■ 第16節J1の第16節。4勝6敗5分けのジュビロ磐田と6勝4敗5分けのセレッソ大阪の対戦。磐田は再開後の3試合で1敗2分け。同じくC大阪は4試合で2勝1敗1分け。2006年シーズン以来の対戦となる。
ホームの磐田は<4-2-2-2>。GK八田。DF駒野、大井、那須、パク・チュホ。MF山本康、上田、西、ジウシーニョ。FW成岡、前田。G大阪に移籍したFWイ・グノに代わってMF成岡がフォワード登録でスタメン出場。南アフリカ大会の日本代表GK川口はベンチスタート。柏からレンタル移籍のMF菅沼もベンチスタート。
対するC大阪は<4-2-3-1>。GKキム・ジンヒョン。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MFアマラウ、マルチネス、乾、家長、清武。FWアドリアーノ。MF羽田がスタメンから外れてMFマルチネスが第9節の仙台戦以来のスタメン出場。MFアマラウとダブルボランチを組む。MF乾、FWアドリアーノが出場停止から復帰。
■ C大阪が完勝 試合の序盤は落ち着いた展開となるが、前半22分にC大阪がセットプレーから先制点を挙げる。DF丸橋の右コーナーキックからDF高橋がゴール前で頭で合わせて先制点。DF高橋はリーグ戦2ゴール目。19歳のDF丸橋は2試合連続アシストを記録。前半はC大阪リードが1対0とリードして折り返す。
勢いに乗るC大阪は後半6分にカウンター発動。MF家長のパスからMF乾がドリブルで前進してミドルシュート。これが決まって2点目を挙げる。MF乾は2ゴール目。さらに後半30分にMFマルチネスのミドルパスパスからFWアドリアーノが個人技で打開。最後は左足で強烈なシュートを放つとこれがポストとGK八田に跳ね返ってゴールイン。FWアドリアーノはリーグ戦は3試合連発の6ゴール目。
結局、3対0でC大阪が圧勝。暫定で4位となった。
■ 好調が続くC大阪 C大阪は再開後の5試合で3勝1敗1分け。ホームゲームは1試合のみで、アウェーが4試合。厳しい日程だったが、広島(A)に5対0、山形(H)に3対0、磐田(A)に3対0と攻守がかみ合った素晴らしい内容の試合を続けている。これで今シーズン7勝目。早くも勝ち点は「26」となっていて、最低限の目標である「J1残留」に着実に近づいている。
チームを引っ張っているのはMF家長、DF茂庭、DF上本といった移籍組であるが、左サイドバックにユース出身で2年目のDF丸橋が台頭し、再開後の5試合で全てスタメン出場を果たしていることも大きい。左サイドはDF尾亦、DF石神がレギュラー候補だったが、共に今シーズンのパフォーマンスは十分ではなく、最大のウイークポイントだったが、DF丸橋が出てきたことでウイークポイントが埋まってしまった。
精度の高い左足のキックは大きな武器であり、ビルドアップでも貢献しているが、何と言ってもセットプレーのキッカーとして果たしている役割が大きく、FW古橋が抜けた後、ずっとプレイスキッカーに苦しんでいたC大阪が、セットプレーでもゴールを決められるようになった。
■ 香川真司がいない中で・・・C大阪はMF香川がドルトムントに移籍。11節終了時点でチーム13点の内7ゴールをマークしていたMF香川がいなくなって得点力ダウンが心配されたが、むしろ、得点力は大幅にアップしている。ここ5試合で14ゴール。大きな問題にはなっていない。
MF香川に代わって中盤に起用されているの20歳のMF清武弘嗣。こちらも大分トリニータからやってきた選手であるが、彼がチームにうまくフィットしている。「ゴールを決める能力」ではMF香川に見劣りするものの、攻守ともにバランスの取れた選手で、目立ちはしないが気の利いたプレーが出来る。ボールを持ちたがるMF香川に対してMF清武は球離れもいいので、チーム全体の流れはむしろ良くなったといえる。
もちろん、「1トップ3シャドー」が機能し始めたのはMF家長がスタメンに定着し始めた第7節以降のことであり、キーマンはMF家長であるが、もともと、MF香川がワールドカップ後に海外のクラブに移籍することはシーズン前から想定されていた。大会後に弱点になりそうだったポイントを埋める努力をしていたフロントの勝利といえる。
■ 爆発気配のアドリアーノその中でも、ここに来て調子を上げてきているのがFWアドリアーノ。再開後の5試合で3ゴールを上げて、明らかにコンディションが上がってきている。前を向いた時はほとんど誰にも止められなくなってきている。DF那須をふっ飛ばしてボールを胸でトラップし、ドリブルでかわして左足で決めたこの日の3点目のゴールは圧巻だった。
スピードがあるのは開幕当初から分かっていたが、ここに来て相手に当たられても決して倒れないフィジカルの強さが目立ちに目立ってきていて、前半戦はほとんど見られなかったポストプレーもこなすようになってきた。ベンチには、FW小松、FW播戸といった選手がいるが、ファーストチョイスの座はFWアドリアーががっちりと確保した。
ここまで6ゴールであるが、今の調子を考えると、今後、更にゴールを積み重ねていって得点ランキングでも上位に食い込んでくるのは間違いないと言えるだろう。
■ マルチネスとアマラウのボランチ怪我から復帰したMFマルチネスがスタメンに復帰。これによって機能していたMF羽田とMFアマラウのダブルボランチではなく、ブラジル人コンビのダブルボランチとなったが、これも悪くはなかった。守備重視のときはMF羽田を起用し、攻撃重視のときはMFマルチネスを使うという使い分けも可能なレベルとなっていて、オプションは広がていく。
いずれの選手も空中戦に強く、本来センターバックのMF羽田はもちろんのこと、185cmのMFマルチネスも、175cmのMFアマラウも空中戦で相手を制することの出来る選手であり、センターバックの前でしっかりとフィルターがかけられているので、DFラインへの負担が軽減している。
特にMFアマラウのフィジカルの強さは特筆すべきものがあり、14節の山形戦の3点目となったMF清武のゴールも中盤でMfアマラウがヘディングで競り勝ったことがスタートになっている。日本代表でもMF阿部がアンカーに入ったことで空中戦でも簡単に中盤で競り負けなくなって守備が安定したが、高さで勝負できるボランチというのはチームにとっては非常にありがたい存在である。
■ 4試合勝利なし一方の磐田はホームで0対3の完敗。清水、鹿島といった上位チームとの対戦が多かったとはいえ、2敗2分けのスタートとなって13位。降格圏内の大宮との差は「3」のみとなって、残留争いに巻き込まれそうな状況になって来た。
苦しいのはセンターバックの人選であり、DF加賀が大怪我で戦列を離れて、DFイ・ガンジンもいない。したがって、ボランチのDF那須を最終ラインに下げてDF大井とセンターバックコンビを組ませているが、前半戦でチームのMVP的存在だったDF那須がいなくなったことで中盤の守備力が低下。悪循環が生まれている。
明らかにセンタバックは人材が不足していて、早めに手を打つ必要があるだろう。C大阪のセンターバックコンビはFW前田に密着してほとんど仕事をさせなかったが、磐田のセンターバックがFWアドリアーノに自由を与えてしまった。この試合はセンターバックの差がそのままスコアに現れたともいえる。残りは18試合。効果的な補強が待たれるところである。
■ イ・グノの穴磐田は「FWイ・グノが抜けた穴をどうするのか?」も後半戦のポイントである。FW前田とFWイ・グノという2トップは相手に与えるプレッシャーという意味では大きいものがあり、点の取れる可能性のあるストライカーが前線に2枚いると、相手にとっては脅威である。
ただ、幸いにして、ここまでは代役でフォワードに入っているFW成岡が好プレーを見せている。この日も何本も惜しいシュートがあった。そして、そもそもとして今シーズンのFWイ・グノの出来は今一つで、リーグ戦は1ゴールのみ。「得点力」という意味では大きな戦力ダウンにはなっていない、といえる。
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