、残念なのは、サイドを突破してクロスを挙げても、なかなか、中央で待つ、マグノ・アウベスと播戸に合わなかった。特別、クロスの精度が低いわけではないし、グラウンダーのクロスやアーリークロスを織り交ぜるなど、バリエーションも豊富だったが、青山と高木の壁は、破れなかった。この試合に限っては、攻撃面でほとんどよさが出せずに消えている時間が多かった二川に代えて、長身のFW中山をもっと早い時間帯に投入しても面白かった。
それにしても、家長。スペースも時間も何もない状態でボールを持ったときでも、自分でドリブルとキープを駆使して、クロスを上げることが出来る。クロスの精度もまずまずで、清水としては、脅威だった。欲をいうと、左サイドに張り付かず、中に入ってきたり、右サイドに進出してくるようなプレーがあっても良かった。
■ 結果は残したマグノ・アウベスマグノ・アウベスは、ずっとこんな感じが続いていて、調子がいいのか悪いのかよく分からない。この試合では、7度決定的なシュートチャンスを掴んだが、なかなかゴールにつながらない。体のキレ自体は、それほど悪くないようで、運動量も申し分なかった。結局は、メンタル的な問題なのか?
G大阪では、宮本とシジクレイのロングフィードの正確さが際立っていた。サイドで待つ加地と家長にむかって、これ以上ないくらい鮮やかな軌道を描いて、チェンジサイドのパスが通る。明神と橋本がともにつなぎ役の選手であるためゲームメークを任せることが出来ず、遠藤の不在を嘆くことになると試合前には思っていたのだが、この二人の精度の高いパスが攻撃の基点になる場面がしばしば見られ、組み立てに関しては、遠藤の穴をそれほど感じることはなかった。
優勝に向けて課題を挙げると、やはり攻撃陣ということになる。明神と橋本のダブルボランチは安定感があって、シジクレイ・宮本・山口の3バックも落ち着いたプレーを見せている。取りこぼしをしないためには、ピーク時に比べると調子が下降気味の播戸とマグノの2トップの活躍が不可欠である。なんとか、最終戦の浦和レッズ戦まで、優勝の可能性を残したまま、埼玉スタジアムに乗り込んで欲しい。
■ 守備的なプランで試合に臨んだ清水一方の清水は、かなり守備的な試合をした。ボランチの伊東とフォワードのマルキーニョスの位置がいつもよりも低く、前半はうまく凌いだが、後半15分にセットプレーからシジクレイに先制のゴールを奪われたあとは、もう反撃するだけの力は残っていなかった。
両チームの力関係を考えると、打ち合い挑んでいたら、かなりガンバに分があっただろう。勝ち点「3」を得るシナリオとしては、ラインを下げてしっかり守って、少ないチャンスでカウンターという形が、一番現実的で、可能性が高い戦法だったかもしれない。消極的なサッカーだったかもしれないが、それはそれで、長谷川監督の采配に文句をいうつもりはない。
■ プランを崩した要因戦法としては、間違いではなかったと思う。ただ、最終ラインからのフィードが不正確で悪い形でボールを奪われることが多かったことと、チョ・ジェジンのコンディションが悪く前線で起点になれなかったことが原因で、試合前に描いたプランは、思い通りには進まなかった。ベンチには、快速のFW矢島が控えていたので、早い時間帯にチョ・ジェジンを見限って、矢島を投入していても面白かった。
ようやく試合に復帰した、MF藤本は、まだ万全ではなかったが、やはり彼が中盤にいるとボールが落ち着くし、意外性のあるパスが出てきそうな雰囲気がある。今シーズンは、新人としては十分な働きだったが、来シーズンはさらにステップアップして欲しい選手だ。
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