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Jリーグを彩った日本人&外国人のゴールキーパーたち | | |　

■　貴重な外国人GK

Jリーグの公式のホームページには、いろいろなデータが載っている。先日、「もっと、外国人GKが増えたらいいのにね・・・。」という話をしたが、「GKの防御率」のランキングを見ても、「外国人のGKは非常に少ない。」ということが分かる。

ランキングに登場するのは、「2,700分以上出場した選手が対象」となっているので、だいたい、リーグ戦で30試合くらいに出場した選手が対象になるが、その中で、外国人GKは、ヴァン・ズワム(磐田)、シジマール(清水)、ジルマール(C大阪)、キム・ジンヒョン(C大阪)の4人だけで、日本に帰化したディド・ハーフナーを含めても、5人と少数である。

今年になって、J2では、徳島ヴォルティスのGKオ・スンフンやコンサドーレ札幌のGK李昊乗がレギュラーとして頑張っているので、韓国人のGKは増えてきているが、それでも、相当に貴重な存在であることが分かる。

■　シジマールとジルマール

外国人GKで、印象的なのは、GKシジマール(清水)とGKジルマール(C大阪)の二人である。GKシジマールについては、改めて、ここで語る必要もないくらい語られてきているの触れないが、ブラジル代表で1994年のW杯の優勝メンバーだったGKジルマールも相当にレベルの高いGKだった。

GKジルマールがC大阪でプレーしたのは1995年から1997年までの3年間で、来日したとき、すでに36歳の大ベテランだったが、安定感は際立っていた。1995年というと、C大阪がJリーグに昇格して最初のシーズンで、今でこそ、C大阪は「攻撃的なサッカー」をうりにしているが、昇格してからの数年間は「守備」に特徴があるチームで、堅守を支えたのがGKジルマールだった。

防御率ランキングを見ると「44位」なので、思ったよりも数字は良くないが、存在感は抜群だった。当時は、延長戦とPK戦があったので、「PKで勝っても、90分以内で勝っても同じ」というレギュレーションで、GKの見せ場は多かった。

いつの試合だったか、横浜マリノスとセレッソ大阪の試合がPK戦に突入して、若き日のGK川口能活とGKジルマールがPKを止め合う、という壮絶な試合があったことを今でも覚えている。(※　調べてみると、1995年のことで、このときは、GKジルマールが3本、GK川口が4本のPKをストップしたという。)

■　防御率トップは？

それにしても、Jリーグで一定以上の試合に出場しているGKが、トータルでも75人だけというのは、かなり少ないように思う。ということで、Jリーグの歴代GKを語ろうとすると、この75人をカバーしておけば十分であるともいえるが、この中で、防御率のトップは、ヴァン・ズワム(磐田)となっている。「0.89」というのは驚異的である。

サッカーの場合の防御率は、野球の防御率とは違って、必ずしも、GKの実力だけによるものではないので、防御率の良し悪しで、実力を比べることはできないが、それでも、1点を切っているというのは見事である。「0.89」という防御率を誇っていても、「GKヴァン・ズワムは安定感に欠ける。」と言われていたので、このときのジュビロ磐田がどれだけ強かったかが分かる。

トップ10を見ると、GK飯倉、GK榎本哲、GK榎本達と、横浜Fマリノスの歴代のGKが3人もランクインしていることも目を引く。ここ10年ほど、横浜Fマリノスの守備が崩壊したシーズンは記憶にないので、レギュラークラスのGKが揃って上位に来ているのも納得である。GK飯倉は、現在進行形で堅守を続けているので、0点台に突入する可能性も十分にある。

■　GK楢崎とGK川口

次に、日本代表で活躍したGKを見ると、GK楢崎は「1.36」で26位タイ、GK川島とGK川口は全く同じ数字で、「1.38」で31位タイとなっている。GK楢崎については、出場時間と失点数は歴代最多である。去年、今年と怪我で戦列を離れるシーズンが続いているが、基本的には怪我の少ないGKである。

ほぼ同年代のGK川口は、イングランドやデンマークでプレーした時期があるので、その分、GK楢崎よりも通算記録の数字は少なくなるが、「川口・楢崎時代」がずっと続いて、90年代後半から二人が日本のGKの顔だった。二人は、プレースタイルが正反対だったことも、面白いところである。

■　最下位は？

ランキングの下の方を見ていくと、何となく「降格」という文字と重なってくる名前が並んでいる。降格チームで、孤軍奮闘したGKも多いが、「防御率」という数字で見ると、どうしてもランキングは「下」になってしまう。

その中で、最下位になっているのは、ヴェルディ川崎、ヴィッセル神戸、清水エスパルス、アルビレックス新潟でプレーしたGK前田信弘である。試合に出場したのは神戸時代で、1998年、1999年に出場経験があるが、32試合で78失点と、防御率はワースト1位になっている。「エッ？誰だ？」と思う人もいるかもしれないが、なでしこジャパンのGKコーチとして、世界一に大きく貢献した人である。

順位	選手名	現所属(J最終所属)	出場数	出場時間	失点	防御率
1	ヴァン　ズワム	磐田	74	6,709	66	0.89
2	飯倉　大樹	横浜FM	77	6,930	78	1.01
3	山本　海人	清水	44	3,960	48	1.09
4	榎本　哲也	横浜FM	132	11,752	143	1.10
5	シジマール	清水	61	5,856	72	1.11
5	曽ヶ端　準	鹿島	328	29,403	364	1.11
7	権田　修一	Ｆ東京	64	5,760	75	1.17
8	山岸　範宏	浦和	128	11,579	152	1.18
8	林　卓人	仙台	59	5,243	69	1.18
10	榎本　達也	徳島	219	19,807	262	1.19
11	西川　周作	広島	176	15,753	211	1.21
12	菊池　新吉	東京Ｖ	199	18,403	251	1.23
12	小澤　英明	新潟	36	2,917	40	1.23
14	高桑　大二朗	徳島	113	10,450	145	1.25
15	キム　ジンヒョン	Ｃ大阪	43	3,870	54	1.26
16	東口　順昭	新潟	39	3,405	48	1.27
17	都築　龍太	湘南	250	22,643	324	1.29
17	徳重　健太	神戸	56	4,945	71	1.29
19	清水　健太	山形	81	7,221	104	1.30
19	大神　友明	福岡	110	9,838	142	1.30
19	黒河　貴矢	新潟	64	5,812	84	1.30
22	北野　貴之	大宮	182	16,380	240	1.32
23	古川　昌明	鹿島	126	11,608	171	1.33
24	南　雄太	熊本	246	22,496	337	1.35
24	西部　洋平	湘南	216	19,405	291	1.35
26	尾　勇史	広島	48	4,370	66	1.36
26	楢　正剛	名古屋	461	42,064	637	1.36
28	塩田　仁史	Ｆ東京	60	5,400	82	1.37
28	真田　雅則	清水	243	22,728	346	1.37
28	伊藤　裕二	湘南	182	16,658	254	1.37
31	川島　永嗣	川崎Ｆ	130	11,648	178	1.38
31	川口　能活	磐田	388	35,507	545	1.38
31	藤ヶ谷　陽介	Ｇ大阪	183	16,323	251	1.38
34	櫛野　亮	千葉	157	14,370	224	1.40
35	江角　浩司	大宮	99	8,817	138	1.41
36	松代　直樹	Ｇ大阪	131	11,616	183	1.42
37	前川　和也	大分	128	11,808	187	1.43
37	田北　雄気	浦和	114	10,819	172	1.43
39	荒谷　弘樹	甲府	83	7,389	118	1.44
40	土肥　洋一	東京Ｖ	341	31,367	510	1.46
41	相澤　貴志	川崎Ｆ	86	7,695	127	1.49
42	下田　崇	広島	288	26,350	439	1.50
43	河野　和正	Ｃ大阪	85	7,760	130	1.51
44	岡中　勇人	大分	185	16,701	282	1.52
44	佐藤　洋平	磐田	164	15,220	257	1.52
44	ジルマール	Ｃ大阪	80	7,632	129	1.52
47	武田　治郎	神戸	64	5,978	103	1.55
48	吉田　宗弘	福岡	93	8,436	146	1.56
49	森　敦彦	札幌	107	10,028	175	1.57
50	掛川　誠	清水	147	13,693	241	1.58
51	土田　尚史	浦和	134	12,648	223	1.59
52	菅野　孝憲	柏	109	9,810	174	1.60
52	水谷　雄一	京都	114	10,134	180	1.60
54	浦上　壮史	川崎Ｆ	31	2,842	51	1.62
55	立石　智紀	千葉	106	9,467	173	1.64
56	岡本　昌弘	千葉	65	5,850	107	1.65
57	松永　成立	京都	174	16,334	301	1.66
58	森下　申一	京都	74	6,667	124	1.67
59	高木　義成	名古屋	120	10,883	204	1.69
60	ハーフナー　ディド	札幌	148	13,625	260	1.72
60	小島　伸幸	草津	239	22,173	424	1.72
62	小針　清允	鳥取	37	3,301	64	1.74
63	阿部　謙作	甲府	49	4,275	83	1.75
63	下川　健一	横浜FM	222	20,568	400	1.75
65	平井　直人	京都	100	9,054	177	1.76
66	本並　健治	東京Ｖ	209	19,557	386	1.78
66	羽田　敬介	愛媛	30	2,825	56	1.78
68	下川　誠吾	大分	183	16,708	335	1.80
69	塚本　秀樹	福岡	64	5,914	123	1.87
70	野澤　洋輔	湘南	75	6,745	153	2.04
71	本田　征治	草津	38	3,376	77	2.05
72	加藤　竜二	広島	42	3,671	84	2.06
73	石末　龍治	神戸	48	4,252	102	2.16
74	佐野　友昭	水戸	33	2,875	73	2.29
75	前田　信弘	新潟	32	2,940	78	2.39