■ 3対0で勝利した柏U-18が2回戦進出試合は大方の予想通りに柏U-18が優勢となる。年代別代表に招集されるような選手が何人もいるタレント軍団の柏は左右両サイドからバランス良く攻撃を仕掛けてチャンスを作っていく。しかしながら、全員の守備意識が高くて、穴を作らなかった愛知FC U-18の守備を崩し切ることはできず。前半は柏U-18がボールをポゼッションする時間がほとんどだったが、ゴールは生まれずに0対0で終了する。
後半も同様の展開となる。0対0で進む限りは愛知FC U-18のペースと言えたが、後半12分に柏U-18のFW伊藤達哉がドリブルから右足でシュートを決めて先制に成功すると、後半28分には途中出場のMF山崎海秀が直接FKを鮮やかに決めて2点目を挙げる。柏U-18は後半42分にも前目のポジションを取っていたDF加藤颯人が決めて3対0と突き放す。結局、3対0で柏U-18が勝利して2回戦進出を決めた。
#2 試合前のアップの様子
#3 選手の入場
■ もっとも育成能力に長けたクラブの1つ柏の下部組織は過去に数えきれないほど多くの優秀な選手をトップチームに送り出している。近年ではザックジャパンに招集された経験のあるFW工藤壮とDF酒井宏の2人が目立っているが、ほぼ毎年、優秀な選手がトップチームに昇格してくる。DF近藤直やMF大谷など長きに渡ってトップチームで活躍する選手も多くて、もっとも育成能力に長けたJリーグのクラブの1つであることに疑いの余地はない。
今年のチームもタレントは豊富である。すでにJ1の試合を経験している3年生のFW大島康は出場しなかったが、FW会津など年代別代表で日の丸を着けた経験のある選手はたくさんいる。2014年になってU-16やU-17やU-18の日本代表に招集された選手は全部で10人ほどいて、下の学年の選手になると年代別代表クラスであってもベンチ外となる可能性も普通にあり得るほどである。
個人的にもっとも注目していたFW会津は今一つだった。ボールを持ったときは巧さを披露したが、決定機に顔を出す回数は少なかった。あまり目立たなかったと言えるが、FW会津の近くでプレーすることが多かった左SBのDF古賀太陽のプレーは興味深いものがあった。1998年10月28日生まれで高校1年生となるが、180センチで68キロとサイズがあって、スケール感のある大型の左SBである。
CBのDF中山雄太も印象に残った。左足を得意としており、相当にキックに自信を持っているのだろう。正確なフィードが光った。登録は179センチで73キロとなっており、「(大学やプロなど)次のレベルでもCBとしてプレーするには少し小さい。」と言えるが、このあたりの年齢の選手は成長途中の選手もいる。「左足を得意とするフィードのできるCB」というのは希少価値が高いので、順調に伸びていってほしい。
#4 観客席へのあいさつ
■ ひたむきさが感動を呼んだ愛知FC U-18一方の愛知FCには年代別代表に招集されるような選手はいない。全国でも有数の実力を持っていると思われる柏U-18と比べるとほとんどのポジションで見劣りするのは否めない。柏U-18が相手を圧倒して「野球のようなスコア」になる可能性も試合前には考えていたが、前半は0対0で終えることができた。後半に3失点を喫したが、イレブンのひたむきなプレーというのは強く印象に残った。
高校野球の甲子園大会を観るときも同じような観方をしてしまうが、高校生のプレーを観るときは、「この選手はプロに入ってどの程度の活躍ができるのか?」、「過去の逸材たちと比べてどうなのか?」、「将来、日本代表に呼ばれるような選手になるのか?」という方向から選手を観てしまう癖があるが、高校野球にしても、高校サッカーにしても、楽しみ方というのはそれだけではない。
先に記述したひたむきさであったり、すがすがしさというのは大人になると失われてしまいがちなところであり、偶に観ると新鮮に感じる。結局、柏U-18のシュート数は19本だったのに対して愛知FC U-18は1本だけ。愛知FC U-18には決定機と呼べるようなシーンはなくて、大半の時間帯は柏U-18がボールを支配して攻め込んだが、愛知FC U-18の最後まであきらめない姿勢は心に響くものがあった。
愛知FC U-18では2人の選手が特に印象に残った。1人目はキーパーのGK中島寛太である。正確な数字は分からないが、ぱっと見た感じでは170センチそこそこである。小柄なキーパーであるが、シュートへの反応は鋭くて、なおかつ、元気いっぱいである。誰よりも大きな声を出してチームメイトを鼓舞し続けた。1998年7月9日生まれなので高校1年生。リーダーシップのある高校1年生である。
2人目はキャプテンマークを巻いて最後まで戦い続けたMF柴山遼である。試合の終盤には高い位置でプレーできるようになって、最後に1つ惜しいシーンを作った。序盤からボールを回される展開だったので、ボランチの選手にとってはキツイ試合だったと思うが、最後まで走り切ろうとする姿はなかなかに感動的だった。高校サッカーはこれで引退になると思うが、次のステージでの活躍も期待したい。
#5 ピッチに倒れこむ柴クン
#6 JR鶴ケ丘駅
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