Gの「レコンギスタ」13話を視聴。
今まで私はGレコを「戦争が起こるメカニズム」を描く作品としてみていた。
しかしこの作品が描きたいのは「旅行」「宇宙旅行」だとわかった。
戦争より旅行ー真実を探求するアイーダ
それは、最後のアイーダがトワサンガに行くと決意したシーンで
この作品は移動の魅力としての「旅行」が描かれることを再確認させられたからだ。
ではなぜ「旅行」が描かれるのか。
まず富野監督が「旅行」「宇宙旅行」を妄想し描くのが大好きだからだ。
富野監督は、宇宙に進出した人類はどんな技術・生活・宗教・価値観
を持っているかを考えて作劇をして世界観を作るからである。
そしてこの事以上に大事なのは、
「全体主義」と「戦争」を克服するために
移動の魅力としての「旅行」が挙げられるからである。
アイーダは月側の使者の「トワサンガ」という言葉を聞いて、直感した。
いくら月からの艦隊の言い分や、他の人達の言い分を聞いても
「トワサンガ」に行かなければ、真実はわからないと。
アイーダにとっては戦争より真実が優先しているのだ。
(※天才クリムやマスク大尉は戦争をしたいように見える)
つまり戦争を起こさない方法を「トワサンガ」に行って突き止めたいのだ。
この事を踏まえると、戦争を起こさないためには、
「旅行」をして真実を見極める必要性がある描かれ方をしているのだ。
「Gレコ」と「全体主義」と「旅行」
「Gレコ」は、みんなが時代の空気によって引っ張られ、考えなしに動き、
結果「戦争」に繋がってしまう「全体主義」を描く作品である。
富野監督は、社会学者ハンナ・アーレントの「全体主義」を引き合いに出すものの
ハンナ・アーレントが「全体主義」のモデルにした
ナチス体制のドイツや、スターリン体制のソ連を描きたいのではなく、
今の時代に応じた「全体主義」を描こうとしている。
それはグローバリズムとネットによって生まれる統一された一つの価値観であり
共同体から切り離され、個の権利を主張するが責任を負わない
「原子化した大衆」によって生まれる、現代的な戦争をイメージしながら
リギルドセンチュリーの戦争を描いているのだろう。
こうした「全体主義」から生まれる空気に対抗する手段として
「旅行」することで真実を知り、空気と戦っていくことが描かれているのだと思う。
その意味ではアイーダは時代の空気に引っ張られずに
きちんと物事を考えられる人間として描かれている。
また、そのアイーダに惹かれるベルリやメガファウナの人々も
アイーダに近しい感じ方をする人々なのだろう。
まとめ
富野監督は「旅行」、移動の魅力を常に描いてきた。
「1stガンダム」「∀ガンダム」「キングゲイナー」etc。
特に「キングゲイナー」ではエクソダスとして
移動することが世界を変える物語を描いた点で、
富野監督がずっと描いたテーマをより突き詰めた作品だった。
「Gレコ」も旅行して、世界を見て、自分達の世界を変えていく作品なのだろう。
「Gのレコンギスタ」も1話から振り返るとベルリが、
キャピタル(1~3話)からキャピタル外に出て(4・5話)、宇宙に行き(6話)、
また地上に移り(7・8話)、キャピタルに戻り(9・10話)、また宇宙に出て(11話)
サンクドポルドに行く(12・13話)という「旅行」をしている。
そんなベルリの次の目的地は「トワサンガ」というのがわかった13話だった。
1クール目の終わりで、より本作の方向性が明確になった展開だった。
最後に富野監督が本作発表時に出したコメントを掲載する。
「元気のGだ!! ロボットアニメで目指すんだ!! Gのレコンギスタ!! ベルリとアイーダの冒険はすごいぞ」
この作品は最初から「冒険もの」だったことがわかるコメントである。
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