はじめに
埼玉県熊谷市の八木橋百貨店で開催されていた
『大塚康生のおもちゃ箱展』に行ってきた。
大塚康生さんは東映動画出身。宮崎駿・高畑勲らの兄貴分的存在でもあり
前職が麻薬取締官という異色の経歴を持つアニメーター。
東映動画在籍時代には、月岡貞夫・宮崎駿・芝山努らを
テレコム在籍時代には、貞本義行・田中達之らを指導するなど
多くの後進の育成にも携わった。
また富野監督が虫プロで制作進行をしていた時に大塚さんと出会い、
大塚さんの動かし方を見て感銘し、アニメの面白さを知ったというエピソードもある。
まさにアニメ界の生き字引的存在の一人だ。
コミカルかつダイナミックなアクション、
何よりジープマニアで知られ、車を描かせたら天下一品。
特にルパン三世のフィアット500は有名な仕事の一つだろう。
大塚さんの車体の傾かせ方は、本当に気持ちが良い見せ方をしてくれる。
会場の展示物
さて、会場には以下のものが展示されていた。
・ルパン三世の版権イラストおよびラフスケッチ
・ルパン三世テレビスペシャル「ルパン暗殺指令」未使用キャラクター表
・著書「作画汗まみれ」の原図
・「侍ジャイアンツ」のキャラクターデザイン表
・漫画「ある雨の日の午後」の原稿
・HP「峠の茶屋」用イラストおよびラフスケッチ
・アニメの企画用のコンテ
感想
一番驚いたのが「侍ジャイアンツ」のキャラクターデザイン表。
これが見られるとは思ってもいなかった。
ちなみにキャラ表には王貞治もいるのだが、
キャラの脇に「もう少し似せます」と書いてあるのが面白かった。
またアニメの企画用のコンテについては、
海に住む動物のアクションをメインにしたコンテだった。
タイトルは「GON」というものらしい。
コンテ用紙にテレコムと書かれていたので、
テレコム在籍時代の企画だと推察される。
他にもなかなか見られないものばかりであり、
何より大塚さんの直筆の線が見られたのが嬉しかった。
大塚さんの絵/線の魅力は、キャラクターの喜怒哀楽をハッキリ表していて
何より見ていて人を楽しい気分にさせ、
同業者の証言通りの朗らかな大塚さんの人となりが絵ににじみ出ていた。
また上記でも書いたが、展示物の端々に描かれていた車が本当にうまい。
あの車の美しさを一番引き立たせる曲線はなかなか描けない。
終わりに
展示物を書籍化したものを購入。自費出版ぽかったので今後手に入りづらいかも。
また会場には来場者用のノートが用意され、
そこには宮崎駿・高畑勲研究の第一人者である叶精二さんのコメントも書かれていた。
最後に。上手い人の絵は生で見るとやはりいいなぁというのを感じた。
そして改めて大塚さんの功績と、大塚さんの仕事(特にルパン三世や未来少年コナン)が
好きなことを再確認できた面もあり、大塚さんのような偉大な先人がいたからこそ、
今の日本のアニメがあることも感じさせられた展示会だった。
開催は明日6日の夕方5時まで。
- 関連記事
-