■ ウズベキスタン遠征U-22日本代表とU-22ウズベキスタンの対戦。当初は3月29日に国立で試合を行う予定となっていたが、大震災の影響で中止となり、代わりにアウェーまで出向いて試合を行うことになった。
3月25日に行われた初戦はウズベキスタンが1対0で勝利。前半13分に先制ゴールを許した日本は、FW大迫らがチャンスを逃して黒星を喫した。第2戦となるこの試合はタシケントで行われた。
U-22日本は<4-2-3-1>。GK権田。DF岡本、村松、濱田、酒井。MF山村、米本、東、宇佐美、山崎。FW永井。大学生のMF山村がキャプテンマークを巻く。FW大迫、MF清武、MF山本康らがベンチスタートとなった。
■ 2対1で勝利試合の序盤から日本は左サイドを破られてピンチを招くシーンが続く。立ち上がりから何度か決定機を作られるが、相手のシュートミスにも助けられて失点は許さない。日本もFW永井のスピードを生かしたカウンターでチャンスを作るが、MF山崎やMF東のシュートが精度を欠いてゴールは奪えず。前半は0対0で終了する。
後半15分に日本はMF宇佐美に代えてMF清武を投入。すると、後半31分に中央でMF清武がドリブルで相手をかわしてスルーパス。このパスをMF東が受けてGKをかわしてシュート。日本が先制する。さらに後半33分にもMF東のスルーパスからFW永井が相手DFの裏に抜け出してシュート。2点リードを奪う。後半37分に日本はサイドを崩されて1点を返されるが、2対1で逃げ切って勝利。ウズベキスタン遠征は1勝1敗で終えることになった。
■ 東が1ゴール1アシスト双方ともにビッグチャンスを生かせない展開となったが、日本が大宮アルディージャのMF東の1ゴール1アシストの活躍で2対1で勝利をつかんだ。MF東はアジア大会でもレギュラーとして活躍したが、今回の遠征でも大きなアピールができたといえる。
1点目は「トリニータ・ホットライン」で決めたゴールであり、ユース時代の1年先輩にあたるMF清武のスルーパスを受けてうまくGKをかわして無人のネットに流し込み、2点目のアシストはFW永井のスピードを考えた最高のタイミングのラストパスでゴールを導いた。
MF宇佐美がいた時間はMF宇佐美がトップ下に入って、MF東は右サイドに張っているケースが多かったが、MF清武が入ってMF東との関係がスムーズになって、MF東が中央に入り込んできて2つのゴールに絡んだ。攻撃的なポジションは最激戦区であるが、アジアカップから継続していいプレーを見せており、現時点では、レギュラーにもっとも近い存在といえる。
■ 永井が追加点1トップで起用されたFW永井も1ゴールの活躍。ウズベキスタンのDFラインが高めで、裏に広大なスペースがあったことも幸いし、何度も裏に抜け出るシーンがあった。1トップには鹿島アントラーズのFW大迫という選択肢もあるが、「コンビネーション」や「得点力」を考えると、FW永井がレギュラーで間違いないだろう。
トップ下に入ったMF宇佐美とのコンビは今ひとつであったが、MF東、MF山崎といった選手とはアジア大会からコンビを組んでおり、連携も悪くはない。爆発的なスピードは日本にとって「絶対的な武器」であり、大きな得点源である。
■ MF宇佐美は不発MF東が1ゴール1アシスト、MF清武が1アシストと結果を残したが、スタメン出場したMF宇佐美は不発。なかなかボールが回って来ずに、トップ下の位置で孤立してしまった。初戦はスタメンから外れており、アピールのチャンスであったが生かすことは出来なかった。
この世代で抜きんでた才能を持つMF宇佐美であるが、今シーズンはリーグ戦、ACLとやや精彩を欠いているような印象で、持ち味であるドリブルで仕掛けるシーンは少なくて、思い切りのいいプレーが出せずに交代する試合もあって、壁にぶち当たっているような感じである。
トップチームにデビューしたときと比べると、運動量や守備意識は格段に上がってきており、使いやすい選手にはなったが、ドリブル、パス、シュートと全てそつなくこなしているが、「こじんまりとした選手」におさまりつつあるようなのは否定できない。起用にパスも出せてしまうのがネックなのか、「恐さ」や「凄さ」を感じさせないプレーが増えてしまっている。
初めて一緒にプレーする選手が多いとはいえ、今のままでは、五輪代表でも絶対的な存在とはいえず、MF東やMF山崎、MF水沼といった選手からポジションを奪うのは難しい。極めてポテンシャルの高い選手で日本にとっては大切な選手なだけに、ちょっと心配な状況である。
■ 守備陣も不安を残す一方、1失点に抑えたとはいえ、守備陣も不安いっぱいであり、GK権田の再三のファインセーブに救われたが、左サイドのDF酒井の裏のスペースを何度も破られてピンチを招いた。この試合はDF村松とDF濱田がセンターバックを組んだが、簡単にロングボールで決定機を作られるシーンもあって、センターバックコンビも及第点とは言えない内容であった。
すでに多くの選手がJリーグで活躍している中盤から前の選手と比べると、センターバックは手薄なポジションであり、レギュラーとして活躍している選手はほとんどいない状況である。抜きんでた選手がいないので、誰を軸にするのかも悩むところであるが、早急に対応が必要な状況である。
■ クウェートに決定これでウズベキスタン遠征は終了し、6月に行われる2次予選の対戦相手もクウェートに決定した。6月19日にホーム、6月23日でアウェーで「ホーム&アウェー」の予選がスタートすることになったが、クウェートに敗れると、この時点でロンドン行きの可能性がなくなってしまう。
今後の強化を考えると、何としても勝ち抜かなければならない大事な試合であるが、今のままでは、「クウェートに敗れて二次予選で敗退」という事態も十分に考えられる。日本の強化が順調に進んでいれば、恐れることはないのだが、今回のU-22代表はほとんどベストメンバーで試合を行っておらず、ぶっつけ本番に近い状況である。
■ 海外組の招集はあるか?とにかく、一発勝負のクウェート戦を乗り切らないといけないが、震災の影響もあって選手のコンディションもあまり良くない状況であり、4月末からリーグ戦が再開するが、過密日程となるので、五輪代表が合宿を行う余裕はほとんどない。最悪の場合、次の試合が2次予選のクウェート戦となりかねない状況である。となると、攻撃は「個の力」に頼るしかなくなるが、こういう状況になると、海外でプレーしている選手を呼ぶ必要があるのかもしれない。
まず、フェイエノールトのFW宮市であるが、<4-2-3-1>の右サイドや左サイドのアタッカーとして十分な戦力になるだろう。このチームでは、MF山崎、MF水沼、MF東あたりが任されているポジションで、守備の負担も大きいので「スタメンで。」というのは考えにくいが、スーパーサブであれば、面白い。また、194㎝のFW指宿も前線で起点になれる選手であり、オプションとしては「あり」である。
そして、この世代の出世頭といえるドルトムントのMF香川であるが、怪我も順調に回復しているようで、4月中旬あたりから試合に復帰できそうな状況にある。A代表での活動があれば、そちらに専念するのがベターであるが、南米選手権への参加が取りやめになった場合、MF香川を招集するというのも「あり」なのではないか。
理想はMF香川がいないメンバーで予選を戦ってロンドン行きの切符を獲ることであるが、今のチーム状況ではクウェート戦は苦戦が必至であり、悠長なことは言っていられない。
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