■ 首位のセレッソ 20勝6敗6分けで首位を走るセレッソ大阪。直近の2試合はホームの長居スタジアムで2連勝。コンサドーレ札幌に3対0、ザスパ草津に1対0と完封勝ち。守備陣が安定してきている。
対するはアビスパ福岡。ここまで9勝16敗7分けで14位。J1昇格は絶望的となっているが、ここ6試合は3勝1敗2分けと調子は上向きである。
ホームの福岡は<4-2-3-1>。GK吉田。DF山形辰、田中誠、丹羽、釘崎。MF阿部、宮原、田中佑、大久保、久藤。FW黒部。GK吉田、MF宮原、MF久藤、FW黒部の4人はC大阪でのプレー経験のある選手。U-20代表から戻って来たMF鈴木はベンチスタート。MF大久保がやや下がり目に入る布陣。
アウェーのC大阪は<3-6-1>。GKキム・ジンヒョン。DF江添、チアゴ、羽田。MFマルチネス、黒木、酒本、石神、乾、香川。FWカイオ。MF香川は2試合の出場停止にリーチがかかっている。
■ 小松の2ゴールで追いつく序盤はホームの福岡のペース。少し引き気味の守備でブロックを固めて相手の攻撃を封じて、攻撃はシンプルに展開。1トップのFW黒部のポストプレーからチャンスを作る。
前半27分にはFW黒部のポストからDF釘崎がつないで、最後はMF久藤がコンパクトな足の振りからミドルシュートを決めて福岡が先制。MF久藤は今シーズン初ゴール。前半はそのまま1対0の福岡リードで折りかえす。
後半立ち上がり、同点を狙いに攻めにきたC大阪に対して福岡がカウンターを発動。右サイドからMF田中佑がドリブルから独走してGKと1対1となると、落ち着いて決めてゴール。MF田中佑は今シーズン4点目。
これで2点ビハインドとなったC大阪は後半14分にDF羽田に代えてFW小松を投入。<4-2-2-2>に変更すると、途中出場のFW小松が活躍。後半26分にコーナーキックを二アサイドで頭で合わせて1点を返すと、さらに、後半30分にもMF香川のクロスから再び合わせて2対2に追い付く。
結局、試合はそのまま終了。勝ち点「1」を分け合った。
■ 勝ち点「1」C大阪は2点ビハインドの状況からなんとか追いついてドロー。試合の入り方は悪くなかったが、前半27分のMF久藤のゴールが生まれるまでの数分間は流れが悪くなっていて、耐えたい時間帯であったが、うまいシュートを決められてしまった。
この日の博多の森のピッチは芝の状態が非常に悪く、ショートパスやドリブルを多用するC大阪には不利な環境であったが、それにしても、攻撃は良くなかった。1トップ2シャドーがいい形で仕掛けるシーンはほとんどなかった。今シーズン、コンスタントに活躍しているように見えるMF香川とMF乾の2人も、まだ環境に左右されやすくて、臨機応変な戦い方は会得しておらず。したがって、このようなピッチ状態の中では消えてしまう。
警戒していたはずのカウンターから失点の喫して2点ビハインドとなったときは追いつくのは難しいと思われたが、FW小松が救世主となった。残り試合が20試合を切っているが、J2は混戦が続く。下位に低迷している福岡相手とはいえ、簡単に勝利をつかむことは難しい。そんな中で、後半戦に効いてきそうな勝ち点「1」の獲得。
結局、2ゴールともにFW小松の高さが生きたゴールであり、C大阪らしい形ではなかったが、ベンチにFW小松の高さという武器が残っていたというのは、C大阪の底力を示すものであった。
■ ベテランの久藤清一福岡はシーズン中盤を怪我で棒に振ったMF久藤が先発出場。前半から福岡のほとんどのチャンスに絡む活躍を見せた。古巣相手ということで気合が入っていたのか、35歳という年齢を感じさせないエネルギッシュなプレーだった。
ただ、後半10分にという早い時間に交代。怪我上がりということで長時間のプレーは難しいので仕方のない選手起用であるが、結果的には、この交代が試合の流れを変えてしまったのは否定できない。それだけ、福岡にとってMF久藤の存在感が大きいことの証ではあるが、もう少し、引っ張っても良かった。
今シーズンの福岡は、中心になるべきFW大久保やFW高橋、MF城後といった選手が揃って不調。格になる選手がいない状態でシーズンを戦ってきている。篠田監督の苦悩は続くが、ここに来て、MF久藤が帰って来たことは大きいが、ただ、ベテランに頼ってばかりでは先は見えない。
福岡というチームは、比較的、ベテラン選手が長く生きられるチームであり、MF久藤に加えて、昨シーズン限りで現役を引退したMF布部、今シーズンは試合出場が少ないが、左サイドからの仕掛けがリーグ有数のMF久永と、何人もの息の長いベテランの名前を挙げることが出来る。
彼らは30台中盤にかかってもプレーの質が落ちず、チーム内での貢献度が高いのは間違いないが、逆に言うと、若手がイマひとつ殻を破ることが出来ずにいる、ということを意味する。
■ アビスパの戦力は十分なのか?このドローで熊本を抜いて13位に浮上した福岡だが、J1経験の長いチームとしては屈辱の成績である。ここから巻き返して昇格争いに加わることは、ほとんど不可能であり、残り18試合は目標の見つけにくい中での試合となる。
「今シーズンのアビスパ福岡の戦力が昇格争いに加わるに十分な戦力だったか?」という題目は、結論が出しにくい類のものである。FW大久保とFW高橋の2トップは普通に考えると、J2でもトップクラスのはずであり、中盤にも粒はそろっている。守備の要として期待されたDF田中誠は誤算であったが、仙台や甲府、湘南といったクラブと比較して、大きく戦力が劣るとは考えにくい。
ただ、現実はこの成績である。篠田監督がスペシャルな監督ではないことは明白ではあるが、仮に、篠田監督ではなく、普通の監督であったならば、確実に昇格争いに加わっていたかというと、それは断言はできない。責任が監督だけのものではないことは明らかである。
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