前日譚でありながら
壮大なスケールで紡がれた物語。
それがFate/Zeroでした。
全てが終わった衛宮切嗣。
彼の正義の味方になりたいという想いは
衛宮士郎に引き継がれます。
想いの継承という点では
同じ虚淵さんのまどか☆マギカにおいて
まどかからほむらへ託された事を考えると
虚淵さんのテーマは「継承」にあるのかもしれません。
感想
最終回は聖杯を壊す決断を行ったキリツグさんの顛末が描かれます。
キリツグさんは少を捨て、大を取るという生き方を
父親殺しを皮切りにしてきました。全ては世界を平和にする為。
でも、聖杯は自分の願いを叶えてくれるモノではなかった。
だから壊すのですが、壊した後に起こったのは街の崩壊。
あれほど、大きな犠牲だけは出さないように
冷徹に効率的に合理的に振る舞ってきたキリツグさんにとって
多大な範囲で壊された街並というのは、
まさに彼の「小を捨て大を取る」生き方の崩壊とのシンクロとも言えるでしょう。
ここでキリツグさんの価値観は崩壊してしまった。
でも、ここで一人の少年を助けます。stay/nightの主人公、士郎です。
ここで彼を助ける時にキリツグさんは泣いていましたが
状況的に士郎が助けられて喜んだキリツグさんは
今までとは逆の生き方「大を捨て、小を取る」行為だったともいえます。
穏やかな正義の味方を目指した男の最期。
一人の人間が築き上げてきた価値観の崩壊と、
その人間に助けられて関わってしまった少年への継承の物語。
それがFate/Zeroという作品なのでしょう。
士郎がキリツグさんの想いを引き継ぐことで
セイバーにも光明が差すのです。
シリーズ全体のまとめ
私がこの作品を観る動機は
①原作を読んでいなかったのでアニメで内容を知りたかった
②あおきえいさんが監督だったから
という2点に集約されます。
他にもufotableの制作はどこまで頑張れるのかとか
セイバーはカワイイとか色々理由がありますが、置いておきます。
①に関しては大筋の事がわかったので、満足でした。
stay/nightの世界とはちょっと違う、
各キャラクター達の報われなさが全面に出ていた作品という印象です。
そんな過酷な状況の中で、マスター・サーヴァント達は戦い生き抜く。
報われないのが人生だろうといわんばかりに、それでも戦う。
そんな彼らの生き様を通して、何かを語りたいというのが
この作品のありようなのでしょう。
次に②に関して。
あおきさんの空の境界の第1章が好きだったので、
あおきさんが型月作品を手がけると聞いた時は嬉しかったです。
そして実際に観て感じたのは、
あおきさんはこのシリーズを上手くまとめ上げて仕立て上げることに
全力を注いでいた感じがします。
それは原作をどう調理するかという話でもありますが、
ファンの期待を裏切らないように、慎重に橋を渡るような感じで作ったともいえるでしょう。
演出的には、特に撮影的な部分で実験的な事をやりたかったのでしょう。
とにかく画面の映り方に関して、色々取り組みたかった感じを受けました。
バーサーカーの鎧やセイバーの見えない剣、画面のエフェクトetc。
そしてまず物語を効率よく伝える為に、
ファンに向けて、物語を丁寧に語っていこうというスタンス。
これは原作の知名度と支持度の高さの問題もあるのでしょう。
あおき監督は、喰霊でも放浪息子でも
結構、原作の構成を変えてしまうわけですが
(喰霊なんて前日譚になったし…。あっZeroも前日譚だ)
Zeroは先ほど挙げた2作とは違い、
全てではないですが忠実に再現しようとしたように見えます。
個人的に好きなのは1話の3人がグルグル回って語る所。
あおきさんの真骨頂だなぁと思って見てました。
最終回でいえば、このロングショットが秀逸でした。
ただ、原作への期待が高い作品だけに
あおきさんもその期待に押しつぶされないように
サーヴァントのように戦っていたのではないでしょうか。
最後に
毎週毎週楽しみに見ていました。
原作の面白さがきちんと伝わってきた作品だったと思います。
これは原作もきちんと読んでおかねばと思わせるぐらいでした。
セイバーは可愛かった。
ウェイバーとイスカンダルのやり取りを見るのは楽しかった。
間藤のお爺ちゃんが好きだった。
ギルガメッシュの裸は最高に美しかった。
凜が綺礼から自分の父を刺した剣をもらう描写は、残酷だった。
桜が地に墜ちた心情を表す描写も、過酷だった。
タイプムーンといえば月。
制作のufotableもまたこれで1つ大きな足跡を残したと思います。
ufoも2クールのアニメは初めてだったようで
色々大変だったのではと推察してしまいます。
あおきえい監督、スタッフの皆様、ありがとうございました。
- 関連記事
-
感想
最終回は聖杯を壊す決断を行ったキリツグさんの顛末が描かれます。
キリツグさんは少を捨て、大を取るという生き方を
父親殺しを皮切りにしてきました。全ては世界を平和にする為。
でも、聖杯は自分の願いを叶えてくれるモノではなかった。
だから壊すのですが、壊した後に起こったのは街の崩壊。
あれほど、大きな犠牲だけは出さないように
冷徹に効率的に合理的に振る舞ってきたキリツグさんにとって
多大な範囲で壊された街並というのは、
まさに彼の「小を捨て大を取る」生き方の崩壊とのシンクロとも言えるでしょう。
ここでキリツグさんの価値観は崩壊してしまった。
でも、ここで一人の少年を助けます。stay/nightの主人公、士郎です。
ここで彼を助ける時にキリツグさんは泣いていましたが
状況的に士郎が助けられて喜んだキリツグさんは
今までとは逆の生き方「大を捨て、小を取る」行為だったともいえます。
穏やかな正義の味方を目指した男の最期。
一人の人間が築き上げてきた価値観の崩壊と、
その人間に助けられて関わってしまった少年への継承の物語。
それがFate/Zeroという作品なのでしょう。
士郎がキリツグさんの想いを引き継ぐことで
セイバーにも光明が差すのです。
シリーズ全体のまとめ
私がこの作品を観る動機は
①原作を読んでいなかったのでアニメで内容を知りたかった
②あおきえいさんが監督だったから
という2点に集約されます。
他にもufotableの制作はどこまで頑張れるのかとか
セイバーはカワイイとか色々理由がありますが、置いておきます。
①に関しては大筋の事がわかったので、満足でした。
stay/nightの世界とはちょっと違う、
各キャラクター達の報われなさが全面に出ていた作品という印象です。
そんな過酷な状況の中で、マスター・サーヴァント達は戦い生き抜く。
報われないのが人生だろうといわんばかりに、それでも戦う。
そんな彼らの生き様を通して、何かを語りたいというのが
この作品のありようなのでしょう。
次に②に関して。
あおきさんの空の境界の第1章が好きだったので、
あおきさんが型月作品を手がけると聞いた時は嬉しかったです。
そして実際に観て感じたのは、
あおきさんはこのシリーズを上手くまとめ上げて仕立て上げることに
全力を注いでいた感じがします。
それは原作をどう調理するかという話でもありますが、
ファンの期待を裏切らないように、慎重に橋を渡るような感じで作ったともいえるでしょう。
演出的には、特に撮影的な部分で実験的な事をやりたかったのでしょう。
とにかく画面の映り方に関して、色々取り組みたかった感じを受けました。
バーサーカーの鎧やセイバーの見えない剣、画面のエフェクトetc。
そしてまず物語を効率よく伝える為に、
ファンに向けて、物語を丁寧に語っていこうというスタンス。
これは原作の知名度と支持度の高さの問題もあるのでしょう。
あおき監督は、喰霊でも放浪息子でも
結構、原作の構成を変えてしまうわけですが
(喰霊なんて前日譚になったし…。あっZeroも前日譚だ)
Zeroは先ほど挙げた2作とは違い、
全てではないですが忠実に再現しようとしたように見えます。
個人的に好きなのは1話の3人がグルグル回って語る所。
あおきさんの真骨頂だなぁと思って見てました。
最終回でいえば、このロングショットが秀逸でした。
ただ、原作への期待が高い作品だけに
あおきさんもその期待に押しつぶされないように
サーヴァントのように戦っていたのではないでしょうか。
最後に
毎週毎週楽しみに見ていました。
原作の面白さがきちんと伝わってきた作品だったと思います。
これは原作もきちんと読んでおかねばと思わせるぐらいでした。
セイバーは可愛かった。
ウェイバーとイスカンダルのやり取りを見るのは楽しかった。
間藤のお爺ちゃんが好きだった。
ギルガメッシュの裸は最高に美しかった。
凜が綺礼から自分の父を刺した剣をもらう描写は、残酷だった。
桜が地に墜ちた心情を表す描写も、過酷だった。
タイプムーンといえば月。
制作のufotableもまたこれで1つ大きな足跡を残したと思います。
ufoも2クールのアニメは初めてだったようで
色々大変だったのではと推察してしまいます。
あおきえい監督、スタッフの皆様、ありがとうございました。
- 関連記事
-