ドイツ大会では、柳沢、大黒、巻、玉田、高原と5人のフォワードが選出されているが、高原がフォワードの軸になることは間違いない。それほど、高原のポテンシャルは抜けている。
ナイジェリアのワールドユース、シドニー五輪、レバノン・アジアカップ2000と、高原は、大舞台でいつも期待に応えてきた。ワールドユースで3得点、シドニー五輪で3得点、アジアカップで5得点。三浦知良を除くと近年の日本代表のフォワードで、ここまで国際舞台で結果を残してきたストライカーは、高原以外にはいない。
ここまで書くと、「ドイツのHSVに移籍してから、いまひとつなんだよね・・・。」という声が聞こえてきそうだが、確かにその通りで、ブンデスリーガに移籍してからの成績は高原のポテンシャルに見合ったものではない。フォワードにとって最も大切なゴール前での落ち着きを失ったまま、ドイツでプロ生活を送っているように見える。それでも、ドイツの屈強なディフェンダー相手に4年間戦った経験は、大きな残産になっているはずだ。
高原を評価するとき、よく、「ドリブル、パス、シュート、ヘディングと全て標準以上だけど、特出したものがないから、世界を相手にゴールを奪うにはきつい」といわれるが、それは、明らかに間違っている。高原の最大の持ち味は、泥臭さとひたむきさであり、これらは世界を相手にしても、十分に通用する大きな武器である。怪我を恐れず、ゴール前に飛び込むその姿は、ファイターそのものである。
ボクは、HSVに移籍してから、ずっと高原の試合を見守ってきた。確かに、決定機を逃すことが多く、イライラさせられたりもしたが、どんな状況でも、常に120%の力を発揮しようと努力する姿を見てきた。その姿を見てきただけに、彼を否定するようなことは言えない。
第二の故郷ともいえるドイツのピッチで、日本代表のエースとして高原直泰がゴールを決める、この時、この瞬間、ボクは、日本代表のほかの22人の誰のゴールよりも、声を出して叫び、ゴールをたたえるだろう。彼の4年間の苦労をずっと、見守ってきただけに・・・。
- 関連記事
-