■ 第14節J2の第14節。3勝8敗2分けで勝ち点「11」の町田ゼルビアが、ホームの町田市立でジェフ千葉と対戦した。千葉は7勝3敗3分けで勝ち点「24」。千葉は、北九州(A)、草津(A)、愛媛FC(H)に勝利して3連勝中で6位まで浮上してきた。この試合に勝つと、J2降格後は初めての4連勝達成となる。
ホームの町田は「4-2-2-2」。GK修行。DF藤田、田代、太田、津田。MFコリン・マーシャル、下田、庄司、鈴木崇。FW鈴木孝、平本。ロンドン五輪代表候補のDF薗田は怪我のため欠場中。セルビア出身のMFドラガン・ディミッチはベンチスタート。11節の横浜FC戦でハットトリックを記録したMF鈴木崇は、10試合で4ゴールを挙げている。
対するアウェーの千葉は「4-2-2-2」。GK岡本。DF大岩、竹内、山口、武田。MF伊藤、佐藤健、田中佑、兵働。FW藤田祥、深井。新加入のMFレジナルド、204センチのFWオーロイ、オーストラリア代表のDFミリガンはベンチスタートで、国産イレブンとなった。
■ ジェフが大勝!!!試合は前半3分にアウェーの千葉が先制する。高い位置で相手からボールを奪うと、MF田中佑がワンツーで抜け出してから見事なミドルシュートを決めて先制に成功する。出鼻をくじかれた町田だったが、その後は、落ち着いて試合を進めて、持ち前のパスサッカーを披露し、何度か決定機を作ってゴールを脅かす。しかしながら、決定力を欠いてゴールを奪えない。
すると、前半41分に劣勢だった千葉がFW深井の縦パスからFW藤田祥が得意の左足で豪快なミドルシュートを決めて2点目を挙げる。FW藤田祥は今シーズン4ゴール目となった。前半はホームの町田がポゼッションで上回って、押し気味に試合を進めたが、千葉が2対0とリードして折り返す。
後半開始から町田は、ルーキーのMF庄司を下げて、MFドラガン・ディミッチを投入。MFドラガン・ディミッチをトップ下に近い位置に入れて、反撃の意欲を見せるが、この交代で中盤の守備のバランスが崩れてしまって、後半は千葉のカウンターが面白いように決まる展開となる。
まず、後半14分にドリブルで相手守備陣を切り崩したFW深井がFW藤田祥のリターンパスを受けた後、3点目のゴールを挙げると、後半17分にもMF兵働の絶妙のスルーパスからMF田中佑が裏に抜け出すと、GKとの1対1を確実に決めて4点目を挙げる。
町田も後半24分にFW平本が決めて1点を返すが、千葉は後半30分にクイックリスタートからFW藤田祥が決めて5点目を挙げると、さらに、後半34分にも、MF深井のスルーパスを受けたMF田中佑が決めて6点目を挙げる。FW深井は1ゴール3アシスト、FW藤田祥は2ゴール1アシスト、MF田中佑はハットトリックの活躍となった。
結局、試合は6対1でアウェーの千葉が大勝して4連勝。苦手としているアウェーでも3連勝となった。一方の町田は、前半は千葉を上回る内容でゴール前のチャンスを作ったが、決定機に決められず。最終的にシュート数でも相手を上回ったが、ホームで大敗を喫した。
■ 田中佑昌 ハットトリックの活躍3連勝中だった千葉がゴールラッシュを見せて、大勝した。開始早々にMF田中佑のゴールで先制した後は、町田にボールをポゼッションされて、何度か決定機を作られた。町田の決定力の無さに助けられたところもあるが、「しっかり守ってカウンター」という形がハマって、後半はカウンターから簡単にチャンスを作った。
攻撃的なポジションの選手は、いずれもゴールに絡む活躍を見せたが、中でも、ハットトリックを記録したMF田中佑のパフォーマンスが光った。サイドハーフで起用されているが、積極的に中央まで入ってきて、ゴール前のチャンスにも絡んだ。圧倒的なスピードがあるので、スーパーサブの適性も高いが、2試合連続でスタメン出場してゴールを決めており、スタメン争いにも加わってきた。
今シーズンの千葉は、MF兵働、MF伊藤、MF佐藤健など、中盤にパス出しのできる選手が起用しているので、MF田中佑のようなダイナミックな動きができる選手がいると、かなり効果的で、攻撃のアクセントになる。フィニッシュの精度に課題を残す選手であるが、この日は、チャンスのときも落ち着いてプレーし、確実にネットを揺らした。
横浜FCから加入のFW藤田祥がフォワードの軸になっているが、流れのよくないときは、チャンスシーンがFW藤田祥に偏り過ぎてしまう傾向にある。そのため、FW藤田祥の出来が今一つで、チャンスに決められないときは、チームとしても結果を出すことができず、勝ち点を取りこぼしてきたが、2列目に入るMF田中佑が、これぐらいフィニッシュシーンに顔を出してくれると、得点パターンも増えるので、得点も伸びるはずである。
■ 決定機に決められず・・・一方の町田は、相手を上回る13本のシュートを放って、後半途中までは、決定機の数でも千葉を上回っていたが、チャンスに決められなかった。前半に千葉が挙げた2ゴールはともにファインゴールで、アンラッキーな側面もあったが、これだけチャンスを逃してしまうと、勝ち点を拾うのは難しい。1対6という大差で終わるほど、大きな力の差は無かったと思うので、悔いの残る試合となった。
2点ビハインドとなった後半開始から、MF庄司を下げて、MFドラガン・ディミッチを投入したことも裏目に出た。MFドラガン・ディミッチはフォワードに近い位置に入ったので、中盤の守備の人数が少なくなって、相手の裏への飛び出しに全く対応できなくなった。2点差を追いつくには、ギャンブルが必要となるが、この日は、アルディレス監督の交代策は失敗に終わった。
これで町田は勝ち点「11」のままで、20位となったが、辛抱して戦っていくしかない。「守ってカウンター」というスタイルではなくて、パスサッカーを志向しているが、相手にリードされて人数をかけて攻め込む必要性に迫られると、かなり不利で、この日のようにカウンターの餌食になってしまう。
勝利から遠ざかっていた4月下旬と比べると、本来のリズムのあるパスワークが見られるようになってきたが、ショートパスとロングパスをうまく使い分けて戦えるほど、チーム全体が成熟していないので、一旦、流れが悪くなると、さらに悪くなる方向に進んでしまう。ルーキーのMF庄司がJリーグの経験を積んで、的確なゲームをコントロールが出来るようになれば、チームは、一段、レベルアップするが、まだ、そこまでの力はない。しばらくは、耐える日々が続くのではないか。
関連エントリー 2007/09/08
本当に「決定力不足」なのか? 2008/04/13
【千葉×大宮】 きっと新居辰基が救世主になる!!! (生観戦記 #4) 2008/10/20
【千葉×東京V】 巻誠一郎という男 (生観戦記 #14) 2008/12/04
【鳥栖×仙台】 藤田祥史の左45度 2008/12/06
【千葉×FC東京】 奇跡のエンディング 2011/05/31
Jリーグの舞台で活躍する「マー君世代」の大卒ルーキーたち 2012/03/05
【愛媛FC×町田】 ゼルビアは黒星スタート・・・
- 関連記事
-