■ J2の第7節J2の第7節。3勝1敗2分けで勝ち点「11」の清水エスパルスがホームのIAIスタジアム日本平で首位のセレッソ大阪と対戦した。C大阪は5勝1分けで勝ち点「16」。開幕から6試合負けなしが続いている。清水とC大阪の2チームは開幕前から「自動昇格の有力候補」と言われていたが両チームの差は「5」。清水は敗れると大きく引き離されてしまうので負けることは許されない。対してC大阪はちょっと余裕のある状況である。
ホームの清水は「4-2-2-2」。GK西部。DF鎌田、ビョン・ジュンボン、三浦弦、福村。MF六平、竹内涼、村田和、河井。FW大前、ミッチェル・デューク。6節の熊本戦(A)でFW大前の先制ゴールをアシストしたMF村田和が今シーズン初スタメンとなった。2011年と2012年はC大阪でプレーしたので古巣対決となる。正キーパーのGK西部が怪我をして全治6週間と診断されているので第2キーパーのGK杉山力が初スタメンとなった。
対するアウェイのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF松田陸、田中裕、山下、丸橋。MFソウザ、山村和、杉本健、柿谷、ブルーノ・メネゲウ。FWリカルド・サントス。大熊監督は開幕からほぼ同じスタメン11人をチョイスしているが怪我で欠場中のDF茂庭に代わってこの日もDF田中裕がCBで起用された。MF柿谷はここまで6試合で2ゴール。新加入のボランチのMFソウザは6節の千葉戦(H)は2ゴールの大活躍だった。
■ 序盤戦の大一番を制したのはアウェイのセレッソ大阪J2の序盤の大一番はホームの清水ペースで進んでいく。5節の山形戦(A)からFWミッチェル・デュークを最前線で起用しているが持ち前の推進力と高さを生かした攻撃でチャンスに絡んでいく。対するC大阪はつなぎの部分で苦労してFWリカルド・サントスをターゲットにしたロングボールが中心となる。単調な攻撃に終始したので清水の両CBもしっかりと対応。ほとんど決定機を作れずに0対0でハーフタイムに突入する。
後半も引き続いて清水ペースだったが後半24分にC大阪はMF山村和の縦パスを受けたFWリカルド・サントスが左足でやや距離のあるところから決めてアウェイのC大阪が先制に成功する。さらに後半37分には相手のクリアボールが中途半端になったところを拾ってうまくコントロールしてシュートチャンスを作ったMF山村和のミドルシュートが鮮やかに決まって2点目を挙げる。MF山村和は1ゴール1アシストの大活躍だった。
結局、2対0でアウェイのC大阪が勝利した。シュート数はC大阪が5本、清水は8本。ともになかなか決定機を作れなかったが数少ないチャンスシーンをゴールに結びつけたC大阪が勝利した。C大阪は開幕から7試合負けなし。6勝1分けで首位をキープした。5連勝中で2位の町田との差は「3」のまま。一方、敗れた清水は3勝2敗2分け。ホームでは0勝2敗2分けと結果が出ていない。7節終了時点でC大阪との差は「8」となった。
■ 独走しそうな雰囲気も出てきたセレッソ大阪「今シーズンのJ2の中で最大の注目カード」と言える大事な一戦を制したのはアウェイのC大阪だった。いつも通りでスムーズな攻撃はできなかったが今シーズンはとにかく中央の守備が堅い。清水は前半30分あたりまでは勢いがあったが徐々に動きが落ちていった。C大阪は6節が千葉戦(H)、7節が清水戦(A)。昇格のための最大の脅威になるだろう2チームとの連戦だったが何と2連勝。独走しそうな気配も出てきた。
これまでの5勝はいずれも1点差での勝利だったので「今シーズン初となる2点差での勝利」となったが、「手堅さ」がウリとなる大熊監督らしいチームになりつつある。偶発的にいいパスがMF柿谷あたりに入るとコンビネーションで崩すこともあるが、基本的には「個の力」で押し切るサッカーである。MF柿谷以外にも1人で何とかしてしまうパワーを持った選手が何人もいる点は今シーズンのC大阪の大きな強みと言える。
ようやくFWリカルド・サントスに初ゴールが生まれたが本人にとってもチームにとっても大きい。ロングボールの割合が高いので最前線には競り合いに強い選手が必要となる。FWリカルド・サントスとFW田代有とFW澤上の3人が今の時点では「1トップ候補」と言えるがここまではボールを失うシーンが多くて期待外れのプレーが続いていたが、初ゴールが生まれたことで肩の荷が下りたはず。リラックスしてプレーできるようになるはず。
■ ヒーローは何と言ってもMF山村和である。ボランチの競争も激しくてMF扇原やMF橋本英やMF秋山なども控えているが、大熊監督は開幕からMFソウザとMF山村和のWボランチを使い続けている。開幕の町田戦(A)のバランスはあり得ないほど悪かったが、試合を重ねるごとに関係が良くなっている。ともにサイズがあって空中戦に強いのも魅力。中央の守備が堅い理由の1つとしてのWボランチの存在を上げることができる。
オフに鹿島からC大阪に電撃移籍したが同ポジションにはMF扇原がいる。CBのポジションはレギュラーのDF染谷が抜けたので「MF山村和はCBのレギュラーとして起用されるだろう。」と思われていたのでボランチのレギュラーとして起用されているのはかなりの驚きだったがここまでの7試合で2ゴール2アシスト。彼の持ち味の1つではあるが積極的な飛び出しで攻撃に厚みを作っていてゴール前では決定的な仕事を披露している。
「CBとボランチの両方を高いレベルでこなせる。」という触れ込みで鳴り物入りで鹿島に加入。2013年には24試合で3ゴールを記録。元日本代表のDF岩政からCBのレギュラーを奪う活躍を見せたが魅力を感じるのはボランチの方。186センチとサイズがあるので、当然、CBの位置でも十分にチームに貢献できるが昨今は186センチのCBというのは珍しくない。186センチのボランチというのは相当に魅力がある。
ザックJAPANや関塚JAPANが活動している時期に「CBの人材が不足している。」と盛んに報じられたことが関係しているので『サイズのあるCB』は頻繁に出てくるようになったが逆に大型選手がCBに集中し過ぎて他のポジションで規格外のサイズのある選手がほとんどいなくなった。MF山村和は高さだけでなくパスの技術も高くてゴール前に飛び出していくセンスもある。
■ ホームで4試合勝ちなし・・・。C大阪との直接対決で敗れた清水は3勝2敗2分けとなった。アウェイでは3戦全勝。3試合とも完封勝利なので文句なしの結果を残しているがホームでは0勝2敗2分け。信じられないことに4試合を終えた時点でゴールなし。サポーターのフラストレーションはMax付近まで高まっている。アウェイで結果が出ているので最低限の成績をキープできているがこれだけホームで結果が出ないと観客動員の方にも大きく影響してくる。
この日も立ち上がりは良かった。FWミッチェル・デュークを中心に押し込んだが時間が経つにつれて勢いがなくなっていった。大榎監督がチームを指揮していた頃からそういう傾向があったが「試合の入り方はかなり良いがそこで先制点を奪うことができないと途端にパワーダウンする。」という試合が今シーズンも目立つ。試合の入り方のまずさを課題にしているチームは多いが清水は入れ込み過ぎている印象もある。
ターニングポイントの1つになったのは後半24分にFWミッチェル・デュークを下げてFW鄭大世を投入した交代策。直後にFWリカルド・サントスが生まれているので先制点を与えた場面での影響はほぼ無いと言えるが、攻撃においても守備においても効いていたFWミッチェル・デュークが下がったのはC大阪にとっては有り難かった。怪我明けのFW鄭大世はまだ状態が万全ではないようで本来のプレーはできなかった。
C大阪は6勝1分けで勝ち点「19」、清水は3勝2敗2分けで勝ち点「11」。早くも「8差」となった。C大阪が勝ち点を取りこぼすことは期待しにくい流れなので清水はホームアウェー問わず、勝ち点「3」を積み重ねていかないとC大阪の背中が見えなくなってしまう。この日は2失点ともDFビョン・ジュンボンのちょっとしたミスが失点につながったが経験値の少ない選手が中心となる最終ラインがポイントになりそうだ。
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