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「それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくとき」を見る 

感想

これは面白かったですねぇ。


それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくとき [DVD]それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくとき [DVD]
(2003/06/25)
戸田恵子、中尾隆聖 他

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アンパンマンってパン工場と町とバイキンマンの根城で応戦している
イメージが強かったのですが、本作は宇宙に飛び出すし
色んな星が出てきては横断するような展開になるしと
とにかくスケール感が抜群で、グイグイ展開に引っ張られる感じでした。

そのスケール感をきちんと表現しているのが、巧妙なカメラワーク。
アオリと俯瞰のショットを交互に織り交ぜたり、
斜めに傾けたレイアウトを採用して、緊張感や臨場感を大いに感じさせてくれます。

キャラクターも魅力的です。
特にゲストヒロインの雛形あきこ演じるキララ姫は
自分の感情に振り回されながらも、勇気がちょっぴり足りません。
お姫様なのでワガママで思いやりにちょっと欠けていて、でも純情で。
でもアンパンマンと出会ったことで、少しづつ彼女自身の新しい何か、勇気を発見する。
このキララ姫の心の変遷が本作の最大の見所です。

そんな彼女は雨が降って来て、雨宿りをするために入った洞窟の中で
アンパンマンに告白をするのですが、洞窟の中=裂け目は
物語的に子宮のメタファーとしても使われますが
そんな場所でアンパンマンに告白をしたキララ姫の描写を見て
本作はアダルティックな面もある作品だと確信しましたし、傑作の予感もここでしました。

キララ姫はアンパンマンは自分だけが好きだと思っていたようですが
実はアンパンマンはみんなが好きと知り、
好き≠恋愛的好き、では無い事に傷つき、
彼女はアンパンマンの力の源である勇気の花のエキスを割ってしまう。

この後、例のごとくアンパンマンは一回はバイキンマンにやられます。
そして新しい顔にチェンジしますが、力の源である勇気の花のエキスがないまま作った
アンパンマンの顔では勇気が出ません。
そして強いバイキンマンの攻撃に、勇気が出ないと臆病になってしまいます。

なんとここでアンパンマンのアイディンティティの崩壊。
ヒーローとして、アンパンマンとしての意義が問われる展開。
なんという自己言及的な内容に、驚きました。
最後はゲストヒロインのキララ姫の勇気によってアンパンマンは救われ
めでたし、めでたしで終わります。

という感じでおおよそ56分間の映画は終わります。
56分でぎっしり詰まっているので、とても見やすくかつ面白いです。

最後に。
本作ではとりかへばや物語的なモチーフ、つまりキャラの入れ替わり展開があります。
そんな本作が公開されたのは1999年。同じくとりかへばや物語のモチーフが
使われた∀ガンダムも同じ年に放映されました。
なんだかガンダムとアンパンマンと接点がない作品でも
何かしらの縁を感じてしまいますね。
 
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