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甲鉄城のカバネリ-恐怖と行き帰りする物語 

まず恐怖を描いたアニメだったと思う。

カバネという異物が襲いかかる恐怖。
カバネの恐怖が、人同士の争いを呼ぶ恐怖。
恐怖が恐怖を呼び、人の尊厳は失われていく。

生駒も最終回直前で一度敗北し、
無力さと絶望と恐怖から尊厳を失うが、自身を取り戻す。
こうした恐怖で喪失したものから、どう立ち直るか。
カバネリの胆はこの点にあったと思う。

美馬は破壊と復讐によって、喪失を埋めようとしたのではないか。
そんな美馬も生駒の執念に冷や汗をかき、
恐怖を覚えつつも、そこで自身を取り戻したのではないかと思う。
最後に生駒を救ったのは美馬が生駒に打った白血漿なのだから。

恐怖からの喪失と回復があれば、
一方で本作は行き帰りする物語でもあった。

物語最後、甲鉄城に戻る生駒・栗栖・無名の3人を
甲鉄城の面々が熱く迎えるシーン。
また振り返ると、生駒は甲鉄城から離れては、
何か変化をして甲鉄城に戻ってくる展開でもあった。

こうした展開の連続は本作は、
行って何かを手に入れ、帰ってくる物語であることを
徹底していたの作劇だった。

生駒と無名の喪失(カバネリ化)と回復(人間に少し戻る)。
恐怖を克服する姫様。
生駒を出迎える甲鉄城の面々(行き帰りする物語)。
最終回の以上のシーンを描くために、本作は物語を紡いできたのではないか。


圧倒的な映像力で、王道的な物語を描こうとしたカバネリ。
彼らの旅はこれからが本番なのだろう。
 
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[ 2016/07/01 06:56 ] ニュース | TB(1) | CM(0)
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無名は戻ったけど生駒は…。一人で満足して死んでいきました、という展開になるんじゃないかと。基本的に私はハッピーエンドが好きです。たとえ世界が平和になっても主人公が死んじゃったら全然嬉しくない。なので「革命機ヴァルヴレイヴ」とかしょんぼりでした。かといって安直に生き返ったり「よく分からないけど助かった」って展開にされると萎えちゃう。果たして生駒はどうなるのか。興味はほとんどここで...

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