■ スポーツ番組としては今年3番目の高視聴率今年のクラブW杯は開催国王者として出場した鹿島アントラーズが主役になった。次々に大陸王者を下してアジア勢初となる決勝進出を果たすと決勝のレアル・マドリー戦も大健闘。FWクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックの活躍を見せた一方でMF柴崎岳が2ゴールの活躍。白熱した展開になったこともあって夢のカードが実現した決勝戦の視聴率は平均で26.8%を記録したとメディアで報じられている。
この数字は2016年のスポーツ界では1位の箱根駅伝・往路(=28.0%)、2位の箱根駅伝・復路(=27.8%)に次ぐ3番目。プロ野球(NPB)の日本シリーズの第6戦の広島 vs 日本ハムの25.1%を上回った。大きな話題になった真田丸の最終回(=50回)とバッティングした影響は小さくなかったと思うので条件的にはそこまで良くない中での26.8%は驚異的。最近の日本代表の試合の視聴率を大幅に上回ったことになる。
いきなり前半9分に先制ゴールを許したときは「早い時間帯の失点は視聴率的には結構なマイナス」と思ったが、前半44分と後半7分にMF柴崎岳が連続ゴールを決めて逆転に成功した。他のチャンネルを観ていた人でも裏の番組がCMに入ったタイミングでチャンネルを合わせて1対1のスコアや2対1のスコアや2対2のスコアであることを知るとこの先の展開が気になる。TV離れが指摘される中での26.8%は見事である。
■ クラブW杯史上最高の視聴率RマドリーならびにFWクリスティアーノ・ロナウドというブランド力の効果は極めて大きかったと思うが、「代表戦は一定以上の視聴率を獲得できるが、クラブチームの試合は高視聴率を期待しにくい。」と言われる日本のサッカー界においてかなりの自信になる数字である。Jクラブ絡みの試合では(おそらく)1993年のV川崎 vs 横浜M(=32.4%)、1993年の清水 vs V川崎(=30.8%)に次ぐ史上3番目だと思われる。
人気番組であり、安定した視聴率を稼ぐ「ザ!鉄腕!DASH!」(日曜・後7時)と「世界の果てまでイッテ Q!」(同・後7時58分)をお休みにしてまでサッカー中継を選択した日本テレビにとっても26.8%という数字は満足できるだろう。何だかんだで一般の人たちにサッカーの魅力を手っ取り早くアピールできるのは「地上波での生中継」である。アピールの大きなチャンスを最大限に生かした鹿島はさすがと言える。
この試合で解説を務めたのは都並敏史さん、城彰二さん、北澤豪さんの3人で、ゲスト解説を務めたのは岡田武史さん。実況は田邊研一郎さんだったが大きな違和感はなかった。『日テレのサッカー中継は民放の中では最低クラス』と言われることが多いが実況の田邊研一郎さんは高校時代はジェフ市原ユースで過ごした元サッカー少年。日テレのスポーツ実況陣の中では数少ない好感度の高いアナウンサーである。
■ 冬の時代からワールドサッカーに興味を持っていた人にはありがちな話城彰二さんの登場機会が少なかったことも大きなストレスを抱えることなく試合を観ることが理由と言えるが、スペシャルサポーターとして登場した明石家さんまさんに対しては批判の声が多い。「まあ(鹿島が)がんばってくれて、きれいに着地ができたような気持ちでホッとしてます。もし鹿島が2-1で勝っていたら、高速道路でいろいろなことを考えてしまいそうやった。」とコメントしたことを問題視する人は多い。
明石家さんまさんはトヨタカップ時代からほぼ毎年ゲストとして番組に呼ばれているが90年代の後半あたりはむしろ試合中もゲストとして放送席に座ってあれこれとコメントを発していた記憶があるので「昔と比べるとかなりマシな状況になった。」と言えるが、典型的な欧州至上主義のサッカーファンであり、Jリーグのクラブを含めた他地域のクラブや選手に対するリスペクトの気持ちはほとんど感じられない。
もちろん、「日本人だから鹿島を応援すべきである。」とは思わないし、Rマドリーを応援する人がいること自体は全く問題はない。あれだけのチームである。熱狂的なファンは日本にもたくさんいる。どちらかというと「日本国民ならば鹿島を応援すべき。」と言う人の方にめんどくささを感じるので明石家さんまさんがRマドリーに肩入れすること自体は全く問題ないと思うが、1つ1つのコメントに大人げなさを感じる。
お笑い番組等で司会を務めている明石家さんまさんは特に嫌いではない。むしろ、かなり好きな部類であるが、サッカー中継、特にトヨタカップやクラブW杯でゲストとして登場するときの明石家さんまさんはあまり好きではない。お笑いの世界で頂点に立ち続けている人なので「今、何を言ったらだめなのか?」の判断は誰よりも的確であるはず。なのに、イチイチ、トゲのある発言をするのは理解に苦しむところである。
日本サッカー界が冬の時代だった70年代や80年代からワールドサッカーに関心を抱いてきた人にありがちな話ではあるが、「W杯やCLやクラブW杯やトヨタカップといった雲の上の戦いに日本人選手や日本のクラブが関わってほしくない。」と考える人は実は少なくない。(サッカーファンとしては)典型的な老害になるが、お笑い芸人としての明石家さんまさんが好きだからこそ、そういう姿を公の場では見せてほしくない。
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