■ 1桁順位が目標だったが・・・。柳下監督になって3年目となるツエーゲン金沢は19節を終えた時点で7勝4敗8分けで勝ち点「29」。7位と好位置に付けている。J2に昇格して5年目となるが過去4シーズンの年間順位は12位(2015年)→21位(2016年)→17位(2017年)→13位(2018年)。昇格初年度の2015年は開幕から快進撃を続けて上位争いに絡んだが後半戦に大失速して終わってみると12位。この年の12位というのがクラブ史上最高成績になる。
開幕前に掲げた今シーズンの目標は「1桁順位」だったが上方修正が必要なくらいの好成績を残している。もちろん、まだ先は長いが、2位の大宮との差は「6」のみ。6位の柏との差は「2」のみ。プレーオフ出場どころか、自動昇格も十分に狙える位置に付けている。J2はあと2節で折り返し地点を迎えるが20節は大宮戦(A)、21節は水戸戦(H)。上位争いをするチームとの2連戦でどこまで頑張れるのか?は興味深い。
今シーズンも若手が奮闘している。大卒2年目となるDF毛利は序盤戦こそ低調だったがここに来て調子を取り戻してきている。同じく大卒2年目となるDF山本義は守備の要に成長。FW小松蓮はコンスタントにゴールを決めて五輪代表に復帰。トゥーロンのメンバーに選ばれるなど東京五輪出場のチャンスが出てきた。FW垣田は怪我の影響もあって大きく出遅れたがようやく結果を残せるようになってきた。
右SBのDF長谷川巧は伸び悩みを指摘される時期もあったが金沢にやってきて覚醒。持ち前の攻撃力を生かしてレギュラーに定着するなど大飛躍のシーズンになっている。DF廣井とDF山本義のコンビが盤石なのでなかなかスタメンのチャンスは回ってこないがC大阪U-18出身のDF石尾も「3番手のCB」として欠かせない戦力になっている。力を出し切れていない選手もいるが若手主体で勢いのあるチームである。
■ 育成型期限付き移籍でMF山根永を獲得「育成面でも評価の高い柳下監督がいるうちに結果を残したい。」というのがクラブに関わる人に共通する考えだと思うが、夏の補強の第1弾としてMF山根永(C大阪)を育成型期限付き移籍で獲得した。父親の山根巌さんはJ3のカターレ富山でヘッドコーチを務めているが2010年と2011年はJFLだったツエーゲン金沢でプレーしており、「父親は金沢で現役を引退している。」という深いつながりがある。
当時のMF山根永は小学生。広島ジュニアでプレーしているので「単身赴任だった。」と思うが親子で金沢でプレーすることになった。J3で目立った活躍を見せているMF山根永に興味を示すJ2のクラブは多かったと思うが「父親が金沢でプレーした経験があること」は今回の移籍を決断する大きな決め手になっただろう。山根巌さんはもともとは広島県広島市出身になるが北陸地方に縁のある人である。
MF山根永の魅力は何と言っても攻撃力になる。広島ユース出身で3年生のときにプレミアリーグWESTで得点王争いに輝いているがトップ昇格は果たせず。C大阪とプロ契約を結んだがJ3のC大阪U-23でたくさんの試合を経験している。トップチームの活動にはほぼ絡めなかったがU-23でたくさんのプレー機会を獲得できたのは大きかった。2018年にはU-20日本代表の候補メンバーに選出された経験がある。
■ 武器となるのはアジリティとドリブルとミドルシュート加入1年目の2017年はJ3で27試合で3ゴールのみ。思うような結果を出せなかった。この年はFW岸本(徳島)と2トップを組むケースが多かったが力を出せず。悔しい1年目になったが2年目の2018年はC大阪U-23の攻撃の中心として目覚ましい働きを見せて7位躍進に大きく貢献。今シーズンも開幕から攻撃の中心の1人として活躍。上位争いをするC大阪U-23の攻撃陣を引っ張る存在になっている。
広島ユースの頃もフォワードでプレーしていたが「左SHへのコンバート」が飛躍のきっかけになった。スピードがあるので裏への飛び出しがフォワード時代は武器の1つになったが左SHになると足元でボールを受けて仕掛けるプレーも可能になる。アジリティを生かしたドリブルから中央にカットインして右足でシュートを放つプレーが十八番になった。2018年の鳥取戦(A)で決めたミドルシュートはゴラッソだった。
「アジリティ」、「ドリブル」、「ミドルシュート」の3つが大きな武器になるが、メンタリティーもプロ向きと言える。近くに味方がいて「パスを出してもいい場面」でも迷うことなくシュートを選択する。その選択がマイナスに作用するケースもあるが積極性は持ち味と言える。一方、守備面は課題と言える。頑張る意欲はあるが前半からガンガン行くタイプなので後半の半ばあたりにガス欠を起こすケースは多い。
■ 好不調の波は激しい。90分間、全力で戦えるだけの体力はまだ無いので「スタミナ面」は課題と言えるが、最大の改善点は「好不調の波が激しい点」になる。調子がいい時のMF山根永は「J3レベルでは止められないアタッカー」になるが、調子が良くないとき or チームが劣勢の展開のときは空回りするケースが多い。「この状況を変えたい。」 or 「自分が何とかしないといけない。」という思いが強すぎて空回りするケースが多々ある。
「良い時は良くて、悪い時はとことん悪い。」というのは若手にありがちな話ではあるが、彼は特に極端である。サッカー方式の採点で表現すると「7.0か、5.0のどちらか」である。「6.0」の試合はほとんどない。「いいか、悪いかのどちらか」である。J3のC大阪U-23だと悪い時も我慢して使ってもらえると思うがJ2の金沢になると話は変わってくる。調子や流れが悪い時にも最低限のプレーをしないといけない。
プロの世界は減点方式で評価されがちである。「調子や流れが良くないときにミスを繰り返したり、致命的なミスを冒して評価を大きく下げてしまう可能性」は否定できないが、金沢にはC大阪とかかわりのある選手が多い。MF清原とDF石尾だけでなく高卒2年目のFW島津もC大阪U-15出身になる。「好調時はJ3レベルの選手ではない。」と評価されるMF山根永がJ2でどこまで活躍できるのか?は興味深い。
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