■ FWジョーの推定年俸は3億5,000万円今オフのJリーグの移籍に関するニュースで大きな話題になったのは
DF 内田篤人 (ウニオン・ベルリン→鹿島アントラーズ)
MF 齋藤学 (横浜Fマリノス→川崎フロンターレ)
FW ジョー (コリンチャンス→名古屋グランパス)
の3件である。DF内田篤の移籍は好意的に考えられており、MF齋藤学の移籍は否定的な意見が多くなっており、FWジョーの移籍に関しては動いたマネーの巨額さが多くの人を驚かせたがFWジョーの推定年俸は3億5,000万円と言われている。これは2018年にJリーグでプレーする全選手の中で2番目に高い年俸と考えられる。言うまでもなく、1番の高給取りは元ドイツ代表のFWポドルスキ(神戸)で6億円となる。
2014年と2015年にC大阪でプレーした元ウルグアイ代表のFWフォルランの推定年俸に関しては諸説ある。6億円という報道もあったが2014年の日刊スポーツの選手名鑑を見ると3.45億円と記載されている。中途半端な数字になっているのは(ドルなのか?それ以外なのは?は定かではないが)当時のレートが関係していると推測できる。この通りの数字だと仮定するとFWジョーの方がわずかに上回っている。
■ 「DAZN効果は絶大」と言うしかない。絶頂期のFW三浦知(当時:ヴェルディ川崎)でも3億円には達していないと思われるのでJリーグの25年の歴史の中で年俸が3億円を超えたのはFWポドルスキとFWジョーとFWフォルランの3人だけと考えられる。つまり、6億円のFWポドルスキが歴代1位で、3.5億のFWジョーが歴代2位で、3.45億円のFWフォルランが歴代3番目の年俸と言うことが出来る。この3人が様々な面で比較されやすいのは当然の話である。
表1は2002年~2018年までの17年間の「J1全体の総年俸」を示している。J1のクラブ数は2003年までは16クラブで、2004年からはずっと18クラブになる。2002年の総年俸は85億9,920万円。クラブ平均は5億3,745万円で、選手平均は1,751万円だった。2005年に初めて総年俸が100億円を突破したが以降は停滞した。2016年までは105億円前後をウロウロしているが2017年に130億0,740万円とスパークした。
2018年は154億5,710万円。2016年と比較すると約43億円もアップした。当然、FWポドルスキとFWジョーが数字を大きく引き上げているのは間違いないがこの2人を除外したとしても33.5億円のアップである。最大の理由は言うまでもなくDAZN効果であるが各クラブの収益は震災後の2012年や2013年あたりから大きく伸びており、各クラブが発展途上だったところにいい具合にDAZNマネーが飛び込んできた。
表1. J1の総年俸の推移 (2002年-2018年)
年度 | クラブ数(J1) | 人数 | 総年俸(万円) | クラブ平均(万円) | 選手平均(万円) |
2002年 | 16 | 491 | 859,920 | 53,745 | 1,751 |
2003年 | 16 | 470 | 879,330 | 54,958 | 1,871 |
2004年 | 18 | 475 | 921,870 | 51,215 | 1,941 |
2005年 | 18 | 562 | 1,103,150 | 61,286 | 1,963 |
2006年 | 18 | 566 | 1,066,430 | 59,246 | 1,884 |
2007年 | 18 | 559 | 1,024,280 | 56,904 | 1,832 |
2008年 | 18 | 551 | 1,022,940 | 56,830 | 1,857 |
2009年 | 18 | 544 | 1,135,870 | 63,104 | 2,088 |
2010年 | 18 | 519 | 1,097,340 | 60,963 | 2,114 |
2011年 | 18 | 512 | 1,020,700 | 56,706 | 1,994 |
2012年 | 18 | 509 | 1,044,410 | 58,023 | 2,052 |
2013年 | 18 | 521 | 1,008,570 | 56,032 | 1,936 |
2014年 | 18 | 499 | 1,110,130 | 61,674 | 2,225 |
2015年 | 18 | 508 | 1,023,140 | 56,841 | 2,014 |
2016年 | 18 | 542 | 1,124,230 | 62,457 | 2,074 |
2017年 | 18 | 551 | 1,300,740 | 72,263 | 2,361 |
2018年 | 18 | 560 | 1,545,710 | 85,873 | 2,760 |
■ プロ野球選手の年俸はJリーガーの約2倍だったが・・・。平均年俸に着目すると2002年は1,751万円だった。この数字は年々上がっていたが「1,900万円前後」という時期がずっと続いていた。2年前の2016年でさえ、2,074万円なので大きな変化はなかったが2017年は2,361万円、2018年は2,760万円とジャンプアップした。J1でプレーする選手の数はそこまで変わらないので、当然のことながら、総年俸が大幅にアップすると選手の平均年俸も比例して大幅にアップする。
注目したいのはプロ野球(NPB)との比較である。表2は2002年-2018年までのプロ野球選手とJリーガーの平均年俸を比較したものである。プロ野球選手はここでは「セパ12球団に支配下登録されている日本人選手」を意味する。年俸に関する詳細な数字は日本プロ野球機構から発表されているが外国人選手や育成選手の年俸は除外されて発表される仕組みになっている。また、JリーガーはここではJ1の選手に限定する。
表2のとおり、プロ野球選手の平均年俸はあまり変わらず。3,800万円前後である。2018年の数字はまだ公表されていないがオフの契約更改に関するニュースを見聞きする限り、大きな変化はなさそうだ。プロ野球選手が3,800万円前後で、Jリーガーが1,900万円前後なので約2倍になる。この時期がずっと続いていたので「プロ野球は高給取り、Jリーガーは薄給」というイメージが定着しているのは当然である。
表2. 平均年俸の比較 (NPBとJ1)
平均年俸の比較 (2002年-2018年) |
年度 | 差 | 差 (万円) | NPB(万円) | J1(万円) |
2002年 | 197.3% | 1,704 | 3,455 | 1,751 |
2003年 | 187.7% | 1,641 | 3,512 | 1,871 |
2004年 | 196.1% | 1,864 | 3,805 | 1,941 |
2005年 | 190.7% | 1,780 | 3,743 | 1,963 |
2006年 | 199.1% | 1,867 | 3,751 | 1,884 |
2007年 | 193.9% | 1,721 | 3,553 | 1,832 |
2008年 | 195.6% | 1,774 | 3,631 | 1,857 |
2009年 | 181.7% | 1,705 | 3,793 | 2,088 |
2010年 | 181.1% | 1,716 | 3,830 | 2,114 |
2011年 | 197.2% | 1,937 | 3,931 | 1,994 |
2012年 | 186.0% | 1,764 | 3,816 | 2,052 |
2013年 | 192.8% | 1,797 | 3,733 | 1,936 |
2014年 | 165.3% | 1,453 | 3,678 | 2,225 |
2015年 | 189.2% | 1,797 | 3,811 | 2,014 |
2016年 | 179.0% | 1,638 | 3,712 | 2,074 |
2017年 | 162.1% | 1,465 | 3,826 | 2,361 |
2018年 | 138.6%(仮) | 1,066(仮) | 3,826(仮) | 2,760 |
■ Jリーガーの平均年俸が上になる可能性「プロ野球選手は稼げるがJリーガーは稼げない。」というのは大多数の日本人の認識と考えられるが、先のとおり、DAZN効果でJリーガーの平均年俸はここ2年間で激増している。もちろん、FWポドルスキやFWジョーといった有名外国人助っ人の年俸が平均値を大きく引き上げている確かであるが1部のスーパースターの高額な年俸が平均値を爆上げしているのはプロ野球など他のメジャースポーツも同様である。
DAZNになって2018年が2年目のシーズンになるがJリーグとDAZNは「10年で2,100億円」という長期契約を結んでおり、DAZN時代は始まったばかりである。あくまでも推定の数字である総年俸とは違って正式な数字となる各クラブの経営に関する収支報告書を見てもJリーグにお金が集まりつつあるのは明らかである。何をするにもお金がないと始まらないのが現代社会である。Jリーグはいい流れになりつつある。
「プロ野球選手は高給取り。Jリーガーは薄給。なので生まれたばかりの息子にはプロ野球選手になってほしいなあ・・・。」と漠然と考えている人は少なくないと思うが生まれたばかりの息子が18才や22才になる頃には「Jリーガー(J1)の平均年俸」が「プロ野球選手(NPBの日本人選手)の平均年俸」を上回っている可能性は決して低くない。DAZNの参入をきっかけにJリーグはいい具合に成長・拡大しつつある。
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