はじめに
タービンズの名瀬・タービンが鉄華団と接触。
オルガは名瀬の要求を呑めないとして交渉は決裂。
タービンズは実力で鉄華団を抑えようとする。
大人のタービンズ-子供の鉄華団
「鉄血のオルフェンズ」を読み解く主要なキーワードとして
「子供と大人」が挙げられると思う。
過酷な環境下で生き残ってきた子供達の鉄華団が、
生き抜くために立ちふさがる大人達に対抗していくのが
「鉄血のオルフェンズ」の物語の骨子だと思う。
今回、鉄華団に立ちふさがったタービンズは大人達である。
それは今回の最初のカットがペディキュア(足指にマニキュアを塗る)を行う
ラフタ・フランクランドの姿でわかる。
足指にマニキュアを塗るのは、大人の女性的な振る舞いである。
最初にこのシーンを見せてきたのは
今回は大人の女性が鉄華団と関わってくるかという話の宣言のためだ。
名瀬・タービン。長髪の無精ひげに帽子をかぶったキザな大人。
よくよく見ると大人的な記号で固められたキャラクターである。
ギャラルホルンのマクギリス・ファリド、ガエリオ・ボードウィンとは違った
大人側のポジションとして。OPを見ても恋愛にも奔放そうであり、
長く鉄華団に挑んでくる存在なのだろう。
アミダ・アルカ。姐さんと呼ばれ大人の色気を存分に発揮しているキャラクターだ。
声が田中敦子さんなのも、大人の女性としてこれ以上にない配役だ。
アミダ・アルカ、ラフタ・フランクランド。この女性二人は名瀬の彼女である。
つまり恋愛している点においても、大人であることを強調している。
今までの鉄血のオルフェンズで登場してきた大人達は
ギャラルホルンの二人以外は殆どがオッサンキャラだったのに対し
今回のタービンズは大人の女性を登場させてきたのが明確な違いといえる。
今まで男キャラが多かった本作において、華が広がったという感じだ。
子供が大人と渡り合うにはーそれはやんちゃ
名瀬のタービンズが女性達が多い組織だとしても
彼女達はMSを操縦するのだから、決して甘い考えの持ち主たちではない。
描写描写を見ても、戦闘のプロであることが強調されている。
そんな大人達のタービンズに子供達の鉄華団はどう立ち向かうのか。
大人であること。さらに相手に背後を取られ不利な状況であること。
この事は、タービンズが上手(左側)、鉄華団が下手(右側)にいることでも描かれる。
※上手(右側)から下手(左側)へ向かうタービンズ。
※下手(左側)で迎え撃つ鉄華団
大人を上手、子供を下手と見立てて、
鉄華団を不利そうに見える空間作りに成功している。
では鉄華団はどう状況をひっくり返そうとするのか。
それは鉄華団の面々が「やんちゃ」性を発揮することだ。
「やんちゃ」であるとは、平気で命を投げ出せる行動にでること。
今回、その「やんちゃ」を見せた瞬間が、イサリビがハンマーヘッドにすれ違う瞬間。
ミサイルで煙幕を張り、逃げようと見せかけてハンマーヘッドのいる側に進路を取る。
まず相手の予想外の方向へ逃げる巧みな戦術かと思わせておいて、
実は本当の狙いは、船同士がすれ違った瞬間に
オルガ達がハンマーヘッドに乗り移り侵入することにあった。
名瀬も言っていたが、あのスピードで船同士が接触し敵艦に乗り移るのは、
死ぬリスクが極めて高い行動である。そんな行動を躊躇なく取る。
オルガの行動は勇気ともいえるし、やんちゃでもある。
ただ大人側のタービンズに一本取った瞬間でもある。
※イサリビを追撃しようと反転するハンマーヘッド
さらにいえば、ハンマーヘッドの頭上を超えて突き進むイサリビを
ハンマーヘッドが反転したことで、
イサリビ=鉄華団=子供が上手(右側)
ハンマーヘッド=タービンズ=大人が下手(左側)
の構図に状況が変わったことを意味する。
つまりイサリビのハンマーヘッド越えによって
上手と下手の立ち位置が変更しされ、
子供が大人を乗り越えたという見方ができる。さらにMS戦闘においても
鉄華団のMSであるバルバトスとグレイズ改が上手側(右側)に回り、
タービンズのMSの百里と百練が下手側(左側)に回るようになる。
三日月も昭弘も命を張ることに躊躇がない。
ある意味やんちゃな二人がタービンズのMSを釘付けにしたことも、
イサリビのハンマーヘッド越えを可能にした状況を作り出した。
命を張るやんちゃ性が、状況と画面の立ち位置をも変えていく。
「大人と子供」という本作の重要なキーワードを
こうした画面における敵味方の配置で巧みに表現する。
アニメの演出の醍醐味の一つだと思う。
まとめ
鉄血は戦闘シーンが面白い。
戦闘がメインの5話と7話の脚本が鴨志田一さんなので
今後も戦闘回は鴨志田さんが担当されるのかもしれない。
基本的に鉄華団が置かれた状況は不利であり、
見に降りかかってくる火の粉を消さなくてはいけない。
そんな不利な場面作りを毎回趣向を凝らしながら作り
最後は形勢逆転してカタルシスを与える展開にもっていく。
一方で物語の骨子である「大人と子供」の関係性を交えながらも
戦闘シーンを描いていく本作の巧さは秀逸だと思う。
今回の戦闘の結果、戦闘は取りやめになり
名瀬は鉄華団と話し合うことにしたと言うがその真意はいかに。
大人が子供を認めたのか果たして…。
戦闘の余韻を残しつつ、次回を迎える「鉄血のオルフェンズ」。
毎回、楽しみな作品だ。
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まさに手に汗を握る展開ですね。