■ 再開2試合目再開初戦で名古屋グランパスに1対0で勝利したジェフ千葉と2対1で京都サンガに勝利した大宮アルディージャの対戦。現在、16位の千葉はこの試合で勝てば降格圏から抜け出すことが出来る。
ホームの千葉は<4-2-2-2>。GK岡本。DF和田、福元、ボスナー、坂本。MF下村、工藤、深井、谷澤。FW新居、巻。ケガ人続出でMFミシェウとMFアレックスがベンチ外。ベンチ入りメンバーはわずかに5人のみと苦しい状態。
アウェーの大宮も<4-2-2-2>。GK江角。DF塚本、冨田、マト、波戸。金澤、橋本、藤本、パク・ウォンジェ。FW石原、藤田。移籍報道のあったFWデニス・マルケスはベンチスタート。
■ 大宮が完勝試合開始早々、FW新居が裏のスペースを抜け出し決定的なチャンスを迎えるがシュートをふかしてします。序盤は千葉のペースで右のMF深井と左のMF谷澤がドリブルでチャンスメークする。
前半15分を過ぎるとアウェーの大宮に流れが移る。左MFパク・ウォンジェが起点になって好パスが前線に供給されるようになる。先制は前半36分。ペナルティエリア内でFW藤田がうまくボールを受けてFW石原にラストパス。FW石原のシュートはポストに当たるが、FW藤田がつめてゴール。
後半も大宮ペース。なかなか追加点は奪えなかったが、後半32分にクイックリスタートから再び、FW藤田が決めて2点目。FW藤田は通算で4ゴール目。
結局、ほとんど千葉にチャンスを作らせないまま、大宮が2対0で完勝。順位を9位まで引き上げた。
■ 連勝スタートナビスコカップで大量失点の試合が続いてチームが崩壊しかかっていた大宮であるが、京都戦に続いて勝利を飾って2連勝。上位進出も見えてくる好位置につけた。どん底の状態からの2連勝は非常に大きく、底の時期がナビスコカップに重なったのは幸運だった。
立ち上がりこそ、千葉に攻め込まれたが、その後は文句なしの内容で完勝。最後まで運動量は落ちず、千葉を圧倒した。
■ 出色の出来だった藤田祥史サガン鳥栖の先輩であるFW新居との対決が注目された大宮のFW藤田はこの試合2ゴールの活躍。ゴールシーン以外でも惜しいシュートが多く、また、ポスト役や前線からの守備でも多大な貢献を行い、まさしく出色の出来だった。
J2で最高のゴールゲッターとして期待を受けて大宮に加入したFW藤田はこれで4ゴール。まずまずの成績を残している。シュート本数が多いのが特徴で、シュート本数37本は柏レイソルのMF菅沼と並んでリーグ5位タイ。日本人では最多タイの数字である。
日本代表経験の豊富なFW巻との比較でいうと、FW巻ほどの絶対的な高さはないが、動きの量やプレーの幅の広さはFW巻をも上回る。この試合でのパファーマンスを見れば、日本代表に選出されても全く不思議ではない。
■ 左サイドのパク・ウォンジェ 大宮は左サイドMFパク・ウォンジェのプレーも見事だった。この日はサイドバックではなく、左サイドハーフに入って躍動。左サイドバックのDF波戸とのコンビネーションもよく、サイドでうまく2対1の形を作り、千葉のDF和田は全く対応できなかった。
左足から繰り出される正確なクロスも魅力で、一発で局面を変えられる怖さを備える。地味なタイプであるが、なかなか効果的な働きを見せる選手である。
■ 藤本主税の存在感攻撃陣はほとんどの選手が好パフォーマンスを見せた大宮であるが、右攻撃的MFのMF藤本のパフォーマンスも際立っていた。ドリブルとキープでしっかりとためを作り、運動量豊富に動いて積極的に前線に絡んだ。
2点目のFW藤田のゴールをアシストしたパスは判断と技術が最高で、惜しい弾丸シュートもあって、コンディションの良さを印象付けた。FWデニス・マルケスとFWラフリッチという二人の助っ人がいなくても、日本人と韓国人のMFパク・ウォンジェの構成だけでも、十分に攻撃力があることを証明した。
■ 完敗のジェフ千葉対する千葉は最悪の内容で0対2の敗戦。唯一、良かった点はポストやクロスバーが何度か大宮のシュートを阻んで大量失点を免れることが出来た点であり、内容的には0対5でもおかしくなかった。
MFミシェウとMFアレックスが怪我で戦列を離れたという不幸もあったが、さすがに7人のベンチ入りが許されるJ1で5人しかベンチ入りメンバーを用意できなかったことは大きな失態であり、フォワードの交代要員はおらず、攻撃的なカードはMF米倉だけだった。
■ ミラーゲームの行方この日の千葉と大宮は、システムは<4-2-2-2>。左右にサイドハーフを置き、前線にポストプレーヤーとセカンドストライカータイプの選手を配置。4バックの両サイドはそれほど頻繁に攻撃に参加せず、センターバックの1人が長身の左利きの外国籍選手。共通点が多く、「ミラーゲーム」と表現できるほど似通った布陣だったが、結果、大宮の完勝だった。
千葉にも日本代表クラスの選手がいて、選手のクオリティーという意味では両チームの間で大きな差はないが、プレーヤーとしての幅の広さでは大宮の選手が優っていて、集合体となった時に大きな差となって表れた。
前述のようにFW藤田は単なるポスト役にとどまらずに広範囲に動いて味方をサポートし、両サイドハーフのMF藤本とMFパク・ウォンジェも技術を見せながらも、献身的な姿勢でチームに貢献したが、千葉のイレブンはそうではなかった。
■ 下村東美の限界千葉はコンディションの問題もあったのか、全体的な運動量が乏しく攻撃が活性化しなかったが、それにしてもボランチのところでミスが多過ぎた。特に、MF下村の出来は最悪で、リスク管理を主に行うべき重要なポジションの選手が、あれだけ前や横へのパスミスを繰り返しては試合にならない。
ミスに色々あって、大きく分けると、「技術的なミスが原因で起こるパスミス」と「判断のミスが原因で起こるパスミス」に分ける事ができるが、この試合のMF下村はその両方のミスを繰り返した。もちろん、MF下村だけの責任とは言いきれず、MF下村がボールを持った時の周りの動きは極端に少なく、気の毒な面もあった。チームメートはMF下村を十分にサポートすることは出来ず、彼を孤立させた。
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