本作の世界がいかにしてこうなったかという経緯を説明した回。
博士、APE、マグマ燃料、オトナとコドモ、叫竜、そしてゼロツーの誕生。
今までわからなかった世界設定が明らかにされた。
さて今回は各所で新世紀エヴァンゲリオン21話「ネルフ誕生」を思い出す内容だった。
世界の変動、組織の成り立ち、キャラクター。
今回を見て博士はエヴァのゲンドウと冬月を足したような存在に思えたし、
碇ユイと同じようなポジション(博士の相手、研究者、ロボットの実験中に死亡)の
カリナ・ミルザも登場した。
オマージュ?パクリ?リスペクト?インスパイア?
受け取り方によって言い方は様々あるだろう。
今までにもエヴァとの類似の指摘はあったが、今回は特に多かったと思う。
そして本作の制作にはエヴァのガイナックスのスタッフが母体のトリガーが参加。
エヴァに関わったスタッフも多数参加している。
(4話絵コンテの摩砂雪さん、今石洋之さんetc)
今回の脚本の大塚雅彦さんはエヴァで演出デビュー。
ちなみに今回の参考になったであろうエヴァ21話のビデオ版の演出にも参加している。
よってエヴァ21話の脚本や絵コンテを参照にしながら、
大塚さんは脚本を書き上げたのかなと推測してしまう。
ガイナックスのエヴァ。
トリガーのダリフラ。
TV版エヴァから23年が過ぎて古典になりつつある中で
トリガーが古巣が作った古典をなぞらえて、
自覚的に今風のアニメとして仕立てる。
少年ジャンプの黒子のバスケが、
スラムダンクを彷彿とさせるシーンがあったように
トリガー側はダリフラをエヴァになぞらえて制作していると思った。
かつてのエヴァみたく、エポックになるロボットアニメを目指して。
さて今回の演出について。絵コンテは神戸守さん。
神戸さんの演出イメージはクール(冷静かつ客観的)かつ淡々な印象が強い。
その演出イメージと今回の主役であり語り部でもある
博士の冷徹さと狂気さを併せ持ったキャラクター像とマッチした絵作りだったと思う。
今回は演出の特徴として、
キャラクターを中心に四角く画面をトリミングするような、周りを黒くする画面が見られた。
過去の博士。
ココロ(小さい)
この四角くするのは、監督だったコメットさんやコンテ・演出の苺ましまろで見られる。
過去の博士と博士の上司の学長との会話。
上は切り返し、下は切り返さず、二人の位置を上から逆にしている。
会話のシーン、単純な切り返しだけでは間が持ちづらい。
構図はほぼ同じでも、位置を逆にすることで間が持つ画面になる。
他にもキャラクターのアップや印象的に1枚絵で見せる場合、
四角く切り取る画面が10回以上はあったと思う。
私としてはこういう画面の作りはクールだなぁと思う。
次にキャラを重ねるようなレイアウト。
キャラクターのポジションが、そのまま関係性を示しているようで良い。
緩やかなダッチアングル。
同ポ。
(神戸さんがコンテだったよりもい7話にも同ポがある)
自然に現在から過去への回想に繋がっていく感じが良い。
技法としては以上のような見せ方が印象的ではあった。
大切なのは技法よりも博士の淡々とした語り口に合わせて
自然に映像が流れていく感じに積み重ねているのが良かった。
技法はあくまでアクセントとして。画面をダレさせずに見せるため。
作画枚数に頼らずに、演出で魅せる格好の例のような絵作り。
エヴァ21話っぽいといわれるが、それだけではない。
神戸守さん的技法でまとめ上げたといえると思う。
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