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【栃木×甲府】決勝アシストは片桐淳至 | | |　

■　残り7試合

24勝7敗13分けで3位のヴァンフォーレ甲府。残り7試合で4位の湘南との差は「1」のみ。痺れるような展開が続いている。

対する栃木SCは16位。昇格1年目で土台作りの時期ではあるが、1つでも上の順位を目指していきたい。最下位の横浜FCとの勝ち点差はわずかなので、何とかしたいところである。

ホームの栃木SCは<4-2-2-2>。GK柴崎。DF赤井、宮本、落合、入江。MF鴨志田、本橋、岡田、川原。FW若林、崔根植。MF米山がベンチスタート。188cmのFW若林は12試合目のスタメン。44節のファジアーノ岡山戦で決勝ゴールを挙げたMF岡田は右サイドハーフで出場。左サイドハーフはカナダワールドユースの日本代表であるMF河原。福岡から獲得したDF宮本が10試合目のスタメン。

アウェーの甲府は<3-1-4-2>。GK阿部。DFダニエル、山本、秋本。MF林、杉山、石原、大西、藤田。FW金信泳、マラニョン。DFウェベルトンがベンチ入り。フルタイム出場を続けていたGK荻が欠場し、GK阿部が初スタメン。

■　マラニョンの決勝ゴール

試合は前半3分に甲府が先制。右サイドの裏のスペースでボールを持ったFWマラニョンがMF大西にスルーパス。飛び出したMF大西のシュートが鮮やかに決まって甲府が先制する。しかし、栃木SCは前半17分にDF入江のパスから左サイドに走り込んだMF河原が強烈なシュートを決めて同点に追い付く。MF河原は12ゴール目。前半は1対1で終了。

後半も一進一退の展開が続くが、後半34分に甲府が勝ち越しに成功。途中出場のMF片桐の高精度の左足のクロスFWマラニョンが頭で決めて勝ち越しに成功する。

結局、2対1で甲府が勝利し、3位を守った。

■　貴重な勝利

他の上位チームがなかなか負けないので、甲府も勝ち続ける必要があるが、2対1でしぶとく勝利し、4連勝を達成。クラブ新記録となった。22試合連続で2得点以下が続いていて爆発力はないが、勝負強さはある。

ここ最近、4バックを止めて3バックに変更しているが、3バックに変更したことで、右ストッパーのDFダニエルがオーバーラップしやすくなって、DFダニエルの攻撃参加が攻撃に厚みを加えている。ここまで来ると、なりふり構っていられなくなるが、今の甲府からは脆さは感じない。

■　決勝アシストは片桐淳至

決勝ゴールはMF片桐の左足から生まれた。後半33分から出場し、その1分後にFWマラニョンのゴールをアシスト。栃木SCのディフェンスが一瞬、FWマラニョンのマークを見逃した隙を見逃さず、ピンポイントで高精度のクロスをゴール前に送った。

昇格の切り札として岐阜から甲府に移籍したMF片桐であるが、甲府のサッカーにまだフィットしきれておらず、スタメンは3試合のみ。ゴールはなく、ベンチからも外れる試合が増えている。ここまでは期待外れの感はあるが、ここ一番で大きな仕事をした。

MF片桐のようなアタッキングエリアで創造性のあるプレーが出来る選手は甲府にはなかなかおらず、貴重なタイプではあるが、得意のドリブルを披露するタイミングがつかめておらず、消極的なプレーも目立つが、本人も結果が出ずに苦しんでいただけに、このアシストが1つのきっかけになるかもしれない。

■　代役守護神の阿部謙作

今シーズンの甲府の堅守を支えていたGK荻が欠場。その代役は、GK阿部となった。GK荻はフルタイム出場を続けていたため、GK阿部にとっては今シーズン初出場となったが、試合勘不足を感じさせないプレーぶりだった。

これでGK阿部はJ2通算で100試合出場を達成。大木監督時代は甲府の正ゴールキーパーを任されていた選手であり、大きな不安はない。GK荻のハイパフォーマンスを見せていただけにGK荻が不在となると苦しくなるようにも思えるが、その代役にGK阿部がいるというのは心強い。

■　崔根植の決定力

栃木SCは何度かチャンスがあっただけに、悔しい敗戦となった。一番のチャンスは、後半途中にFW崔根植が裏のスペースに飛び出してGKと1対1になったシーンであるが、FW崔根植は決め切れなかった。

シーズン途中に栃木SCはFW崔根植とFWレオナルドを補強。この新2トップが前線でボールをキープしてくれるので、安定した試合運びが出来るようになったが、ここから先に行くためには、2トップに得点力が求められるが、得点力という観点から見ると、この2トップは弱い。

FW崔根植はリーグ戦は12試合に出場。22本のシュートを放っていて、シュートチャンスは作っているが、まだゴールなし。体の強さを生かしてシュートにまで持ち込むことは出来るが、その先がなかなか精度が上がって来ない。

ポスト役として機能していることは十分に理解できるが、助っ人外国人の立場であり、これだけチャンスに決め切れないようだと、その価値はなくなる。ポテンシャルはあるだけに、1つゴールが決まると、気分が楽になってゴールを量産するようになるかもしれないが、ここまでは「助っ人失格」といわれても仕方がない。

■　間違ったスタメン

栃木はFW若林をスタメンで起用し、FW崔根植との2トップで試合に入ったが、思ったほど機能せず。FW若林もFW崔根植も決定的なチャンスを外してしまった。

1点ビハインドになって、FW石館、MF米山、DF田村を投入したが、この交代に伴って、FW若林もFW崔根植もピッチから去って行ったので、有効なパワープレーが出来なかった。ただでさえ、甲府にはDFダニエルがいるが、DFダニエルと空中戦で勝負できる選手がいなくなって、追いつくチャンスを作れなかった。

甲府は、最後、守りに入っていたので、崩しきるのは非常に難しかっただろうが、FW若林のような選手がベンチに残っていて、切り札として投入できるような展開になっていたならば、もっと面白かった。

■　左サイドバックの入江

栃木SCはサイドからの攻撃が基本となるが、重要な存在が左サイドバックのDF入江。2007年はJFLでジェフ千葉のアマチュアチームである千葉リザーブズでプレーしていて、2008年から栃木SCでプレーしているが、彼の強くて正確な左足は大きな武器である。

試合途中にサイドバックからサイドハーフにポジションを移すことも多く、セットプレーのキッカーも任されるなど、信頼性の高いキッカーである。サイドバックの選手で、これだけ精度が高くて、スピードのあるボールを蹴ることの出来る日本人選手はほとんどおらず、それだけで魅力的である。

その過程がはっきり分からないので認識が間違っているのかもしれないが、J1のジェフ千葉は、現状、あれだけサイドバックの人選に苦しんでいるのであるから、こういう選手をキープしておけば、展開は違ったのではないかという気もする。

DF入江は今シーズンがJリーグのデビューシーズン。昨シーズンまでの2年間はJFLでプレーしていたが、こういう下部リーグで埋もれている選手は必ずいるし、巡り合わせが悪く知られていない実力者はまだまだ多い。

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